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『特警ウィンスペクター』感想19

嗚呼、今週の2本は、いい意味で濃くて感想書きとしては実に楽しかった(笑)
◆第31話「哀しみの最強ロボ」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:杉村升
なぜか夜景の遠景から入ったと思ったら、舞台はニューヨーク。
逃げ回るいかにもなギャングシルエットの集団を撃ちまくるのは、機械仕掛けの刑事!
「俺の名はロボット刑事ブライアン。
日本の警視庁電子工学研究所で生まれた
アメリカ連邦警察殺人課所属」

ハンドガンの他に、胸にガトリング砲まで付いており、それを容赦なく撃ちまくるという、凄い飛ばしっぷり。
日本はなんてものを輸出しているのか
舞台は代わって、日本の警視庁電子工学研究所。
年に1回のメンテナンスの為に帰国したブライアンを見た朝比奈博士(荒木しげる)は眉をひそめる。
アメリカさんに勝手に改造されたらしい
メンテナンスで帰国させる癖に、許可を取らずに強化改造(主に凶悪な方向に)とか、アメリカ連邦警察が凄すぎる。
「俺は後悔はしていない。俺は去年1年間で253人の凶悪犯を抹殺した」
すっかり、ハードボイルドになってしまったブライアン。
出兵前のブライアンと友人と言っていい関係だった博士の娘・夏美(小学校低学年ぐらい)がブライアンに会いに研究所にやってくるが、今のブライアンに会わせるわけにはいかない、と適当に誤魔化される。バイクル、ウォルターの兄弟機であり、かつては命を大切にする性格だったブライアン。
しかし、戦争は、人を変えるのだ。
逃ゲ出ス奴ハ敵兵ダ! 向カッテクル奴ハ訓練サレタ敵兵ダ!
「治安に対する考え方が違うのでやむを得ない」と一定の理解を示す正木だが、どうやらセーフティシステムが外されているらしいという事には、懸念を示す。その時、都内全域に怪電波が発生。メンテナンス中だったブライアンが、それに操られて研究所を飛び出していく。
「セーフティシステムが外されていた為、簡単に誘導電波に引っかかったんだ」って、アメリカ、おいアメリカ。
街に出たブライアンは、
「ターゲット モーターバイク」
と何故か道行くバイクを次々と攻撃。
その様子をモニターして、「悪党をかばうやつはみんな悪党だ」と笑う謎の男。
ブライアンを制止しようとした特警だが、ブライアンの圧倒的な戦闘力の前に次々と倒れ、ファイヤー、シリーズ初のダメージによるスーツの強制解除。ブライアンはいずこへともなく去り、更にブライアンに襲われたバイクの若者が死亡した事から、正木はブライアンの破壊許可を連邦警察に取ろうとする。
というか、米軍に責任取ってもらった方がいいのでは
それを必死に止めるバイクルとウォルター。
警視庁電子工学研究所で数ヶ月前から開発中の、ファイヤー用の新装備を視察に行く正木。
従来のドリルアームウェポンより遙かに強力な新兵器は、更に「マックスキャリバーをジョイントして、プラズマ光波弾を毎秒60発連射可能にする計画」であったが、「発射時の衝撃と熱にボディが耐えられず、冷却システムに一考の余地」がある為に、未だ完成していなかった。
……いや、そんなオーバーキルなスペックを付けなければいいのでは
警視庁電子工学研究所は、いったい何を想定して、新兵器を開発しているのか。
まあ確かに、暴走族が火炎瓶でひゃっはーしてきたり、ギャングがドラムマシンガン連射したり、死の商人が対戦車ロケットランチャー撃ち込んできたりする、危険が一杯の日常ですが。
しかし明らかに犯人確保とは目的が180度かけ離れていそうな兵器に税金を投入している人達を誰か止めた方がいいような。
今回も実験に失敗した新兵器の完成を朝比奈らに託し、研究所を離れようとした正木に声をかける朝比奈。実は事件の犯人かもしれない男に、心当たりがあるのだという。
男の名は、広崎。研究所で博士の片腕だった天才科学者。しかし半年前に娘ゆかりがバイクに轢かれて死亡し、2ヶ月前に研究所を辞めて姿を消していたのだった。彼なら、ブライアンを操る誘導電波を開発してもおかしくないという。
娘の形見の青い服の人形に語りかけながら、アジトでブライアンに指示を出す広崎。
「ブライアン、日本中のバイクをぶっ潰せ!」
再び街でバイクを襲撃するブライアンの前に現れ、止めようとする夏美。
「ごらんゆかり おまえと大の仲良しだった 夏美ちゃんだ」
その姿をモニターで確認した広崎は、狂気の果てに恐ろしい事を思いつく。
「そうだ、おまえも天国で一人っぼっちで寂しいだろう。夏美ちゃんを連れてきてあげるからね」
ブライアンに拉致される夏美。バイク襲撃事件の現場に向かっていて、ブライアンが夏美をさらう所を目撃した竜馬はそのまま追跡、広崎のアジトへと突貫する。
「おまえは正常じゃない。正気に戻るんだ!」
狂人に一番言ってはいけない事を(笑)
上司も部下も、本当に説得スキルが無い(^^;
着化したファイヤーを、ものともしないブライアン。
応援に駆けつけたバイクルとウォルターも交え、ここの戦闘は、メタルヒーローvsメタルヒーロー的な愉しさ。窮地に陥るファイヤーだが、広崎に捕らわれた夏美の呼びかけに、ブライアンの動きが止まる。苛立った広崎は、ブライアンに先に夏美を始末するように指示。夏美を工場の屋根から投げ落とそうとするブライアン。そこへ製造されたばかりの新兵器を手に正木や朝比奈も駆けつけ、トタン屋根の上に揃う面々。
正木から新兵器・ギガストリーマーを受け取ったファイヤーは、意外とタメなく、背後から一撃。もろともに落下し、夏美の救出に成功する。ダメージを受けながらも立ち上がるブライアン。もはややむを得ず、竜馬はギガストリーマーにマックスキャリバーをセット。マキシムモードの射撃により、ブライアンを撃破する。
まあ、数ヶ月前から開発中だったという事は概要は竜馬さんも聞いていたという事なのかもしれませんが、迷わず躊躇わず投げ渡された新兵器を使ってみせるのが、ヒーローの心意気。
ここで凄まじい爆風の中で、吹き飛んだファイヤーのヘルメットがギャラリーの足下に転がってくる演出は格好いい。
ダメージにより正気を取り戻したブライアンだが、駆け寄ってきた夏美に離れるように告げると、自ら距離を取り、爆発。
なんだかんだで竜馬さんは、相手がロボットの場合は、割とざっくり破壊やむなし。
そしてスーツ着て顔出しの竜馬さんは、本当に顔色が悪い。
疲労を示す為に、わざと疲れメイクしているのかしら。
こうして、暴走したロボット刑事ブライアンは、ファイヤーの新兵器の前に倒れた。だが、ブライアンを操っていた広崎は混乱に乗じて逃亡。果たして特警は、彼を捕まえる事が出来るのか……?!
というわけで、爆発も色々と派手だったパワーアップ編は、次回へ続く。
ゲスト的にも、風見志郎(V3)と城茂(ストロンガー)が共演していたり、力の入った1本でした。


◆第32話「警視庁を占拠せよ」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:杉村升
新兵器ギガストリーマーの使用訓練に勤しむファイヤー。
いつもの特訓場(採石場)で皆で見守りますが、なぜか純子さんが、ハワイ土産みたいなシャツを着ている。
通常モードではそこそこに使いこなせるが、マキシムモードでは威力が強すぎて、照準を上手く合わせる事が出来ないファイヤー。
……明らかに、欠陥兵器ではないでしょうか、これ。
無駄にオーバーキルですし。
肉体制御の為に、クラステクターの出力アップを進言する竜馬。
だが正木に「クラステクターの出力を上げると心臓への負担が大きくなって、命に関わる」と止められる。
……
…………
………………警視庁電子工学研究所の連中は、全員土下座
竜馬さんと国民の皆さんに土下座
色々と疑念のあった『ウィンスペクター』世界ですが、先週と今週で、特警のメカニックのバックボーンとなっているっぽい警視庁電子工学研究所(野々山はそこから出向か)が、かなりのダメ組織である事が発覚。税金の使い方に責任感が見えません。
まあ、民間がダメなので官も同様にダメというか、本気で治安が悪いので、一年戦争末期のジオン軍みたいな勢いで実験兵器を送り込まないといけないぐらい追い詰められているのかもしれませんが。
いのちをだいじに
この星がこんなに青く美しいのは、どんな命も同じまぶしさと重さで生きているからですよ?!


復讐を止めた警察機構に怒りの矛先が向くのではと、逃亡した広崎に対する警戒を強める特警。
なんとなれば広崎は警視庁のコンピューターシステムを作った中心メンバーの一人であり、システムの手の内を知り尽くしているのである。
警戒する特警を嘲笑うかのように、警官に変装した広崎は警視庁に潜入。偽造IDや変声機を駆使してセキュリティをくぐり抜け、ウィンスコードを強奪! 追跡する竜馬達だが、時速200キロを超えるウィンスコードに、普通のパトカーでは追いつけない。
こんな深刻度の高い回なのに、純子さんの花柄の服を見ると笑ってしまう。
おかしい、衣装班、おかしい!
振り切られた竜馬と純子を置いてウィンスコードを追ったバイクルとウォルターだが、どこかで見たようなアジトで広崎の待ち伏せを受けて捕まってしまい、通信が途絶。
果たして広崎がウィンスコードを奪った理由はなんなのか?
純子は積み込まれたクラステクターではないかと推測するが、
竜馬「いや、クラステクターは全て僕に合わせて作られている。他の人間では絶対に着化できない」
……まあ、着たら普通に死にますしね。
正木はウィンスコードに搭載されているマドックスの端末が目的ではないかと気付く。マドックスは警視庁のコンピューター全てに繋がっており、仮にマドックスの制御を奪われれば、警視庁のシステムは完全に広崎の手に渡ってしまう。そして正木の推測が的中し、ウィンスコードの端末からマドックスへハッキングを仕掛ける広崎。
ここで、ハッキングを受けたマドックスのコンソールから火花が散るのはご愛敬。
表現手法としてのCGが発達しているわけでも、それほど身近にコンピューターがあったわけでもない時代の子供向け特撮番組では、こういう風に表現するしかないのです(^^; 要するにまあ、凄い出鱈目マシンの一部、ですから。勢いで雰囲気を伝えるのが優先。
「頑張れマドックス! アクセスさせるな!」
コンピューターに精神論を説く正木
だが正木の激励(笑)や野々山の手助けにも関わらず、マドックスは広崎にシステムの制御を奪われていく。
正木の咄嗟の指示でハッキング元を探知しようとし成功するが、それを音声として伝える前に沈黙。
というか、自分の制御が奪われるまでをカウントダウンなんてしなければ伝えられたような(笑)
バイクによる轢き逃げで娘を失い、バイクを復讐の対象としていた広崎だが、その憎しみと狂気は更に拡大。竜馬達の予測通り、自分の復讐を妨害した警察に向けられ、更にそれを通じて日本中のバイクを排除しようと目論んでいた。
ううーん、
警察+バイク
バイクル、大ピンチ
手始めに警視庁のシステムを介して首都圏の信号機の機能が奪われ、街では交通事故が多発する。
前回今回と、色々派手。今回はけっこう、部分的に使い回しの映像を使っていますが
そしてマドックスを完全に掌握した広崎は、コンピューターから人間の脳に直接ダメージを与える謎の超音波を放射させ、警視庁を機能停止に追い込む。どさくさで負傷する純子。正木は執務机に収めていた、やたらにごつい銃を取り出し、竜馬と共にマドックス頭脳センターを目指す。その目的は、マドックスがギリギリで入手したハッキングの通信元、広崎の居場所の情報を、頭脳センターに保管されているデータから直接読み出す事。
だが!
竜馬「危険です! 手続きを踏まず室内に入れば、入り口の非常ハッチが閉じ、防衛システムが作動して攻撃を受けます!」
ま た そ れ か
だが手段は他には無い。頭脳センターに侵入し、防衛システムに撃たれまくる本部長。超音波停止の為に頭脳センターの主電源を落とすと、防衛システムに撃たれまくりながら、ディスクの形で保管されているデータをセンター内部のコンピュータで読みとる事に成功。竜馬にそれを伝えるが、出血多量の為か、気を失って倒れる。
……これは最終的なセキュリティとして、頭脳センター内部に、マドックスとネットワークを繋いでいない旧式のパソコンを置いてある、という事なのかなー。ツッコミ所が色々と多すぎてツッコミきれませんが(ツッコミに更にツッコミを入れざるを得ない多重ツッコミ状態)、雰囲気としては嫌いではなかったり。
まあそれより何より、防衛システムが過激すぎですが。
この世界では普通なので、仕方ないといえば、仕方ない。
自爆しないだけ警視庁はまともだと思いたい
警視庁のメインシステムが強制停止した事に気付かれたら、次に広崎がどんな手を打ってくるかわからない。正木の言葉を受けた竜馬はギガストリーマーを手に、広崎のアジトへと向かおうとする。
純子「まさか一人で乗り込むつもりじゃ!」
竜馬「今警視庁を救えるのは、僕しかいないんだ!」
(君が変なシャツ着ているからな)
まあ、手に持つのがギガストリーマーでなくても良い気は多分にするわけですが。
新武器アピール回と言えばそれまでなのですが、前回がしっかりと、先にブライアンの圧倒的強さを描く事で、新兵器でなければいけない理由をアピールしていたのに対し、今回そこの踏み込みが足りなかったのは残念。
広崎のアジトに突入し、防壁をギガストリーマーマキシムモードで打ち破る竜馬。だが広崎は、狂気の嗤いを収めない。
「マドックスを簡単にハッカーする事ができた、コンピューターの本体がこれだ。成長する事は勿論、意識を持たせる事だって出来るんだ!」
元の台詞まま。今だと普通「ハッキング」と言う所だと思いますが、1990年当時だと「ハッカー」でもおかしくなかった? ……そんな事、無いと思いますが。専門用語を勘違いしたのか、なんか変なわかりやすさ優先(たまにある)の大人の事情か。
コンピュータの頭脳部分に、娘の形見の青い服の人形を座らせる広崎。
「ゆかりの命を奪ったのは科学だ! 悪いのは科学だ! だから日本中のコンピューターにアクセスして、新幹線も飛行機も全てぶっ潰してやる!」
「馬鹿な真似はよせ!」
「さあゆかり、好きなだけ暴れるがいい。日本中の科学をぶっ飛ばすんだ!」
起動するも、火花を噴くコンピュータ。
「ゆかり! どうしたんだ?!」
「わからないのか! コンピュータが意識を持ったため、科学を否定されたことで、自分も否定されたと思って混乱しているんだ!」
「やめろゆかり、やめてくれぇ!」
コンピューターの防衛システム(だからなぜ銃をつけるか)に撃たれて、娘の名前を叫びながら絶命する平崎。
コンピューターに接続する為に置かれていたウィンスコードに乗り込み、着化する竜馬。ギガストリーマーマキシムモードを放とうとするが、少しでも照準がズレれば、バイクルとウォルターを直撃してしまう。竜馬は二台の命を守る為に、クラステクターのエネルギーを強化する!
「自分の命はどうなってもいい!」
……いや、良くないですから(^^;
バイクルとウォルターは直る(多分)けど、ファイヤーは後継の選出に困るので勘弁して下さい。
決死のファイヤーの放ったプラズマ光波弾はコンピューターの防御システムをかいくぐり、直撃。コンピューターは爆破炎上し、バイクルとウォルターも解放される。その場にぽつんと残された、ゆかりの青い人形。
ここで物言わぬ人形と広崎の姿を見て、綺麗事でまとめないで、竜馬が無言のまま、というのはいい。
最後は勢いとしては格好いいのですが、やはりマキシムモードの必然性が薄かったのが残念。
そしてこんな回なのに、デミタス空気
(一言喋って、マドックスの爆発に吹っ飛ばされている)。
主人公パワーアップ編という事で、濃い前後編でした。大量のツッコミ所も含めて、面白かった。