- 出版社/メーカー: 東宝
- 発売日: 2002/05/21
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 59回
- この商品を含むブログ (38件) を見る
改めて見たら、自分で予想していたよりも更に(悪い意味での)突っ込み所満載だったんですが、もはや刷り込みレベルで好きだという事も同時にわかって、何もかも仕方が無いように思えてきました(笑)
まあそもそも、監督:大森一樹な時点で駄目度満開なわけですが、ほんとーに駄目すぎて凄いなぁ、大森一樹。昔は「なぜ『ビオランテ』の後にあんな壮絶な駄作ばかり」とか思っていたんですが、今改めて見たら、『ビオランテ』も割と危険でした(^^;
でも、好き。
微妙な所もひっくるめて、多分、この映画の危うさが好き。
まあそれに、一応、最後までは見られましたし。この後の“<VSシリーズ>地獄行”に比べれば、だいぶんマシです。後続作品は、好き嫌い抜きにして、最後まで耐えられないから。『VSキングギドラ』とか、90年代最狂特撮映画の称号を与えたい。
でまあ、それはそれとして本編についてですが、冒頭、前作84’『ゴジラ』において廃墟と化した新宿で、G細胞(ゴジラの体組織)を巡って、自衛隊(?)と米軍特殊部隊(?)がドンパチやらかす所から話は始まります。
多分、引く人は、ここでドン引き*1。
なんかこう、邦画でも銃撃アクションとかスペクタクルとかやってみるんだ、みたいな意欲は伝わってこない事も無いのですが、いかんせん、録っている側に素養が無さすぎる(笑) まあそんな付け焼き刃のアクションシーンには目をつむり、ここは「G細胞を巡って、水面下で国家間の暗闘が行われている」という説明シーンだと思う事にします。要するにそういう事で、実はこの映画は、延々とそういう映画なので。
で、実はそこが好き。
後ここで、この作品最大の問題児、サラジア共和国(中東の石油産出国をイメージした架空の国)のエージェントが登場します。自衛隊(?)を振り切った米軍特殊部隊(?)を横合いから狙撃して最終的にG細胞をさらっていくのですが、凄腕っぽい役回りなのに、とにかく動きが素人くさい。……まあこの映画に登場する工作員の人達は、とにかくみんな素人くさいのですが。
それと、ビルの破片にこびりついていたゴジラの皮膚っぽいものをして「細胞」呼ばわりするのってちょっと変な気もするわけですが(間違ってはいないけど)、この辺りの混同は終始延々と続きます(^^; まあ、トンデモ科学理論の登場は大森一樹の十八番ではあるのですけど。
……個人的には、私自身がそれほど科学・化学に詳しくないという事もありますが、そんなにトンデモ科学や間違い・誤解などに突っ込む気はないのですけどね。なにしろゴジラが居る世界観なのですから、我々の暮らすこことは物理法則が違っている可能性もあるわけで、その辺りを気にさせなかったり納得させてしまう事こそが、フィクションの力であり醍醐味でありましょうや。
問題はその許容範囲をどこに取るかと、果たして演出・脚本が、それを誤魔化しきれているのか、という所であると思います。
そういう意味では、大森一樹のまずい所は、自覚症状が無い所なのでしょう多分。
ネタとして処理する、という覚悟が無いというか。
ネタはいいんですよ、ネタは。そして覚悟があれば。セスナが一回転して巨大ロボになっても、バイクが二足歩行ロボットに変形しても、ズバッカーがどこからともなく現れても。
その辺りがどうも、(特に後年の作品を見ると)わかってない気がする。
要するにつまり、脚本は他の人に書かせろと。ちなみに『ビオランテ』が何とか見られるのは、間違いなく、脚本に原案があるから。大森一樹がゼロから書いていたら、耐えられないものになっていたに1票。……まあそれはそれで、VSシリーズ化する事なく、幸福な未来だった可能性も否定できませんが(^^;
……話が大幅にずれました。
さて、新宿の暗闘から物語の舞台は移り変わって、中東サラジア。ここではエージェントの持ち帰ったG細胞を用いて、バイオテクノロジー*2の権威、白神博士とその娘・英理加が砂漠の緑化の為の研究中。ところが研究所が(G細胞を狙った?)攻撃により爆破され、G細胞は失われ、白神博士の娘も死亡します。
えー、このえげつない展開が続く辺りが、好きなんですよ。
というかこの映画、始まってから30分ぐらい(以上かも)、怪獣と全然関係ない所で話が進みます。その辺りも割と好きだったりするんですが(だから、怪獣の代わりにアクションシーンだったり爆発だったりをスペクタルとして盛り込んである一応)、改めて見ると、かなりメタ怪獣映画だなぁ……といっても多分、そう見えてしまうというだけで、作っている人達にその意識が有るとは思いませんが。これからまた再シリーズ化の可能性もあるタイミングで、それやる必要性が無いので。
でまあ、ここまでが、オープニング的展開。
さてそれから数ヶ月後、娘を失った白神博士は日本に戻ってきて箱根の山奥で隠遁中。そこへ、英理加の親友で大河内財団総帥の娘で変な超能力研究機関につとめているという、列挙すると物凄いフルポテンシャルな役柄の田中好子さん(お美しい)が登場。研究所で一番優秀な超能力少女を連れてきます。「薔薇の声が聞きたい」という白神博士。ここで、その薔薇に英理加の細胞が組み込まれているというのが暗示されたり、白神博士の別荘をバイオメジャーの工作員が見張っていたり、更にその工作員をサラジアの問題児が見張っていたりしつつ、一方、前作で三原山の火口に落ちたまま眠っていたゴジラに復活の予兆が……。
という感じで、ああそうそう、G細胞が何で各国に狙われているかというと、その細胞を研究する事で核エネルギーを喰らう抗核バクテリアを作り出せると核兵器を越える最強の抑止力として転用できるとか何とからしいです。
この辺りで、立志伝中の人物、みたいな感じで登場する大河内財団の総帥の人とかが割といい味を出してます。また、一応の人間サイドの主人公であり、田中好子さんの恋人という役回りで、これまた遺伝子工学かなんかの若き権威として三田村邦彦が登場。
私誓って『必殺!』ファンでして、飾り職人もけっこう好きなわけですが、久々に見る三田村邦彦の演技のくささがまた凄まじい。ああそうか、『必殺!』以降、仕事無いわけだ。としみじみと思ってしまったり。
で、色々あってゴジラ復活の予兆が感じられる為に、対ゴジラの切り札として、G細胞から抗核バクテリアを作れというお達しが。最初は嫌がっていた白神博士なんですが、地震で薔薇(娘入り)が死にかけてしまい、それを生き延びさせる為に「G細胞を一定期間、借りる」という条件で、このプロジェクトに参加する事に。
貸すなよ、という感じですが、貸してしまいます。
借りてきたG細胞を、死にかけの薔薇に合成する白神博士。
ここに、「人+薔薇+ゴジラ」の細胞からなる、新たな生命が。
という辺りで、ちょっと疲れてきたので、この感想は続きます(おぃ)