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特撮刑事ドラマの先達

デカレンジャー』7−8話の感想で触れた、「悪を倒すとなんの理由もなく即座にバッドステータスが回復して大団円」というのはもう少し理屈をつけてくれるといいなぁ、という話について。
個人的に、その部分をうまく処理しつつ物語の中にしっかりと取り込んだエピソードとして印象深いのが、特警ウインスペクター』第6話「子供に戻った両親」。
(※詳細なあらすじ・感想はこちら→〔『特警ウィンスペクター』感想5/2012年2月19日〕
悪の科学者によって、大人達の精神が幼児退行。更にそこから爆破実験に発展するが、ウインスペクターの活躍によって事件は解決、犯人は逮捕。残された大人達は、途中で情報提供役として登場した、犯人のかつての同僚が治療して、大団円。
このエピソードが秀逸なのは、ご都合はご都合とは言っても、患者の治療に一定の合理性を持たせている事。そしてそれを通して、科学そのものに善悪はなく、それは使う者次第である、という、科学者の良心と悪意の双方を描いて、作品世界としてバランスを取っている事。また、この同僚を単なる便利キャラではなく、犯罪者となってしまったかつての友人への友情を残している、という形で描く事で、物語の中にしっかり収めている。
非常に重要なのは、ただ治療の成り行きに説明をつける、だけで終わらせず、その要素そのものに、物語上の意味を持たせている事。ここが実に巧い。
勿論『ウインスペクター』の場合、「犯罪者を逮捕する」というのが基本で「悪の怪人を倒す」という物語構造ではないので、そもそも「抹殺したら魔法のように治りました」という展開自体が出来ないわけですが、骨子の構造は同じであり、バッドステータス治療の物語への取り込み方、としては一つの良い例であると思います。
この回の脚本が、当時まだ存在を知らなかった(というかこれが初接触だった)のですが、扇澤延男。
幼児化してはっちゃけた両親、社会に認められずに歪んだ科学者、ただの情報提供者だと思われた元同僚が最後の最後で効くというトリッキーな構成。
色々見た後だと、実に扇澤節。
旧来の特撮ヒーロー物の欠点をカバーしつつ、犯人逮捕・事件解決の後に一ひねりを加えて鮮やかに物語をくるっと丸める手腕、東映ヒーロー作品における、90年代前半の扇澤延男の技量の高さを窺える一本でもあります。
実際、『ウインスペクター』全話通してもベスト級といっていい、社会派路線の名エピソードなのですが、扇澤延男に注目するきっかけとなったエピソードとしても、個人的には印象深い。