- 作者: 速水螺旋人
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/12/22
- メディア: コミック
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二次大戦ぐらいをベースに微妙に前後をつぎはぎしたテクノロジー(多分。とりあえず、爆撃機はある)を背景に、架空の欧州戦線的な世界における、架空の戦記を舞台にした、“ミリタリー法螺”漫画(架空露西亜&架空独逸vs架空土耳古な感じ)。
大公国と帝国が同盟を結び、共和国と戦争状態になってから2年。
大公国の新米少尉(キャリア組)、マルチナ・M・マヤコフスカヤは、膠着状態の戦線の、前線にほど近いアゲゾコ要塞の補給廠に配属になる。彼女が所属しているのは、後方支援を主な任務とし、前線に送る物資を管理する兵站軍。最前線で戦う事が無い為に他部隊からは“紙の兵隊”と嘲笑われる彼等であったが……「書類で戦争をしてるんですッ」
兵隊は兵隊でも、主人公がロジスティック担当で特技はデスクワーク(好きな言葉は「責任問題」)、というのが最大の特徴。
真剣にやっている割にぐだぐだな前線で、融通の利かない主人公がやる気のない上司に振り回されたりしつつ、騒動を巻き起こしたり解決したり、という物語。基本、1話完結形式。絵柄はさっぱりめで読みやすく、タッチはライトですが、戦争は戦争でしっかりやっていて、(実際の戦記を下敷きにしたりもしているのでしょうが)戦争のシビアさと馬鹿馬鹿しさをうまくマンガの中で同居させている辺りが、巧み。
個人的には微妙に、横山えいじっぽいノリを感じます。
「哀れな少尉殿へ軍隊についてたったひとつ真実を教えてやろう。それはな、いちばん有能な軍隊よりいちばん無能でない軍隊が勝つ。これが戦争だ」
「……軍人一家の教訓ですか?」
「小説で読んだ」
また、毎回出てくる架空兵器と、その模型っぽい解説が物語に彩りを添え、遊び心をくすぐります。
大公国軍野戦炊事ヘリコプター ガチョウハクチョウ
とか。
たぶんミリタリー知識があると色々とプラスアルファで楽しいのでしょうが、ミリタリー知識が無くても充分に楽しめます。基本的に、そういうのが“好き”な人向けではありますが。
仕事しないでSF小説を書いている上官とか、周辺キャラも徐々に動き出して、どう転がるか楽しみな感じ。
やたらに身の回りで評判が良いので読んでみたのですが、なかなか面白かったです。