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『特救指令ソルブレイン』感想28

◆第47話「脱線!占い捜査隊」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:扇澤延男)
二人組の犯人による10億円強奪事件の時効が間近に迫り、「占いに頼るってのはどうですか?」と増田の素っ頓狂な発言で、増田曰く“凄い占い師”のもとへ向かうソルブレイン一行。街角にテーブルを出して大行列のその占い師であったが、実は整理係の男がそれとなく聞き出した悩みの内容を無線で占い師の女に伝えるという、いわゆるホット・リーディングを用いていた。
それを大樹に指摘された増田は大声で「いんちきか」と言ってしまい、集まっていた客達が全て去ってしまう。
そんな増田に、つかつかと歩み寄った女占い師・薫の、平手打ちが炸裂!

「あんたいくつよ? 世の中ぜーんぜんわかってない」

うんそいつは、わかってない。

「占いっていうのは、悩んでいる人達に希望を与えてあげるのが仕事なわけ。うまくいかない人達がいれば、必ずいい事がある、って肩を叩いてあげるの。人間そう言われりゃ、そうかなあっ、てがんばっちゃうでしょ」

その言い分に、うんうん頷くドーザー(笑)
更に何か言おうとする増田を止めようとする大樹であったが、
「隊長? はっ、どっかで見たロボットが居ると思ったら、あんた達、ソルブレインね」
「ごめんなさいね、あなた達の仕事の邪魔をするつもりは、なかったのよ」
玲子さんもたいがい、上から目線。
「わかったろう純、占いで事件を解決しようなんで無理なんだ」
「占いなんか信じた俺が馬鹿だったんですね」
火に油をそそぐ増田。
「占い、なんかぁ……?」
「あ……いえ……」
ソルブレインの、馬鹿!」
腹の虫が治まらない薫はソルブレインに一泡吹かせてやろうと復讐を計画。占いで整理係を務めていた、姉に頭の上がらない弟・昌平もそれに巻き込まれる事になる。
「大火事起こしてやるのよどかんと一発!」
と派手にぶちあげる姉を止めたいが止められない弟。
姉がソルブレインと揉めている間に物陰に隠れて見ているだけから喫茶店のやり取りまでで、姉弟の性格と関係を見せる展開は鮮やか。
ところで、姉弟が話し合う喫茶店が久子さんの店に見えて仕方がありません。
発煙筒とテープレコーダーを組み合わせて偽の火事を仕掛け、ソルブレインに一杯食わす所を妄想する薫。
「どうして……正義の味方の僕たちが、なんでこんな悪戯されなきゃいけないんだ!」
妄想の玲子さんがコミカルな演技で楽しそう。
廃工場に罠を仕掛けた薫はソルブレイン本部に乗り込んで火事を予告(占いで予言)、現場を見下ろせるビルの屋上でソルブレインを待ち受けるが、予告した時間、なぜか廃工場は大爆発。ソルブレインがレスキューに駆け付けて消火にあたり、現場からは放火装置と焼死体が一つ発見される。慌てて逃走中に捕まって、任意同行を求められる姉弟だったが、火災が発生したのは薬品倉庫からで、姉弟が発煙筒を仕掛けたのは動力室であった。いったいどうして……?
ここで、回収されてきた発煙筒の時限装置を見て、
「どうしてこんな初歩的な配線ミスしちゃったの?」
と亀さんがコメントするというのは、亀さんの使い方として秀逸。亀さんは本当に、こういう細かい所で“メカに詳しい”のを随時アピールするべきでした。
更に、発見された焼死体の死因が火事ではなかった事が判明。放火は、運び込んだ死体を始末するためのものであり、どうやら真犯人に利用されたらしい姉弟を、ソルブレインは釈放して泳がせる事にする。
おそらく作品のタブーであろうレスキュー現場での焼死体を出して視聴者を驚かせると同時に、姉妹を引っ張るに充分な利用をつけつつ、軽い悪戯の筈が重大事件に?! という面白みを出し、その上で作品のタブー回避(実は焼死ではなかった)を事件の真相に繋げる、という構成はお見事。
それにしても本部に乗り込んできた時といいどうして、大樹の薫を見る目は、妙に(上から)楽しそうなのか。
釈放された薫は増田に「あんたさー。その単細胞のオツム直さないと、彼女できないよ?」ともっともの罵声を浴びせ、「今度は絶対バレない手考えるから」と捨て台詞を残して去ると、今度は事件の真犯人を捕まえて一泡吹かせてやる、と姉弟が悪戯火事を起こそうとしている事を唯一知る人物、あの喫茶店のマスターを尾行。そんな二人を、増田が更に尾行。
増田からの連絡を受けて喫茶店のマスターの前歴を探ったソルブレインは、荒井というマスターが、かつて10億円強奪事件の犯人として事情聴取を受けていた事を知る。多額の借金の取り立てに追われていた荒井であったが、1週間後に返済のあてがあると債権者に約束していたともいう。10億円強奪事件の時効は一週間後……事件の犯人は二人組……荒井が姉弟の計画を利用して火事を起こし、時効を前に相棒を始末して10億円の独り占めを目論んだならば、全ては繋がる――!
さっそく増田へ連絡を取る大樹達であったが、増田は姉弟ともども、3人まとめて見事に捕まっていた。縛り上げられ、ガソリンをまかれ、まとめてこんがり焼死体にされそうになる3人。
「こら犯人! おまえの事をあの世で待ってるからね、あたし! いつか、おまえがあの世に来た時、往復びんた百発ぐらいかましてやるからね!」
「あんたって、常識外れに気が強いんだね」
感心する増田(役立たず)に、15の時に両親を亡くし、それ以来、弟を育て上げてきたと語る薫。そんな姉弟の人生に、「こら弟! どうして大学を中退した!」と調子を合わせる増田(役立たず)。ひたすら泣きの入る弟だが、「こんなヤツに謝るんじゃない昌平。言ってやれ言ってやれ」と、姉は弟が高い学費を気にして自ら中退した事実を知っていた、と互いを思いやる姉弟の姿。
「泣くなよ昌平……泣くなったら」
だがそこへ、隠していた金の積み込みを終えた犯人がライターを手に姿を見せる。
「さあ……いよいよ三人とも最後の時が来たな。あの世で会えるのを楽しみにしてるよ」
実に洒落ていて、小憎らしい台詞。
ガソリンに火がつけられ、炎上する倉庫。車で立ち去ろうとする犯人だったが、その前にソルブレインが駆け付ける! 大樹は取り調べ室から釈放する際に薫がポケットに突っ込んでいく形で残していった無線受信機(占いに使っていたものだと思われる)の周波数からクロス2000に送信機の位置を辿らせ、彼等の場所を発見したのだった!
炎上爆発する寸前、増田(役立たず)達を救出するソルブレイバーとジャンヌ。
ブレイバー、竜馬先輩の真似をして、薬品をトルネードバーストで吹き飛ばす。
逃走する犯人は車でドーザーを蹴散らすが、そこに駆け付けたナイトファイヤーによって逮捕される。ナイトファイヤー/香川竜馬はヘルメット脱いで顔出しまでしながら台詞が無いという相変わらずの2号ロボ扱いなのですが、ドーザーを蹴散らした犯人の車に突っ込んでいったのが格好良かったので、まあ良し。
どうしてこの場所がわかったのか、について大樹が3人にネタばらし。
「これのおかげさ。運が良かったんだ」
「何が運よ。こうなる事を予想して、それ渡しといたんじゃない。最初から私の占いに出てたもん。ふふーんだ」
強がる薫であったが、皆に見えない所で涙を流すのであった。
と、最後まで「占い」とか「泣く」という途中途中で振った言葉をキーワードとして用いる、という扇澤脚本らしいテクニカルな拾い方。
惜しむらくは、キーアイテムとなった無線受信機が、取調室で凄く強調して大樹のポケットに入れるので何か伏線であるとはわかるものの、見た目で何だかわかりにくかった事。これが映像的にすんなりわかるものであれば、もっと良かったのですが。
こうして事件は解決し、薫と昌平は
「10億円強奪事件の犯人をピタリと当てた占い」
と幟を立てて占い師稼業を再開し、転んでもタダでは起きない姉弟であった。
ナレーション「でこぼこの きょうだいたわむる ふゆのひるさがりかな  じあまり」
で、オチ。
全編に扇澤脚本らしさが溢れた、名作回。
これで、市民に対して暴言を吐きまくる増田(役立たず)姉弟を守って刑事らしい活躍を見せる(事でちょっと見直される)ようなシチュエーションがあれば、完璧だったのですが。
増田がいいとこ(別に戦闘で活躍しなくても、犯人から姉弟をかばうとか、そういうレベルでいい)見せるのかと思いきや、場面変わったら捕まっている上に火がついても何をするわけでもなく今回も「ブレイバー!」「ブレイバー!」と叫んでいるだけだった、というのは実に残念。
ソルブレイン』にしては珍しく、亀さん、ドーザー、玲子、としっかりキャラを使い切っていただけに、増田の見せ場を用意できなかった所が、惜しかった。もはや増田は、作っている側でも、増田だから仕方がない、というレベルの存在なのか(^^;
そしてやはりこの時期、特撮ヒーロー物において、脚本のテクニカルさでは扇澤延男と井上敏樹が双璧。90年前後のメタルヒーローものが全く抜けていた為なのですが、扇澤延男という脚本家をここまで知らずに生きてきたのは、実に勿体なかったなぁ。これなら『ジバン』も、扇澤脚本回だけでも見たかったレベル。