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『特捜ロボジャンパーソン』感想37

◆第44話「燃える女王様!!」◆ (監督:小西通雄 脚本:扇澤延男/増田貴彦)
どうしてこのサブタイトル……!
そして何故か、前回と連名の表記順が逆になった。
超獣神に押されまくるジャンパーソンとガンギブソン。というか、ガンモドキが本格的に何の役にも立ちません。再びジックキャノンを構えるラスボスだが、発動を一瞬躊躇った隙にコマンド部隊の攻撃を受け、逃げられてしまう。
「どうして撃つのをためらった?」
「俺はあいつを……綾小路麗子を知りすぎてしまった。綾小路麗子は守ろうとしているんだ。緑の地球、地球の命を。自分の体を怪物にしてまで。その悲壮なまでの決意が、一瞬俺に引き金を引くのを躊躇わせた」
麗子様に、人間愛の一つの形を見てしまうラスボス。
「いいかジャンパーソン、やつは化けもんだ。片っ端から人間を溶かしまくる、化けもんだ! それ以外の何者でもねぇ。何が……何が地球の守護神だ!」
無限のパワー持つ超獣神であったが、かおるの分析によると、一体では幾ら何でも人類を絶滅させるのは難しい。綾小路麗子は、人類絶滅の為にまだ何か策を用意している筈……。
「あの装置さえ完成すれば、間もなく私は神となる。ほほほほほほっ、神となって、人間を、地球を蝕み続けてきた害虫どもを、一匹残らず滅ぼすのよ! もう泣かせはしない。わたしの地球――」
愛情の果ての妄執から、遂に神を名乗らんとする麗子。その最後の一手とは、無限のエネルギーを利用したワープ装置にあった。
途中で、政府中枢にバイオ兵士を送り込むぞ作戦を推進していた麗子様ですが、どうやらそれも、ワープ装置研究の一環であった模様。
あ、ニンジャとかウラメシエネルギーとか超能力は(以下略)。
まあ、伝説の勇者ほらだは、個人技でテレポート(ルーラ)できましたが。
「今わたしは遂に、神へのステップをのぼるの」
調整中のワープ装置を使用した超獣神は、無差別攻撃を開始。次々と人間を肥料に変えていく。
「もう俺は躊躇わない。この手で、この手で必ず倒す!」
その光景に打って出たジャンパーソンとガンギブソンだったが、超獣神は二人をあざ笑うかのように神出鬼没のワープを繰り返す。
「ジャンパーソン・フォー・ジャスティス! 超獣神、俺はお前を許さない!」
ジックキャノンを発動するが、それすらもワープにより回避。だが、かすめたキャノンの一撃は超獣神に確かにダメージを与え、その間にかおるがワープステーションの所在地を確定する事に成功。超獣神の暴虐を止めるべく、いよいよジャンパーソン達はSSNの心臓部へと殴り込む。
「会ってみたいの、綾小路麗子って人に!」
(というか、このままだと私のヒロインの座が危ないの!)
カチコミに同道を願うかおるの決意を汲み、SSNのアジトがあるとおぼしき場所へ向かう3人+アールジーコ。ここでBGMは挿入歌「正義のために」。登場の遅かった挿入歌ですが、まさしくジャンパーソンという歌で、実によくはまります。
アジトへの入り口を発見した一行だが待ち伏せをくらい、バイオ兵士軍団の攻撃でアールジーコは吹っ飛んで損傷、ガンギブソンは哀れ崖下へ真っ逆さま。結局迷惑だったかおるが捕まって人質にされ、ジャンパーソンは投降。二人はジャンパーソンさえ破れない超電磁バリアの檻へ閉じ込められ、そこへ麗子様が姿を見せる。
牢屋の格子越しに、人類絶滅の大演説を謳う麗子様が、非常に熱演。
「わたしは神! 命あるもの全てを司る、地球の守護神なのよ!」
「おかしい、あなたは絶対おかしい!」
キ○ガイ、キチ○イを詰る。
「おだまり恥知らずが!」
「恥知らず?!」
かおる、超不快そう(笑)
「人間は全て恥知らずよ! 驕り高ぶった、愚かで、恥知らずな地球の害虫よ!」
ビルゴルディ登場編でちらっと書きましたが、今作の裏テーマって多分、「本当のモンスターは一体誰か?」なのですが、様々な紆余曲折を経て、ジャスティスという名のモンスターと、地球の為に自ら変貌したモンスターの対決を通して、本当のモンスターは人間ではないのか、という部分が問われる、という地点まで来たのは感慨深い。
なお、かの有名な『寄生獣』(岩明均)の広川演説よりも少々早く、創作におけるシンクロニティと、90年代前半の“時代の空気”というのを思う所です。
「わたしは宇宙で生まれたわ。暗闇の宇宙で。物心がついてから、宇宙ステーションの窓の向こうに、いつもわたしは遠く地球を見ていた」
宇宙で生まれ、地球を両親から聞く憧れの地として育ったからこそ募り膨れあがった綾小路麗子の妄執。
前回、“脅威の力技”と書きましたが、ただのキチガ○でも気宇壮大なだけの悪役でもなく、綾小路麗子を設定上無理のない範囲で“純然たる地球人とは別の視点を持つ存在”とする事で、その発言と思想に彼女なりの説得力を持たせるという、凄まじい展開。
この2話だけで出てきた設定なのに、全てをねじ伏せて納得させるという、物凄い荒技。
環境テロリストテーマというのは(特に今日見返すと)安易に使って安っぽくなりがちなのですが、背景設定に驚天動地の物理トリックを組み込む事で、それを物語の中に見事にねじ込んで、豪快にストレートを放り込んできました。
超展開(いい意味で)。
ちなみに、漫画『寄生獣』が90〜95年連載、今作が93年で、アニメ『起動武闘伝Gガンダム』が94年、やはりそういう時代だったのかなぁと思うのですが、こういった環境テロリストテーマを含んだ作品の流れというのも、並べてみたい気はします。というか、詳しい人がどこかで並べていてくれないものか(笑)

「わたしは信じた。私は憧れた……地球に。10歳の時その両親が死んだわ。わたしはひとり地球に戻った。初めて地球の土を踏んだわ。でもそこは私が夢見たような星ではなかった。緑は破壊され、山は抉り崩され、命の芽吹く筈の大地は、固く封じ込められ、私は聞いた……確かに聞いたのよ! 地球の泣き叫ぶ声を。血を吐き、のたうち回りながら救いを求める地球の声なき声を。誰がいったい地球を泣かせたのよ!」

綾小路麗子はその理想と高潔さゆえに人間を見限った。
しかし……科学や技術は人間の愚かさを補うためのツールの筈だ。それを信じていればいつかは……と、かおるに反論させるのですが、かおるは最初が最初すぎたので、その後じわじわと路線修正を計ってはみたものの、やはり思いついた綺麗事を言っているようにしか聞こえません(^^;
かおるが人間の英知を信じた結果としてMX−A1をジャンパーソンに再生させた、というのならここで鮮やかな対比になるのですが、むしろ人間の英知を信じていないからジャンパーソン作ったとしか思えない為、説得力0むしろマイナス(笑)
確かMX−A1を廃棄した人間の身勝手さに怒って再生させていたような記憶があるのですが。
ここばかりは、作品の根っこ(14話以降の再起編における土台)なのでどうしようもない。
最終盤、何とか、「三枝かおる」を物語の中に柔らかく収めようという苦心は見えるのですが、やはり、手遅れだと思います。スタート地点から、あまりに地下を走りすぎていたというか。
「人間に英知などありはしない!」
「ある! 地球を泣かせたのが人間なら、その地球をもう一度救えるのも人間なんだ!」
後むしろ、かおるが綺麗だと、ジャンパーソンの発言がかおるの受け売りっぽくなってしまうのも良くないわけで、あくまでかおる(制作者)より、ジャンパーソンの方が人間(の愛)を信じているというのが、今作の根本的面白さではあります。
作り手もそれは把握しているだろうから、結局のところ、かおるの説得というのは成功しないわけですが(^^;
「ジャンパーソン、三枝かおる、もう人間が地球のためにできる事は、一つしか残っていないのです。ふふふっ、わたしに溶かされ、肥料となって大地の養分になる事しか」
「その結論は間違ってる!」
ジャンパーソンの必死の制止も空しく、麗子の決意に揺るぎはない。そこに、ワープ装置の準備を完了させた麗子様の下僕達が入ってくる。
「ありがとう! 今日までよくやってくれましたみんな!」
「麗子様、旅立つ前に、どうぞ私たちに最後のお慈悲を!」
揃って、麗子様に溶かされる事を希望する科学者達。
格好いい、格好いいなぁSSN……! どこかのポンコツ組織とは大違いだ!
「これで私達も、地球の栄養になれる」「麗子様「麗子様「麗子様ぁ」
超獣神に変貌した麗子様によって、嬉しそうに肥料にされる下僕一同。
ちなみにこの時、一同の先頭に立って溶かされた広瀬博士は、今をときめくワイルドタイガー平田広明
超獣神はいよいよワープ装置の中へ入り、JPとかおるを始末する為にコマンド部隊が現れるが、その時、壁を破壊してガンギブソンが突入してくる!
役に立った!
ハイもう一度……
役に立った!
ガンギブソンは外から檻を破壊し、ジャンパーソンはすかさずワープ装置を破壊(超重要アイテムの筈なのに、超獣神のリアクションが薄かったのは残念)。三枝組の反撃開始で主題歌が流れ出し、戦いの部隊は外へ。ガンギブソンはコマンド部隊と戦い、かおるはアールジーコを捜し、ジャンパーソンは超獣神と激突。
「もう終わったんだ。人間に戻るんだ綾小路麗子!」
「誰が戻るか! 私は超獣神! ワープなど出来なくても、片っ端から人間を消してやる!」
「考え直すんだ。おまえほどの科学力があれば、別の方法で地球の環境を……!」
「うるさっい……ジャンパーソン! おまえさえ居なければ、地球を救えるんだ!」
ラスボス、遂に地球の敵に。
クライマックスバトルは、超獣神が格好良さよりも不気味さ寄りなのと、この後に控える<ネオギルド>戦、ビルゴルディ戦を意識してか、取っ組み合いは今ひとつ盛り上がらず。JPさんが麗子様に手加減しているというのもありますが。
ただその中で一応、ラスボスの口から“選べたかもしれない、そして今からでも選び直せる筈の、もう一つの道”が提示されるのは、しっかりとした作劇。
コマンド部隊の包囲連携攻撃で今日も盛大にGGさんが死にかける中、かおるはアールジーコを回収して緊急修理。ラスボスはジックキャノンの砲口を超獣神へと向ける。
「止まれ……止まるんだ!」
だが、綾小路麗子はもはや、人間全てを肥料にするまで止まれない。
「……――眠れ、超獣神! ジックキャノン!!」
覚悟を決めたジャンパーソンの放ったジックキャノンは超獣神を直撃し、深いダメージを負わせる。コマンド部隊は超獣神をガードに入った所で、遠距離からスピンドルキャノンを受け、一網打尽に。よろめきながら逃げる超獣神に追い打ちを入れようとするガンギブソンを止める、ジャンパーソンとかおる。
前後編通じて、ジックキャノンが当たれば終わり、という戦闘バランスを崩さず守ったのは、細かく良いところ。……無限大エネルギーのバイオモンスターすら、ラスボスの火力の前には虫同然、という無慈悲なヒエラルキーですが。
しかもラスボスの最強技って、精神注入棒の時に見せたジャンパーソンフルバーストではないかと思うので、多分まだ本気出してない。
致命傷を受けて本部に戻り、超獣神の姿を保てなくなった麗子は、残された最後の力で8ミリのフィルムを再生する。
「わー、きれい! 地球には広いお花畑がいっぱいあるんでしょ? あたし、パパとママと一緒に思いっきりお花畑を駆け回ってみたいな」
そこにあったのは、家族の記憶、暖かい思い出、失われた夢。
「泣いている……わたしの、わたしの夢見たっ、わたしの、憧れた……わたしの、愛した! 地球がっ……な、泣いている!」
部屋に飾った地球の写真パネルへと伸ばした手は虚空をもがき、綾小路麗子、絶命。
末期の芝居をたっぷり、というのは悪役冥利に尽きるといった所でしょうか。全編通して本部の机で一人芝居、というのが多い中、見事な存在感と迫力でありました。
椅子に倒れ込んだ麗子様、何故か変な化粧まで取れて綺麗な白いドレス姿に。
そしてフィルムは幼い日の彼女の姿を映し――
「パパ、ヒメハルソウの花が咲いたよ!」
途切れる。
麗子の亡骸が握りしめていた、ヒメハルソウの種子を手にするジャンパーソン。
「綾小路麗子……俺はおまえに誓う! この地球を必ず、必ずこの花が根付けるような星にしてみせると!」
この時、ガンギブソンがちょっと離れた位置に立っているというのがいい。
超獣神化の影響か、麗子の死体は粒子となって消滅し、スーパーサイエンスネットワークはここに壊滅する。
最後はややマイルドめで、しかしジャンパーソンの台詞が格好良く締めました。
劇中でやってきた事を考えれば、フィクションの因果応報としては死んで当然の麗子様なのですが、一貫してJPさんが麗子様に優しいというのは、この前後編の特徴的なところ。
宇宙ステーションで培養された麗子様のイノセントな狂気は明らかにジャンパーソンとの対比であって、“生まれに歪められた者”へのJPさんの自己投影と一貫した優しさがよく出ています。
ゆえにジャンパーソンは麗子に“生まれ変わって”欲しくて、最後の最後まで説得を試みた。
一方で、罪を償って生まれ変われば何でも許されるのか、という部分における危うさはあるのですが。
で多分、ラスボス的に今回のデリートは自らのタブーを犯した――人間にジャスティス執行した感覚でないかと思われるのですが、その辺り、最後の戦いになるであろうビルゴルディとの対決の、布石になるのかならないのか(真壁も人間ぽいけど、現状、ガンギブソンとの相撃ちが濃厚ですし)。
従来ならあっさりジャスティス執行していたであろう麗子(超獣神)に対し、それを躊躇ったのはジャンパーソンにとっての「揺らぎ」であって、おそらく今回の前後編は、ラスボスにとって改めて自分の「ジャスティス」について考える話でもあったのかと思うのですが、その辺り、拾うのか拾わないのか、どちらにせよクライマックスの展開が楽しみです。
まあ、布石を置くだけ置いて放り投げる場合もあるので、期待しすぎない方がいいかもしれませんが(笑)
様々なひずみの出る1年間の特撮ヒーロー作品において、ひずみを承知で盛り込んだ背景設定の巧みさでウルトラCの着地を決めて見せる、という見事なSSN最終章でした。
次回、

「ネオギルド最終最大最後の作戦」
「まさにラストオブネオギルド」
「ジョージ真壁究極の作戦」

どこまで盛るんだ(笑)