第2回、読書編。
各年のベスト選出作品はこんな感じ。
- 2004年:『十角館の殺人』(綾辻行人) 次点 『占星術殺人事件』(島田荘司)
- 2005年:『魍魎の匣』(京極夏彦) 次点 『富野に訊け!』(富野由悠季)
- 2006年:『扉は閉ざされたまま』(石持浅海)
- 2007年:『ダブルクロスリプレイ・トワイライト1〜3』(田中天/F.E.A.R.)
- 2008年:『空の中』(有川浩)
- 2009年:『フリーター、家を買う。』(有川浩) 次点 『恋文の技術』(森見登美彦)『WBCに愛があった』(高代延博)
- 2010年:『傭兵の二千年史』(菊池良生) 次点 『屍鬼』(小野不由美)『ダブルクロスリプレイ・デザイア』(加納正顕/F.E.A.R.)
2004年がちょっとバグってる(笑)
いや丁度この頃、新本格を久々に読んでみようキャンペーン中だったので、この辺りの作家の名前が出ているのはわかるのですが、今振り返るとせめて次点と順序が逆な気がする。
個人的に島田荘司は好きではないのですが、『占星術殺人事件』は名作。
綾辻行人は……読んだ中では、このデビュー作が一番好き、というのが結論。
こちら方面の作家で、今一番読めるのは、有栖有栖。
05年、『魍魎の匣』は、オールタイムベスト級の一作。大傑作。難点は、物語が地続きなので、一緒にシリーズ第1作『姑獲鳥の夏』も読んでいただかないといけない事。『姑獲鳥』は面白くないとは言いませんがそんなに好きでもないので、2冊の分量考えるとなかなかお薦めしにくいのですが、『魍魎の匣』は本当にお薦め。もっとも、『姑獲鳥』読んで合わなければ『魍魎』も駄目かな、とは思いますが。
京極夏彦における『姑獲鳥』と『魍魎』までは抑えてもらえれば後は根気の続くところまでで結構です……というお薦めは、森博嗣におけるS&Mシリーズの行けるところまでで結構です……に似ているような気がしないでもない。
京極は『狂骨の夢』で早くも力尽きてしまいましたが……まあ、『魍魎の匣』が、凄すぎた。
06年は、この後一気にはまる事になる石持浅海の『扉は閉ざされたまま』。これもオールタイムベスト級の一作。何年経ってもお薦めできる逸品。作者は今作と『月の扉』の2作は、ミステリ読む方にはお薦めです。近年、私の中での評価がちょっと落ちていますが、早く何年か前から言っている碓氷優佳もの、3作目を。
07年は、TRPGリプレイ。この後、“久しく離れていたTRPGリプレイを元ルールも知らずに読む”という変な趣味に目覚めるきっかけになったシリーズ。読み物として、非常に面白かったです。その後実は、文庫本という事もあって<ダブルクロス3rd>はやりもしないのにルールブック買ってしまいましたよ(笑) 元ルールのバージョンアップ(2nd→3rd)を受けて、今月、特別編の新作登場! とにかく楽しみ。
この年は豊作で、初・横山秀夫でもありました。横山秀夫は非常に琴線に触れてくる作品が多い。
08年、『空の中』!!
これは一生ものの作品。
全ての特撮怪獣映画ファンに読んで欲しい、特撮怪獣映画小説の頂点。
いつでも何度でも人に勧める。
09年は続けて有川浩。昨年ドラマ化されましたが、この作品は恐らく、有川浩の一つのマイルストーンであろうと思っています。
10年は豊作の年で、ベスト1は珍しくノンフィクションから。久々に、新鮮な知的興奮をかきたてられて非常に楽しませていただきました。定評のある本のようですが、軍事の面から見た欧州史として、非常によくまとまっており、何より、読みやすいのが素晴らしい。
次点で、小説とTRPGリプレイから一つずつ。
ボリューム的に勧めにくいのが難ですが、『屍鬼』も大傑作。
『デザイア』は、上記『トワイライト』以来の、これは、というツボにはまったリプレイシリーズ。……方向性は全く違いますが(笑)
この7年の最大の収穫は、もうずば抜けて、有川浩。
この作家と遭遇できたのは、本当に良かった。
作家では他に、横山秀夫、石持浅海。
当たり外れというか、一気に読める時と途中でだれてしまう時があるのですが、注目作家としては森見登美彦。言語センスは凄いと思うのですが、読んでいて暑苦しくなってくる時がままあります(^^;
振り返っての総合ベストは、『空の中』。
あらゆる面で好きなので、仕方がない。
各年のベスト作品の中で更にこれは、となると他には『魍魎の匣』『扉は閉ざされたまま』『屍鬼』など。
この4作は、オールタイムベスト。
今年も、これは! という作品か作家に出会えるといいなぁ。
年に一つはそういう出会いがあると嬉しい。
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