はてなダイアリーのサービス終了にともなう、旧「ものかきの繰り言」の記事保管用ブログ。また、旧ダイアリー記事にアクセスされた場合、こちらにリダイレクトされています。旧ダイアリーからインポートしたそのままの状態の為、過去記事は読みやすいように徐々に手直し予定。
 現在活動中のブログはこちら→ 〔ものかきの繰り言2023〕
 特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)

そういえばすっかり忘れていた

秘太刀馬の骨 (文春文庫)

秘太刀馬の骨 (文春文庫)

藤沢周平プロジェクトで一気に読んでいたのですが、ちょうどドラマのクライマックスの頃と重なっていたので感想はもう少し後にするか〜と思っていたら、すっかり忘れておりました(^^;
そんなわけで、細かいキャラの名前とか完全に忘れておりますが(おぃ)
あと、いきなりネタばれするので御注意下さい。
なんかこう、率直に書いた方がわかりやすそうなので。
−−−−−
要するにこれは、“時代小説”であって“時代劇小説”ではないのだな、と。
『用心棒日月抄』にしろこの『秘太刀馬の骨』にしろ(たまたまそういう作品を続けて読んだ可能性もありますが)、主軸になっていた(とこちらが思い込んでいた)悪の陰謀が、主人公と全く関係ない所で勝手に瓦解するんですよ(笑) まあ多少は主人公の行動も絡んでいるし、なんかこう、悪事はいずれ露見するもの、みたいな根底システムが作品世界にあるのも感じるのですが、割と最後は悪役が自滅的かつなし崩しに潰れていくのですよねー。
なので、そこで時代劇的なカタルシスを期待して読んでいると、もの凄い肩すかしをくらう。
喰らった上で、ああそうかなるほど、そういう物語では無いのか、と気付くわけなんですが。で、そうでなくても十分に面白い所は面白いですし。ただ、クライマックスよりも正直、序盤〜中盤の方が面白かったです、特に『馬の骨』は。最終的には割と、「あれ、それでいいの?」みたいな所に落ち着いてしますし。
あと、もう一人の主役というか江戸から来た若い方の意味が、もの凄く薄い。狂言回しもいい所というか、最終的に居ても居なくても同じレベル。中盤以降、負けっぱなしだし(笑) 女連れて逃げる所もそんなに重要でない感じもあって、最後は結局夫婦の話に集約されたりしてしまうわけですが、なんか変な、なし崩し感も否めず。
総評としては、やや微妙。ただ、中盤まではかなり面白く読めました。
こういう小説はでも、やや読む方に慣れが必要ですね。
あとは、中短編集を一冊、読んでおきたい所なのですが。もしくは、用心棒シリーズの続きか。
時代劇に毒されすぎている私には、もう少し最近の時代−チャンバラ中間ぐらいの小説の方が楽しめるのかもしれません。最近のこの辺りの売れ筋を書いている人の多くが、時代劇メインの脚本家出身であったりしますが(笑)