はてなダイアリーのサービス終了にともなう、旧「ものかきの繰り言」の記事保管用ブログ。また、旧ダイアリー記事にアクセスされた場合、こちらにリダイレクトされています。旧ダイアリーからインポートしたそのままの状態の為、過去記事は読みやすいように徐々に手直し予定。
 現在活動中のブログはこちら→ 〔ものかきの繰り言2023〕
 特撮作品の感想は、順次こちらにHTML形式でまとめています→ 〔特撮感想まとめ部屋〕 (※移転しました)

『特命戦隊ゴーバスターズ』感想2

番組の感想というより、若干、作劇論より。
◆第2話「13年前の約束」◆ (監督:柴崎貴行 脚本:小林靖子
ん〜〜〜〜〜、とても、微妙。
1話の感想で書いたように、3話以降、どういう定型で話を転がしていくか次第だとは思っていますが、立ち上がりの2エピソードの出来としては、あまり面白くない。
全体的に、説明しようとしすぎた、かなと。
もちろん説明する事は大事なわけですが、バスターズサイドの設定説明(“ウィークポイント”絡み)とメサイアサイドの設定を一緒くたにした結果、情報過多になったきらいがあります。その上で、ウィルスに対する耐性がどうこう、という台詞がありましたが、その辺りの肝心な所が抜けているので、今ひとつすっきりしない。
あと、ウィークポイントの話を聞いて開口一番「まるでパソコン」って発想が出てくる眼鏡の子は、人間としてちょっとオカシイ。そういう性格設定なのかもしれませんが、あそこは設定の説明に綺麗に繋げようとして、かえって変な台詞になってしまいました。台詞が多少おかしいのはまだしも、それが人間性に問題を感じさせるのは、どうかと思います。
肝心な所といえば、怪人の暴れる理由が未だにわかりません。
巨大ロボット転送までの時間稼ぎ、という事でいいのでしょうか。
あの巨大ロボットの転送意図とメカニズムもいまひとつわかりませんし。
実は真っ先にハッキリと説明するべきだったのは
敵はなぜ小型怪人を暴れさせるのか? それとどういう繋がりがあって巨大メカが送られてくるのか? 如何にしてゴーバスターズはそれに対抗するシステムを作りだしたのか?
という事だったと思います(視聴者が考えれば何となくわかる――解釈する、のと、劇中でハッキリと説明がある、というのは全く意味が違います。そしてある要素について「説明する」か「解釈してもらう」かのバランスを取り間違えると、物語は混迷する)。
全てが謎、というのなら仕方がないですが、本部の反応を見ている限りは全て自明の理になっているようなので、ならば先にそこを説明してくれないと、
戦闘と物語が繋がらない
よく書く話なのですけど、“戦闘シーンを入れる”という約束事は非常に重要なものであって、それは出来る限り守られるべき。その上で物語の質を高めるには、その“戦闘に意味を持たせないといけない”。
それによって戦闘と物語が繋がる事で、劇的な空間が成立する。
『ゴーバスターズ』には、これが欠けている。
例えば今回、ロボット出現まで8分、という状況で物語が展開したのですが、その8分間にやった事は、怪人と戦う事だけ。
で、「3分残っているから余裕」と言っていたのに、巨大メカ出現したら大被害
付近住民の避難誘導をした形跡なども無い。
“出現時間”はわかっても“出現場所”はわからないのかもしれませんが、しかし「目標」は分かっているわけですし、色々とやりようはあった筈。
勿論、8分で何が出来るかといえば、効果的な避難誘導などは出来がたいのですが(ただし、フィクションの力を用いれば、可能である)、誘導した、というシーンを入れた上で被害が出るのと、シーン描写無しで被害が出るのでは、その意味が全く変わります
加えて言うと、そこで、避難誘導可能である、というフィクションの力を否定すると、あの青いトラックの亜空間な収納能力も否定しないといけなくなる、というのがリアリティのバランス。それは並立して共存しなくてはなりません。
ゴーバスターズが秘密組織などだったらまた事情は変わりますが、明らかにかなり公的な権力を持った組織なわけで、巨大メカ対策を何もした形跡が無い(自前メカの発進準備はしていたのでしょうが)、というのはあまりに不自然かつ杜撰。もしかしたら、70年代一部円谷系的なダメ組織なのかもしれませんが、そんなオマージュはいらない。
仮に“出現場所”がわからないのだとしたら、それを探知する努力をオペレーターがするシーンを入れたり、最低限として8分の間に避難誘導をするシーンなどを入れなくてはいけません(効果の有無は問わない。描写がある、という事が物語的に重要)。
そうする事でオペレーションルームの存在意義が出るし、それをやって始めて、
出現まで8分、という時間表示に意味が出る
結果、
物語の要素が劇的に連動する
この、“メタ的な約束事を含めた物語のための様々な要素をいかにして劇的に連動させるか”という事こそ作り手の腕の奮いどころなのですが、その部分が極めて出来が悪い。
評価を低くせざるを得ません。
何とか立て直してほしいです。
その他、幾つか。
前回に続いて親の敵のように被害に遭うサングラスですが、ツッコミ待ちだと思うので、ツッコまない。ただ、あれを繰り返すなら演出的に格好良く処理しないといけなくて、終始、ただ投げているだけ、になっているのは勿体ない。
相変わらず、キャラクターの掛け合いとそれによる個性の出し方は上手いですが、本筋が面白くないと仕方がない。
ウィークポイントはネタとしては有りだと思うのですが、症状の出方に違いがありすぎるのは、ちょっと気になります。赤がかなり致命的なのに比べて、青とか割と勇気と根性で何とかなりそうですし。早い内に、青が限界に達するととても酷い事になる(?)話は入れておいた方がいいよーな。
メサイアが何を言っているのかわからない(笑) 故意にしても、ちょっと、音をいじりすぎでは。
エンターは毎回、コスプレしてこそこそ泥棒する仕事なのでしょーか。今後はむしろ、ゴーバスターズの妨害をかいくぐって、如何にエンターが意外な所からエネルギー盗み出すかの物語、になるのか!(多分、なりません)
クリスマスプレゼントを車に積んでウキウキしていたら、あんな通信一つで世界の未来を託されてしまった長官には、心の底から同情する。