- 作者: 有川浩
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2011/01/25
- メディア: 文庫
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作者の近年の人気・仕事量や、1巻あとがきの「やりきった!」という雰囲気からして、正直続刊には期待していなかったので、非常に嬉しい第2巻。
貧乏劇団を主宰する弟・巧に泣きつかれ、300万の借金を肩代わりした、春川司。
売れない役者だった父を持ち、父と同じ道を歩む弟に演劇の道を断念させたい司は、
「2年間で劇団の売り上げだけで借金を返せ。出来なければ劇団を潰せ」
という条件を出す。
債権者にして経理・制作などの面倒を見る事になった司、演技は素人ながら声優としては10年のキャリアを持つ羽田千歳を新たに加えた貧乏劇団『シアターフラッグ』は、借金返済の為、走り出す。幾つかのトラブルを越え、新体制での第1回公演をなんとか好評の内に終えた彼等は、果たして“プロの集団”へとなれるのか――。
テンション上げるために、1巻をさくっと読み返す所から初めてしまいました。
以下若干、内容に触れます。
前作では小劇団という舞台設定上、基本の登場人物が多くならざるをえず、メインである春川兄弟と羽田千歳を除いては、人物を書き込みきれないという所があったのですが、今巻ではそんな劇団の仲間達を掘り下げながら、“新しい姿”になりつつあるシアターフラッグを描いていく、とう流れ。
案の定、牧子さんが超格好良くなりました。
作者の作劇の趣味嗜好のベクトルとして、間違いなく格好良くなるだろうなぁと思われた、シアターフラッグの看板女優、早瀬牧子。前作でも充分に格好良かったですが、今回はそれに輪を掛けて格好良い、基本、2巻は、牧子さん格好いいという話です(笑)
そして我が愛しの司さんも相変わらず素敵で、お腹一杯。
今回、展開編というか、キャラクターを掘り下げて物語を広げた所でクライマックスへ、という巻なので、一つの話としての完成度という点では1巻に劣りますが、十全に楽しませていただきました。
構成的に、作者の出世作である<図書館>シリーズを思い出すなぁ……と思ったのですが、よく考えると、有川作品で続き物となった作品がそもそも<図書館>シリーズ以来なので、それは雰囲気としては想起する、か。
個人的にちょっと気になったのは、前巻では、牧子→巧、に気付いているのか意外と微妙?みたいな感じに書かれていた気のする司さんが、ばっちりわかっていた事。いやなんか、司さんはスペックから来る経験値で女心を解しているつもりになっているけど、実は思っている以上にわかっていない、みたいな戦闘力だと解釈していたのですが、2巻で全体的に、戦闘力が上昇した気がします。このタイプは、攻略難易度高そうだなぁ。
作者があとがきで「しばらくお待たせしてしまいますが」と断言しているので、1年待ちぐらいの覚悟は必要そうですが、今回、完全に続き物となりましたので、3巻、首を長くして待ちたいと思います。