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2005年を振り返る〜読書編〜

今年のベスト1は、魍魎の匣京極夏彦)。

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫)

またいったい何年前の作品だ、という話ですが(笑)
とにかく、物語としての完成度の高さが抜群。きちんとモチーフが貫き通されている上で、最後に飛んでいく所と、飛んでいった上で、そういう小説、として成り立っているあたりがお見事。
この小説が小説として優れているのは、ジャンルフォーマットを掴んで要点を抑えて一応はその枠組みの中に入るようにした上で、フォーマットへの攻撃でもアンチでも無い所で、ジャンルカルトに寄りかからない位置の物語、を成立させている所。
……という表現はだいぶわかりにくくてすいません。かといって具体的に書くと色々と差し障りが出るわけなので、ごめんなさい(笑) まあ多分、この事例に限らず、本読みにはなんとなく伝わるかもしれないとか思ったりはするのですが。
まあ要するに、ジャンルだの魂だの言うのは結局は看板でありエクスキューズであり、本来は何よりも物語こそが一番であるべき筈なのだ、という話ですが。とはいえ、羊頭狗肉はやはりルール違反なわけで、看板に偽りのない状態で、如何に看板だけにならない物を出すか、という話。
その味付けが、実に絶妙な作品。
続くシリーズ第3弾『狂骨の夢』が今ひとつだったのでちょっと離れているのですが、その内、『鉄鼠の檻』以降も触れてみたいものです。
次点、ある意味一番面白かったのは、『富野に訊け!』
富野に訊け!

富野に訊け!

富野由悠季が面白すぎます。
今年になって初めて触れた作家としては、加納朋子を高評価。
私、空気を書ける人、て好きになる傾向があるのですが、そういう作家。ちゃんと自分の書いている世界が見えている人。空気から、小説を書けている人。
今月、文春文庫から新刊『虹の家のアリス』が出ております。
東野圭吾も2作ほど読んだのですが、今のところ、微妙にはまり切れず。素直に、もっと評価の高い有名作品を読んでみるべきか(笑) ひねくれて、ちょっと地味そうな所をつまんでみたもので(^^;
今年もけっこうミステリを読んでみていましたが、SFの方では、<キャプテン・フューチャー全集>(エドモンド・ハミルトン)をとうとう買い集め始めてしまい、短編集『反対進化』も面白かったのですが、蔵書の方にはあまり触れず(^^; あと、短編集の幻想怪奇編は、今月中旬発売予定みたいです。創元は時々ずれるので、あまり信用できませんが。
年末から来年にかけては、『模倣犯』を読んで過ごす事になるでしょう。発売日に買ったのに、まだ読んでませんよなんて事ですか。