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特撮脳で見た『魔法少女まどか☆マギカ』3話

引っ張るなぁ。
2話のラストを受けて契約の流れになるのかと思いきや、引き続き「願い」について悩み中。さやかの事情に触れつつ、「願いとは何か」という事について掘り下げていくという展開。
その後、病院で魔女の卵を発見して……という所で、結局さやかはどさくさで契約するのかと思わせておいて、やはり契約まではせず、と巧くはぐらかしてきます。
この、展開を誘導しておいてちょっとずらしてくる辺りの呼吸は、実に巧い。
今度はこれを繰り返しすぎると見ている方のストレスになってくるので、どこでどうカタルシスに繋げてくるか。
微妙に詳細が小出しにされている「契約」は、先払い方式らしき事が判明。またきゅうべえの台詞から推察すると、「願いに応じて力の強さが変わる」? 強く困難な願いほど、強力な力を発揮できる代わりに、月賦期間(魔女と戦う期間)が長いのか?
まだその部分――魔法少女は永続契約なのか? については、語られていませんが。
きゅうべえが油断ならない生き物らしい事は聞き知っていますが(具体的な事は知らない)、まだ「契約によるきゅうべえのメリット」も語られてなかったり。
あと、きゅうべえがあくまでも
「願い事を言わせないといけない」
というのは、凄く古式ゆかしいルールに縛られているっぽくて面白い。
マミさんのあれは、TwitterのTLなどで散々流れていたのでどんなショッキングシーンかと構えていたら、映像的には思ったより普通。どんな酷いシーンなのだろうと、脳内妄想だけが先行しすぎていましたよ! いや勿論ここでは、“3話にしてマミさんがざっくり殺られる”という展開そのものがショッキングなのであり、映像の話ではないわけですが。
ちなみにどれぐらい酷いものを想像していたかというと、まどかが魔法少女になる決意について語って、もう一人じゃありません、と言われて涙を流して微笑む辺りで、背後から首ちょんぱ、ぐらいの展開だと思ってドキドキしていたとか。
そしてやっぱりマミさんのこの辺りの台詞なんかは、魔法少女の皮をかぶった、90年代までの特撮ヒーローを鏡面として世界観を再構築した、00年代特撮ヒーロー的。
もっとも、少女向けアニメなどにはまるで造詣が無いので、そちらの世界では既にこういった世界観が構築され済みだったのかもしれませんが。
誰か全面的に造詣の深い人が、〔『仮面ライダークウガ』以後における、00年代の戦隊・ライダー・そしてプリキュアにおける東映ヒーロー像〕、とか、まとめてくれないものか。
ところで話はずれますが、90年代以前に、特撮ヒーロー物の定義に疑問を持つ特撮ヒーロー作品、が無かったかのかといえば、個別の作品に関しては決してそんな事はありません。あくまで、定型的な全体モデルの話として、大きなブレイクスルーを発生させたのが『仮面ライダークウガ』、という話。
その延長線上に位置すると思われる今作の主人公が、“自分に自信を持てない平凡な女の子”という古典的な少女マンガテーゼに乗っけられてきた、というのも面白い所。秘めた資質の大きさこそ語られますが、まどかはあくまで平凡な少女であり、平凡ゆえに「憧れ」を願いとする。
するとここで、「平凡な少女が憧れの存在に変身する」というオーソドックスな(?)魔法少女ものの構造が顔を出す。
さて少年のヒーローと少女のヒロインにはちょっとした違いがあって、
ヒーローは、周囲からは憧れられる存在であるけど、本人にとっては憧れではなく自明。
ヒロインは、周囲から憧れられる存在であると同時に、本人にとっても憧れの対象。
故に、“ヒーローへの憧れ”と“ヒーローである事”が共存しえない、というのが基本的な少年の世界の論理。
逆に少女の世界では、“ヒロインへの憧れ”と“ヒロインである事“が共存しえる。
(この辺り、うまく説明しきれないので詳しく踏み込みませんが、つまりはヒーローというのは“生き様”なのです)。
となると、少女的な世界観で憧れの対象となった魔法少女、しかしその魔法少女は極めて少年的な世界観に立脚するヒーローであった、というキメラ的な融合がここで起こったのではないか。
その「憧れ」のリタイアにより物語がどう転がるかもわからなくなってきましたが、この化学反応がどこへ行くのか、だんだん面白くなって参りました。