収録作は、マジシャン黒法子万十から「見た事もないマジックを見せて君を驚かせてみせよう」と挑戦を受ける「マジック&マジック」と、金融問題を背景に不可解な強盗殺人事件の真相を暴く「レッド・ファイル」の2本。
「マジック&マジック」は、面白かったです。なんというか久々に、これだから『Q.E.D.』は侮れない、という一本。ネタとしては禁じ手に近い、これ一本限りといって良いネタだと思うのですが、このマンガの素晴らしい所は、そのネタを使う事そのものがシリーズとして許され、その上でドラマを成立させるという所に本質がある所。……物語の核心に触れてしまうので「この」とか「その」ばかりですが、このエピソードは深いよなぁ、愛の話だ(笑)
「レッド・ファイル」は、ミステリ+初歩の金融講座というか、数学ネタならぬ金融ネタ話であると同時に、数学が実生活にに関わっている形を表す1パターンであり、それでミステリやってしっかりとドラマも描くという、見事な合わせ技。ドラマ合わせで普段より早くコミックス出た(気がする)関係で、珍しくタイムリーなネタになった事も合わせて、なかなか秀逸。
今回は、このシリーズの深みと、作者の巧さを堪能できて、大満足の32巻でありました。
そして今巻を読んでいて、その内、殺人ネタだと思っていたら殺人のない話だった、とか、日常の謎ネタだと思っていたら終盤で殺人が起きた、とか、そーいうパターン破りで騙されてみたいなぁとか思いました。まあ、一度限りのネタにはなりますが。「マジック&マジック」がちょっとそういう、揺らぎを楽しむみたいな所のある話でもあったので。
あ、ドラマ第2話はまだ見ていません(^^;
最近やたらめったら就寝時間が早いので、休みの日でもないと、見る時間を取る気がしない。溜めないように見ようとは思っております。