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ガンダムエース9月号〔富野由悠季×安彦良和対談〕より(5)


安彦 僕は、ファーストガンダムの富野演出というのは非常に冴えていたと思います。それは『アルプスの少女ハイジ』や『母をたずねて三千里』で高畑演出の最良の部分を富野さんが吸収して、それを反映させたからだと思うんですね。これって正しいですか?


正しいです。

安彦 逆にアニメの可能性というのは、アニメ的なものの中にあるのではない。そこから離れられるんだっていうことを高畑演出は示していたと思うんですね。


その通りです。


安彦 それで僕は参っちゃった。
改めて、この時期の同業者における高畑勲への評価は、物凄く高い。

安彦 僕は20周年の印刷物で、ニュータイプという非常にニュートラルなものを、ガンダムのテーマがどうやらそこにあるらしいと必死に理解しようとして議論を重ねている人たちの姿を見て、これはマズいなって感じたのね。
ある種の解釈を持ったヤツが別の解釈を持ったヤツに、お前は分かってない、下がれっていう、実に笑止千万な状態だった。
この対談通して、安彦氏の発言の白眉。
今の(というか、ここ10年以上の)オタクカルチャーの病巣を、端的かつ完璧に突いている。
この後しばらく、ニュータイプの話から、イズム論とか。
政治的な話が出てくると、富野と安彦さんは、ひたすら、噛み合わない。

安彦 一つだけ残念だったのが、劇場版の改変で、そんなニュートラルなニュータイプという言葉に対して、富野さんは非常に力点を置いたんですよ。リメイクカットも相当入れたし、言葉も足した。それを見た連中が、ここに何かがあると思っちゃった。あの誘導の仕方は間違っていたと僕は思うんです。今の話を聞くと余計にそう思う。


具体的にどういう作業をしたかは全然思い出せないんだけど、当然それはしただろう。なぜ、そんなことをやっちゃったかというと、すごく簡単なことで…あのときの僕はバカだったからと言うしかない。本当にごめんなさいと頭を下げるしかできません。でも、最後の必殺兵器を出すよ。たかがロボットアニメを見て、お前ら本気になるな!


安彦 (笑)。そう。単なるロボットアニメじゃない。ガンダム体験と言ってもいいくらい本気にさせちゃったんだよね。
この辺りの富野の屈折の仕方が苦手な人が居るというのは、まあ、わかる。
その後、今後の構想などに触れている内に、ヒートアップ。

後継者が欲しいなと思い始めてはいます。じゃあ、ユニコーンの福井君が後継者なのかというと、多少疑問はある。なぜか? すごく単純な事です。ノベルスで出てきちゃダメだろうって、それだけ。アニメやコミックから出てこなきゃいけないのに、何で福井晴敏にやらせてるんだっていうのが本音です。

小説家にヘッドとられて、どうするんだって思う。漫画、アニメ発の作家が育っていないということには、ものすごく腹が立つよね。いい加減ファンをやめろよ。

作家っていうのはね、ファンから生まれるもんじゃない。作家の高みというのは端からあって、そこから始めなきゃいけない。

何でファンから始めて漫画が描けると思ってるんだ。そんな安手のことはもうやめてほしいんです。作品というのは固有のもので、パート2はない。厳然として。それを思い切れなかったら、それはファンの一員でしかない。

僕は、福井君の存在を認めた上で、アニメ発で始めたものがノベルスに負けてるということを認めたくないんです。そのページをぶんどる漫画家が出てこなきゃいけない。
「アニメ作家」と言わず「漫画家」と言っているのは、『ガンダムエース』誌上という事を意識している模様。というか、『ガンダムエース』全否定ぎみ。
まあしかし、アニメ発の後継者が育っていないのは、富野自身の責任もある気は(笑) もっとも、アニメの現場そのものが、後進の育成機能を持っているようにも今ひとつ思えませんが。
この辺りは、特撮業界の方がマシだよなぁ、と思う。

37億あれば映画一本撮るよって、言いましたね。それくらい吹いとけば、誰かが17億くらい出してくれるかなと(笑)

これまで、暮らしを立てていくためにやらざるをえなかったしがないアニメ稼業だったけど、そこから発進して、30年経ってここまでになった。だったら、今度はここをベースにして、また次の何かを発言していなければならないんじゃないのかと思う。
日本のアニメ界は、なんとか死ぬ前に一本、富野に好き勝手なものを撮らせてあげてほしい。……まあ、ブレーキのある乗り物に乗せた方が、面白い物が出来上がる人ではあるのですが。
ただ、本気で富野が全日本規模でお金を募ったら、それなりの額は集まりそうな気はしないでもないですが(笑)
以上、これにて終了。