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『特警ウインスペクター』感想29

◆第48話「特警を壊滅せよ!」◆ (監督:小笠原猛 脚本:杉村升
本編初、竜馬さんのお部屋公開。
さすがエリートは、机に六法全書置いている!
パジャマ、変だけど
本部に集うウインスペクターの面々に、衝撃の辞令が下される。
なんと、インターポールからの招聘要請で、世界的な救急警察組織の先鞭として、ウインスペクター丸ごと、フランスへ出向することになったのだ!
竜馬、純子、バイクル、ウォルター、デミタスがフランスへ出向し(野々山に関しては一切言及無く不明)、本部長は日本に残って、ウインスペクター不在の日本を守る新たな組織作りに着手する事となった。この予想もしなかった任務に沸き返るウインスペクターの面々。そんな中、竜馬は妙な頭痛に悩まされていたが、定期診断や医師の診察では、体に異常は見られない……。
本部長の新組織作りは、確か次作『ソルブレイン』に世界観がまんま繋がるから、その前振りというところでしょうか。
後に残す優子の元へ向かった竜馬は、彼女の 度重なる生命改造実験の結果 懸命の努力の結果、廃液で汚染された土壌に遂に咲いた花を見る。
「ところで優子、お兄ちゃん、実は……」
「知ってる、フランスへ行くんでしょ。新聞で読んだ」
報告に来るの遅すぎるよ竜馬さん
その足で、両親の墓参りに向かう二人。
ここで遂に明かされる竜馬さんの家族関係。竜馬の父は家事で燃える家から妹・優子を救い出し、更に母を救おうと家の中に飛び込んで、二人共に帰らぬ人となったのだ……果たしてこのまま自分はフランスへ行ってしまっていいのか? 優子を前にして、決意が揺らぐ竜馬。ひたすら健気なできた妹も、さすがにこらえきれず、涙をこぼす……。
その頃、本部で新組織設立に関する上申書を執筆中の正木。
……来月早々にウインスペクターが出国してしまうのに、今から上申書は遅すぎやしませんか(^^;
折角前振りをするなら、その辺りにもう少しリアリティがあればもっと良かったのですが、この辺りは、どだい地続きで次回作へというのと劇中の設定を摺り合わせるのに無理があるか。やろうと思うとどうしても、最終回に次代のヒーローが出てきて、力ずくで納得させる、みたいな形になってしまうので、仕方ないかもしれません。
まあ多分、例の研究所では既に変な新スーツその他が開発されていて、それと上層部を摺り合わせる、出来レースなのだとは思いますが(笑) 本部長の得意技は、《寝業》と《根回し》だから!
そんな正木はふと文書執筆の手を止め、ウインスペクターの戦いに思いを馳せる。
「特にファイヤーは、クラステクターの重圧に耐え、頑張った……」
始まるファイヤーの活躍の回想シーン…………の筈なのに
なぜか途中で自分の活躍シーンを挟む正木
それも1回どころでなく、3回ぐらい
激しくおかしすぎる
そこへ、「フランスへ行ってほしくない」という多数のファンレターの詰まったダンボールを手に、「ワシら本当にフランスに?」とやってくるバイクルとウォルター、別れの挨拶にやってきて、二体を抱きしめて男泣きにくれる六角刑事。
ここから、バイクルとウォルターの活躍シーンの回想へ。
なんか色々と、大人の事情は感じるのですが、ここで総集編的な回想シーンが入った事自体は格好良かったと思います。
上手く誤魔化したというか。
ちゃんと、良太、久子、純子の回想シーンもありました。
しかしいちいち、敵が面白すぎる(笑)
それぞれがフランス行きに思いを巡らせる中、東都映画撮影所で爆発事件発生の報に出動する特警。その救助活動の途中、竜馬をまたも襲う謎の頭痛。そして、フラッシュバックする過去の火災……優子の姿……「僕の頭は、いったいどうなってしまったんだ……」……果たして、ファイヤーの身に何が起こっているのか?!
激務による疲労か、妹を置き捨ててフランスに行くストレスか、はたまたクラステクターの副作用か?!
炎の中で遂に倒れるファイヤー。
ウインスペクターは、どうなってしまうのか!!


物凄い久々の、オールキャスト揃い踏み。
全体の3分の1ぐらいが回想シーンだったり、次回予告が今回の映像とごちゃまぜだったり、47話クライマックスの使い回しっぽい映像といい、この終盤の制作状況は本当に何か色々と厳しかったのでしょうか……?


◆第49話「翔べ希望の空へ!」◆ (監督:小笠原猛 脚本:杉村升
撮影所の中で倒れ、バイクルとウォルターに助けられたファイヤーは、病院で安静中。クラステクターの着化タイムリミットを20分以上オーバーしてしまった事もあり肉体と脳への負担が大きい事から、しばらくは着化を禁じられる。
見舞いに来た本部長と純子に撮影所での体験を伝え、「ただの頭痛とは思えない」竜馬は、自室の調査を依頼。竜馬の部屋を探った正木はそこで、謎の発信機を見つける。
散々、クラステクターはやっぱり危ないのでは、むしろ普通に危ない、と思わせておいて、実は悪の陰謀でした、という、捨て身のミスディレクション
その発信機は、脳波に影響を与えて過去の記憶などを呼び起こし、究極的には人の本能を目覚めさせるという装置であった。精神障害の治療器具として開発が進められていたが、その危険性の側面から、現在は開発中止。そしてその元々の開発者は――黒田鬼吉!
かつて、改造したNASAの月探査ロボットR24号を用いてタンクローリーを強奪、ライバル研究者への復讐という私怨の為に、東京をパニック状態に陥らせた狂気の男であった!
まさかの、1話ゲスト悪役、再臨。
最初の事件を起こす際に念のためにもう一台のR24号を確保していた黒田は、R24に地下トンネルを掘らせて監房からの脱出路を作り、しばしば刑務所を抜け出しては特警への復讐の為にアジトで暗躍していたのだった! 発信機を竜馬の家に密かに取り付け、撮影所を爆破、竜馬を危地に陥れた黒田は人質として優子をさらうと、大型化した発信機を用い、都内の広域に凶暴化電波を発信する!
「東京を獣の街にして、ファイヤーもウインスペクターもぶっ潰してやる!」
大暴動が発生し、竜馬不在の中、純子、バイクル、ウォルターが、警官隊と共に鎮圧に出動。一方、黒田の監房を調査した正木は地下トンネルを発見。黒田のアジトへたどり着くが、凶暴化電波を浴びて苦悶する。
過去の記憶などを呼び起こすらしい電波を受けて、苦しむ本部長の脳裏に浮かぶ謎のイメージ映像なのですが……えーと本部長、もしかして、過去に旧支配者と遭遇している?
暴動発生の報に病院を抜け出していた竜馬は本部長からバイクルとウォルターへの救援以来をキャッチし、暴動鎮圧の為に身動き取れない二体に変わり、命がけで着化。黒田のアジトへと向かう。
自らは電磁バリアを張り、本部長に予備の超音波遮断装置を渡した竜馬は、立ちはだかるR24と戦闘。非常に珍しく、マックスキャリバーでの立ち回り。そしてアジト内部へ入った正木は、黒田へと銃を向ける。
「その機械を止めなければ……貴様を殺す!」
「殺す? はははははは、遂に本性を現したな。人の命を守ると言いながら、貴様も殺しの好きなただの獣にすぎなかったのか。撃て、撃てるものなら撃ってみろ!」
黒田の挑発に、撃鉄を起こす正木。
ウインスペクターの使命とは、人命を守る事にあった。新組織を作るにあたって、それだけでいいのだろうか? たった一人の凶悪犯によって、大勢の犠牲者が出た場合、その凶悪犯の命を守る必要があるのだろうか?)
ここで、前回の上申書執筆と絡めたのは上手い。
何故か物語のテーマを持っていく正木(笑)
その時、壁を突き破って竜馬とR24が両者の間に闖入。ファイヤーはパルスガンで黒田の持つ凶暴化電波発信装置を破壊すると、マックスキャリバーで切り落としたR24の右腕のソードを、R24の腹に突き刺す!
ロボット刑事が二体、部下に居るとは思えないレベルで、最後までロボットにはえげつない竜馬さん
正木が優子を助け出し、半壊したR24には、とどめのギガストリーマーマキシムモードが炸裂! R24は吹き飛び、黒田は壊れた電波発信システムの下敷きとなり、東京広域に発信されていた電波は停止する。
……あ、あれ、黒田、助けないの??
本部長がやむをえず殺そうとする凶悪犯をも竜馬が命がけで助けるシーンかと思いきや、ごく普通に装置の下敷きとなった黒田は、アジトの自爆装置をぽちっとな。
「正木、おまえは、ワシを、撃とうとしたな。やっぱり、獣だった!それが、ウインスペクターの正体だ、はははははは」
壮絶に爆死
慌てて逃げる3人。
ううーん、上司(正木)の哲学や思想性とはまた別に(それも重要)、現場でとにかく命をかける男(竜馬)の姿を対比させる事で、どちらも必要な正義、という風にするのかと思いきや、黒田、ざっくり放置プレイ。
竜馬さんも、妹助けたから満足だ、みたいな感じだし(^^;
まあ竜馬さんのHPとMPの残りが3ずつぐらいなので、それどころではなかった説が濃厚ですが。
そして、世界中の人の為にフランスへ行って、と快く竜馬を送り出す決断をする、よくできまくった妹。
このあと本部長が、新組織のテーマとして、
「人の命だけでなく、人の心も救う」
とか言いだすのですが、説得力がががががが
えー、今回の事件は誠に遺憾ですがこの反省を次に活かしたいみたいな。
というか、最後の黒田相手の葛藤は本来、竜馬の対面するべきところであって、それを何故か正木が持っていってしまったので、色々とおかしくなっているような気が。いやだってほら、正木はそもそも、いざとなったら射殺しそうじゃないですか、犯人。
今作では基本的に、例え悪党でも誰かの命を救えなければウインスペクターの負けなので、最終回で主人公達が敗北して次回作へ繋がる、という凄い展開に。
うーん、今作は悪玉を“人間の犯罪者”と置く事で、ヒーロー物における、“正義のヒーローは悪玉をざっくり倒して大丈夫”という部分へのアンチテーゼをしていた所もあったのですが、終盤のギガストリーマー乱舞の流れで、それを放り投げてしまったのは残念。
勿論、どうしようもない悪というのは存在するわけですが、それはさておき命を助けるのがウインスペクターであり、香川竜馬であり、ラストで黒田を助けようとする仕種も無かったのは(それどころか、間接的にマキシムモードのオーバースペックが黒田を仕留めている)、というのは、面白いシリーズだっただけに、1年のラストで、惜しかった所であります。
そして、飛行機を背景に海を見つめる正木、
「ありがとう、ファイヤー、さようなら、ウィンスペクター」
まさかのラスト、本部長オンステージ(笑)
ううーん、最終2話は、次回作へのふりみたいな話に終始してしまったなぁ。
当初はこのコンセプトでどうなることだろうと心配したものの、意欲的なエピソードがなかなかのクオリティで並び、意外と中だるみも無かったものの、ラスト1クール、息切れした感。
それでも、シリーズとしては非常に面白かったです。
主人公がとにかく格好良かったというのもポイント高い。
竜馬さんは本当に格好良かった。
続く『ソルブレイン』も楽しみです。
その他、全体の構成話や、思いついた事などあれば、後にまとめで。