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『特救指令ソルブレイン』感想22

◆第36話「何度目だ、不祥事」◆ (監督:東映太郎 脚本:正木俊介)
じゃなかった


◆第36話「誘拐犯は隊長!」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:杉村升
西尾大樹・営利誘拐で逮捕。
うーんまさか、ここまで35話が全て、主役交代の為の前振りだったとは。


……まあ冗談?はさておき、パトロール中、誘拐未遂事件に出くわした大樹は少女・江口恵子を助けるが、なぜか本部への無線が通じない。公衆電話からかけても「おかけになった番号は現在使われておりません」。更にあろう事か、新宿の大型モニターで身代金目的の凶悪誘拐犯として報道されてしまう。
困惑する大樹の前に姿を見せる白いシルクハットの老人。そして道行く人々に囲まれる大樹。いったい、何が起きているのか……?! 問答無用で逮捕されそうになって逃亡を図った大樹は、もみあいになって警官を撃ってしまう。
「違う! 違うんだ!」
ああうん、犯人はみんな、そう言うんだ。
演出としては、人々に囲まれる辺りから、ちょっと様子がおかしい、普通の世界ではない雰囲気。東映的にいえば、魔空空間っぽい感じ。となっています。
すっかり逃亡者になった大樹と恵子は、使われていない倉庫の中に逃げ込む。
「どうしてこんな事になったんだ。どうして……」
うんだから、犯人はみんな、そう言うんだ。
そこへ倉庫にあった、線の切れている筈の電話にかかってくる、本部長からの電話。
「自首するんだ」
そして急に映ったTVには、娘が誘拐された哀しみを訴える両親の姿。続いて流れるTVゲームのCMにはあの白いシルクハットの老人が登場し、大樹はその顔に見覚えがあるが、どうしても思い出せない……。少女の家に向かう大樹であったが、中は無人。そして再びTVからCMが流れ、「みんなで買って良い子になろう 良い子はみんな持っている」という文句が「みんなで買って悪い子になろう」と響き、強烈な頭痛が大樹を襲う。
少女とともに表に出た大樹を待っていたのは、銃を向ける玲子! &機動隊。
「本部長は、隊長の顔なんか見たくないって言ってるわ」
という台詞はなんか、親子喧嘩みたいです(笑)
更に姿を見せた両親の元に戻った少女が豹変、大樹を誘拐犯だと名指しし、哀れ大樹は機動隊によって逮捕されてしまう。
「違う!これは罠だ! 本部長に会わせてくれ!」
だから、みんなそう言うんだって……。
取り調べ室ですごむ増田と、虫でも見るような目の玲子さんから、間違いなく自分の声である脅迫電話のテープを聞かされる大樹は、必死に正木への面会を要請するが、拒否され、廊下でたまたま出会った正木にも冷たく一蹴される。
これまでも数多の不祥事を揉み消してきた実績からか、今回の大樹はやたらに本部長に会いたがります。「本部長に会えば全て解決する」みたいな態度が怪しすぎて仕方がありません(笑)
牢屋の中で考え込む大樹。なにかが、なにかがおかしい……必死に考える内に思い浮かぶ、鉄パイプで殴られた記憶……白衣の男……「そうか、そうだったのか」。いきなり始まった裁判で死刑を言い渡される大樹だが「本当の悪党になってやる!」と裁判所を逃亡し、その前に、ラスボスのように登場した正木が立ちふさがる。
「大樹……貴様とうとうおかしくなったか」
全てを幻覚だと理解した大樹は、正木に向けて発砲。更に玲子、増田を撃ち殺し、空に向けて銃を乱射すると……世界が壊れていく!
全ては、キダ博士の恐るべきマインドコントロール実験であった。人が急に植物人間になる事件を追っていた大樹は逆に博士と助手に拉致され、マインドコントロール装置により人を悪党に変える最後の実験台にされていたのだった。だが大樹はその精神力で装置の見せる幻覚を打ち破り、半狂乱になった博士は施設ごと自爆を試みた所を、駆け付けた玲子達の協力もあり、逮捕される。
「全ては、科学の進歩の為だったんだ……」
「違う! 人の心を忘れたところに、本当の科学の進歩なんてない!」
博士達は逮捕され、幻覚の素材として用意された写真に目をやる玲子。中で少女の写真をわざわざクローズアップして、事件とは無関係な子だ、と大樹に強調させる必要性は全く無かったと思うのですが、まさか今後の伏線……? 単純に「で、この娘は?」と疑問が残るのをすっきりさせようとしただけの気もしますが、むしろ変になったので要らなかったような。
「ところで本部長は?」
「心配して待ってます。急いで帰りましょう」
ニコニコ笑顔で本部へ帰る大樹達。
……え、何それ、そのオチ(^^;
いやまあ、部下が行方不明になって正木が心配するのは普通と言えば普通なんですが。
「本部長が僕を信じてくれないなんて有り得ないです。だから幻覚だと見抜けたんです」
と、得意満面の笑顔を浮かべる大樹と周囲の雰囲気に漂う、この微妙な気持ち悪さはなんだろう(笑)
うーん、『ソルブレイン』だと、上司と部下の篤い信頼というより、男達の体育会系的いちゃいちゃよいしょに見えるのはいかがしたものか。たぶん、大樹と増田の関係が悪いんですが。特に増田が最近、「僕が好きなのは先輩で、民間人とかどうでもいい」のを隠さなくなっているのが。
今回はAパートまるまる逃亡者・大樹(明らかにおかしな世界である事は演出していますが)、Bパートも冒頭から大樹の取り調べにノリノリの玲子&増田と、魔空展開を凝って貫いたのが良かったです。こういうのはやはり、やりきってこそ面白い。