『ジャッカー電撃隊』のOPは主題歌も格好いいのだけど、黒いテーブルの上にシャッフルしたトランプをずらーっと並べる演出が凄く格好いい。
それにしても最近、大平透が喋ると大概世界の大ピンチで、ひどく不吉だ。(※初期の戦隊シリーズのナレーションを担当)
犯罪結社クライムに対抗するべくサイボーグによる特殊部隊を結成しようとする鯨井長官だが、候補者の一人、オリンピック近代五種の金メダリスト・桜井には「次のオリンピックを目指しているし、親に貰った体を大切にしたいから」と断られてしまう。
まあ、「僕の力でサイボーグになって悪の秘密結社と戦おう」と言われたら大抵の人は断ると思います。
ハード路線で始まった今作では、変身ものの一つのテーゼとしての、“人ならざるものになる”所に重点を置いていて、長官自らスカウトに赴くが断られる、というところは、実にあっさりと科学戦士になってしまう(サイボーグになるわけではないですが)『ダイナマン』と比べると隔世の感があります(笑) 順序としては、むしろ今作の反動と反省を踏まえて、導入を重くしないようにしたのでしょうが。
「サイボーグにならんか?」
は、痺れる名台詞。
続けて、八百長試合に巻き込まれボクシング界を追われ、闇世界に落ちぶれた元ヘビー級チャンピオンをスカウトする長官。最初は断られるが、任侠・男気系(『ゴレンジャー』でいうとアカ寄り)の相手のプライドをうまくくすぐる事に成功し、契約成立。一度は断った相手が去ろうとする長官の車に乗り込んできて、何かに通じ合った男二人が後部座席でひたすら笑い出す、とか演出渋すぎ。
そしてクライムの襲撃を受けて重傷を負い、父と腕を失った女刑事が
「お願いがあります。私に……腕をください」
と復讐の為に志願。
更に、潜水艇の事故で脳死状態に陥った旧知の青年科学者を
勝手に改造。
最後に一度は断った桜井が、クライムの非道を目にした事で、鯨井の元を訪れて自ら改造手術を受ける。
ここに、4人のサイボーグ戦士は揃った!
秘密基地で、いきなり真っ黄色の軍服にグラサン姿で登場する鯨井長官。
トランプを華麗に操ってそれぞれのコードネームを告げながら
「ジャックのJ、エースのA、キングのK、クイーンのQ
ジャッカー(J・A・K・Q)
ジャッカー電撃隊」
という演出は凄く洒落ていて格好いいのですが、
「そして私は、ジョーカー」
とか言い出す長官の言動と格好が頭おかしすぎます(笑)
サイボーグを強調する演出なのですが、皮膚を開いて中の機構が見えたり、指先からカッター出てきたり、などの描写は今見るとけっこうえぐい。
そしていよいよ強化カプセルで変身、ジャッカー電撃隊が姿を見せ、登場時にトランプが舞い散る演出が格好いいのですが、スペードのエースに燦然と刻まれた、Nintendoの文字が、無駄に笑えます。
初登場なのに敵怪人に「貴様達が噂の……」と言われてしまうのはご愛敬。……というかまた、スパイ潜入している?
必殺技のジャッカーコバックは、原子・電気・重力・磁力、の4つのエネルギーを同時に敵の体内に放射して爆発させる、と、よくわからないが危険そうな事は伝わってきます。
集団ヒーロー、の形を『ゴレンジャー』から引き継ぎつつも、厳密にシリーズ化しているわけではない事もあり、大胆なハード路線でどちらかといえば特撮ヒーロー版『Gメン’75』みたいな雰囲気を漂わせた演出が随所で面白い。