- 作者: 有川浩
- 出版社/メーカー: メディアワークス
- 発売日: 2007/11
- メディア: 単行本
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<図書館>シリーズ第4弾にして、完結編。
正化三十四年、原子力発電所を狙ったテロ事件が発生。その手口が、小説『原発危機』に酷似していた事から、良化委員会はその作者である小説家・当麻蔵人を狙って動き出す。当麻の身柄を保護した関東図書隊だったが、良化委員会はこれを機に、遂に“言論・表現の自由”の明確な規制に向けて一歩を踏み出そうとする。対する図書館も、その逆手を取ろうと動き出すのだが……?!
最終巻という事もあってか、なんか、登場人物のテンションが高めです。
作者が気張っているのかと思いきや、作者あとがきによると、キャラクターがかなり暴走した結果だそうですが。物語の展開も早いですが、人間関係も割と高速で動きます。なんといっても堂上の攻撃力が物凄く高くなっている気がするのですが、前からこんなでしたっけ、堂上。というか堂上は、わざとやっているのだとしたら、かなり駄目な人な気がします。サドっ気があるとしか思えません(笑) 無自覚でやっているなら、それはそれで危険ですが。
しかしそんな堂上も今回、手塚兄の前に形無しです。
最終巻、明らかに一番おいしかったキャラは、手塚兄。
次点でゲストキャラの作家先生。
今回のダブルヒロイン(おぃ)
話は前半ラブコメ強めで攻めてきて、需要と供給的にもそういう部分を多めの味付けで行くのかと思いきや、後半は割と政治色の強さも含めシリアスな展開。テーマ的な部分に関しては、思った以上に切り込んで、真っ正面から書ききったという感じ。
ただまあ、ちょっとゴタゴタとした感は否めず、手塚兄周りの展開とか、話のクライマックスに関わってくる某キャラの押し出し不足とか、処理がまずかったかなという点は幾つか。
特に、2・3巻で、いやいやそんなにマンガ的なパーフェクトキャラじゃないんですよ、とした柴原さんがむしろ、完璧超人気味な立ち位置にまた戻ってしまったのは、ちょっと勿体なかった。
エピソード的には、2・3巻の方が面白く読めたのですが、これはまあ、私が笠原・堂上カップルになんら興味が無いからでしょう(笑) いや、別に嫌いではないのですが、最初から出来上がりすぎているカップルにはあまり興味の持てないタチなのです。
シリーズ4巻、なかなか楽しく読みました。