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生え抜き至上主義と、原辰徳

『原点』(原辰徳)感想、追記。
一読した時点では気づかなかった、というか個人的には違和感が無いので全く気にならなかったのですが、恐らく、「生え抜き」という言葉が一度も使われていない。
ふと気づいて、改めてざっと再読した限りで見あたらなかったので、どこかで見落としている可能性はありますが、少なくとも坂本や松本、亀井について触れた辺りでも、生え抜き至上主義の信奉者達に耳障りの良いニュアンス・表現では、使われていない。
最近読んだ『監督論』(著・永谷脩日本シリーズを勝った25人の監督を、エピソードを交えて紹介・分析。ベテラン記者らしい対象との距離感が秀逸で、なかなか面白かった)という本でも、原の項で「生え抜き選手によるV10チームを作ろうとしている」みたいな事が書いてありましたが、改めて恐らく原はそんな事は考えていないというか、原にとっての「生え抜き」は、一つの“手段”ではあったとしても、“目的”ではないのでしょう。
まあ実際、現場の人達は基本的にそうだと思うのですが。
そして『原点』の中で、こんな事を書いています。


 09年、僕が一番感動し、「ウチはいいチームになってきたな」と思ったのは9月4日のヤクルト戦、木村拓也をキャッチャーで起用したときだった。
(中略)
 ベンチを見ると拓也がいない。あいつ逃げやがったなと思って、「タクはどうした!?」と聞くと、「ブルペンに行きました」「プルペンで練習しています」。
 とても嬉しかった。ああ、巨人はいいチームになってきたなあ、と思った。
(中略)
 十二回表、野間口の最後のボール、インサイドの真っ直ぐを拓也がバシーン! と捕ったときの感動といったら! あれは、09年一番の感動だった。僕はベンチから飛び出して、「よくやった!」とアイツを抱いた。どこか申し訳ないと思いながらも、拓也が自分の役割を分かって進んでマスクをかぶってくれたのが嬉しかった。あれは自己犠牲の最たるものだ。チームにとって、あれは大きな出来事だった。若い選手たちに、「これが巨人の野球だ」と言って継承させられる、素晴らしいプレーだったと思う。
「主役が生え抜きでないと、チームのストーリーは描けない」?
そんなものは、犬に食わせてしまえばいい。


※「生え抜き至上主義」に関しては、こちら→〔2010/1/12 生え抜き至上主義と、夢の続き〕