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扇澤延男と鋼鉄の世界1:『メタルダー』〜『ジライヤ』編

レスキューポリス》シリーズ総まとめをやりたいとか、そこで扇澤脚本話をしたい、とか言うだけ言っていつものように遅々として進まないので、全てまとめてやろうとするから出来上がらないのであって少しずつ進めていこう理論に基づき、中期〜後期メタルヒーローに燦然と毒々しい輝きを撒き散らす扇澤脚本回を作品ごとに取り上げて簡単にまとめていきたいと思います。とりあえず、叩き台という事で。
当時、他の作品での仕事もあったかもしれませんがノーチェックなので、あくまで<メタルヒーロー>シリーズにおける、扇澤延男脚本のまとめ、という事で。取り上げた各エピソードの内容に最後まで触れる場合があるので、ご了承下さい。
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☆『超人機メタルダー
◆第11話「勇者の追撃! 天空にそそりたつ巨人!!」◆ (監督:小西通雄)
デビュー作。


 かつては戦闘ロボット軍団の豪将をつとめ、“伝説の巨人”とまで呼ばれた老将ビックウェインは、今では戦いを捨てゴーストバンクで修理屋に身をやつしていた。ある日、強さだけが全てのネロス帝国の生活に嫌気が差したビッグウェインは出奔。全軍あげて裏切り者を抹殺せよというゴッドネロスの指令に対し、戦闘ロボット軍団長バルスキーは自分の軍団だけで充分、と出撃していく。自分を慕う若き戦士が逃亡の手助けをした為に裏切り者として処刑されそうな事を知ったビッグウェインは、バルスキーとの取引によりメタルダーに戦いを挑む事になるが……。
主人公・剣流星が一切登場せずネロス帝国主観で進むという、物凄い変化球。流星に関しては何か役者の事情があったのかもしれませんが、終始エネミー扱いのメタルダー含め、面白くまとまっています。
プロットの変化球もさる事ながら、今回の主役とも言えるビッグウェインが、戦いを捨てた事でゴーストバンクにおけるヒエラルキーの下層に落ち、かつての経歴を知らないモンスター軍団員に因縁をつけられるなど、体制の価値観から外れてしまった存在として描かれているのが、『特警ウインスペクター』以降顕著になる、扇澤延男の一貫したテーマが見える部分です。
俗に「デビュー作にはその作家の全てがある」と言われますが、実に、扇澤延男らしいデビュー作。
◆第27話「助けて! 愛しのゴリちゃん逃亡日記」◆ (監督:小笠原猛)

 最初は大人しく友好的だが、体内に埋め込まれた特殊なカプセルが溶解する事で巨大・凶暴化するという、ゴッドネロスお手製の怪物ゴリゴンが研究所の爆発で逃亡。山中で暮らす少女と仲良くなるゴリゴンだが、その背後には回収命令を受けたヨロイ軍団が迫っていた……。
定番の怪人と少女の交流話で、可もなく不可もないという出来。
ゴリゴンが少女をかばって死んだりする事なく、「幸せに暮らしましたとさ」となるオチが、ひねりといえばひねり。
なお、『メタルダー』のサブタイトルが煽るだけ煽って微妙に本編とズレている気がするのは、仕様です。


☆『世界忍者戦ジライヤ
◆第30話「忍法・ハナちょうちん!」◆ (監督:辻理)

 忍びの世界の長老と謳われる老忍者・越山玄斎と知り合う闘破。玄斎は金目当てで外道なテロリストへ堕ちたかつての愛弟子、黒い茨を追いながらしばらく山地家に滞在する事になり、ケイや学とも親しくなっていく。TV局に送りつけられた黒い茨の脅迫ビデオからその隠れ家を割り出す玄斎だが、そこに妖魔一族が闖入し、勝負は水入りに。黒い茨の復讐から玄斎を守ろうとする一家だが、玄斎は一人で弟子との決着をつけようとしていた――。
『ジライヤ』初登板は、忍者一家を中心とした今作の特性を活かし、両親を失って養子として哲山に育てられながらも、健やかに育った闘破の鏡写しともいえる悪の忍者が登場。暖かい山地一家の姿と、弟子を育てそこねた老忍者、母親の死をきっかけに邪道に堕ちた黒い茨の姿が対比されているのですが、肝心の黒い茨の「金に執着している」が、レギュラー悪の組織・妖魔一族と被ってしまった為、もう一つパンチ不足の出来に。
ただ、「世の中全て、金なんだ」と社会を憎み、政府相手にテロによる脅迫を仕掛ける黒い茨、山地一家の暖かさに触れて心で涙しながらも「独りで生まれ、独りで死ぬのが忍びの定めなのだ」と忍びとして孤独の道を選ぶ玄斎の姿には、扇澤延男が頻繁に描く、はみ出し者の孤独と悲哀が見て取れるといえます。
◆第33話「ギターかかえた渡り鳥 雷忍ワイルド」◆ (監督:三ツ村鐵治)

 かつて妖魔一族の出した賞金に目がくらんでジライヤを狙ったアメリカの世界忍者ワイルドは、ジライヤに往復はがきで決闘を申し込むも袖にされ続け、滞在費の不足から温泉街で早撃ち名人として宴会芸人をしていた。登別温泉への出張を拒否して会社と訣別したワイルドだが、山ごもり中に妖魔一族と忍者スパイの争いに巻き込まれ、紆余曲折の末、超兵器の設計図を賭けてジライヤと決闘する事に。果たして勝負の行く末や如何に……?!
最終的にとってつけたような綺麗事でまとめてしまうのが残念ですが、エピソードとして単純に面白く、『ジライヤ』参加回の中では、一番だと思う出来。実力派世界忍者ワイルドのぶっ飛んだ扱い、序盤の一ネタが強烈に効いたオチの切れ味が光ります。
表向きのテーマとは別に、生活費に困って働いているワイルド・普段からバイトに励んでいる一家の大黒柱ジライヤの両者と、金に汚い妖魔一族・金が目当てのスパイ忍者、の対比がそれとなく織り込まれており、怪しげな芸能プロの社長が躾のいい山地家の子供達につい情報提供するなど、真っ当に生きるとは何か、を問う裏テーマの方が面白かったり(笑)
◆第36話「闇に光る黒猫の目! 怪盗デビルキャッツ」◆ (監督:岡本明久)

 連続宝石泥棒・闇忍デビルキャッツから挑戦状を受けたジライヤは、予告された宝石強奪を阻止しようとするが失敗してしまい、深く反省。ヘンリー楽珍と忍犬クロの助力によりデビルキャッツの正体を突き止めた闘破は、雪辱戦を挑む!
全体としては微妙な出来なものの、哲山が不在で調子に乗る闘破が、デビルキャッツにまんまとしてやられて反省する、という展開は秀逸。また、第1話から登場しているにも関わらず、ほぼ全く物語と絡んでいなかったヘンリー楽珍を取り上げたのはオーダーだと思われますが、積極的にサブキャラクターを立て直す、という後の作風に通じる所があります。
◆第42話「さよなら!幻の母上様」◆ (監督:三ツ村鐵治)

 亡き母――山地早苗に瓜二つの女性・松本秋子を助け、しばらく一緒に暮らす事になる山地一家だが、その正体は祭忍・ギュウマ(二代目)の下忍であり、哲山の妻そっくりの容貌を利用して山地家に潜り込んだスパイであった。そうとは知らず、秋子に懐く学ぶ、気の緩む哲山、複雑な気持ちを見せるケイ……思わぬ出会いが一家にさざ波を立てる一方、妖魔一族では鬼忍・毒斎が娘の前で蜘蛛御前といちゃいちゃしていた。「哲山が浮かれています!」との報告を受けて立ち上がった毒斎の介入により、ヒートアップするパコ争奪戦。そして明かされる、8年前の真実。今、怒りの磁光真空剣が悪を斬る!
長らく引っ張られていた母親の死の真相が明かされるエピソード。前半に、母・早苗、そして瓜二つの秋子に対する、学とケイ、それぞれの年齢差から来る感情の違いが盛り込まれていたのに、それが後半に活かされずあっさりまとめられてしまったのは残念だった部分。全体に関わる部分なので話し合いの中で決まったものでしょうが、哲山と毒斎の因縁に関してもオーソドックスな形でまとめられ、水準といった出来。
◆第46話「黒い噂・駆けつけろ正義の忍者たち!」◆ (監督:宮坂清彦)

 ジライヤを追い詰める為に妖魔一族と手を組んだ宇宙忍・デモストは、ヘンリー楽珍に近づくと「ジライヤが既にパコを手に入れたという噂を流す事が、無益な戦いを減らす事に繋がり、ひいては山地一家の安全の為にもなる」と丸め込み、嘘のビラをばらまかせる。これにより世紀の財宝を手に入れたと誤解された山地一家は、世間からいわれのない中傷とやっかみを受け、更には妖魔一族が裏の世界に流した偽情報により、フクロウ男爵らからも裏切り者扱いを受けてしまう。意気消沈するジライヤに襲いかかる、妖魔一族とデモスト。最大の危機が迫る一方、ケイと学は楽珍を見つけだし、その言葉から背後の陰謀を探り当てていた。闘破が育んできた友情は、果たして悪意に打ち勝てるのか!?
前後編にしても良さそうな内容が1話に凝縮されており、話運びにはやや雑な部分が見受けられるものの、精鋭世界忍者総集合は、盛り上がる展開。第36話に引き続いて楽珍を拾ったのは扇澤脚本らしい所で、実は楽珍は元落第忍者だったという過去も明かされ、物語の中に落着しました。しっかりと立ったキャラクターが多い中、悪いコメディリリーフの見本のようになっていた楽珍をしっかり物語の中に引き上げたのは、功績といっていい部分かと思われます。
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メタルダー』でのデビューから『ジライヤ』までの計7本。
後の脚本作品を知っているのでハードル設定が高い状態で見たというのはありますが、この時期は可も無く不可もなく水準レベルといった出来が多く、後の切れ味を彷彿とさせるのは、デビュー作と『ジライヤ』第33話ぐらい。特にこの2本においては、望むと望まざるに関わらず社会からはみ出してしまった者へのシリアスな視線と、一転してぶっ飛んだギャグという、扇澤脚本らしい振り幅が見て取れます。
『ジライヤ』はメインキャラクターと基本構造がしっかりしているので、作品の安定感に助けられていた部分もあるかと思いますが、次回、作品そのものが色々と事故満載の『ジバン』編。
〔『超人機メタルダー』感想まとめ1〕
〔『世界忍者戦ジライヤ』感想まとめ3〕