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扇澤延男と鋼鉄の世界2:『ジバン』編

レスキューポリス》シリーズ総まとめをやりたいとか、そこで扇澤脚本話をしたい、とか言うだけ言っていつものように遅々として進まないので、全てまとめてやろうとするから出来上がらないのであって少しずつ進めていこう理論に基づき、中期〜後期メタルヒーローに燦然とまだらな輝きを撒き散らす扇澤脚本回を作品ごとに取り上げて簡単にまとめていきたいと思います。とりあえず、叩き台という事で。
当時、他の作品での仕事もあったかもしれませんがノーチェックなので、あくまで<メタルヒーロー>シリーズにおける、扇澤延男脚本のまとめ、という事で。取り上げた各エピソードの内容に最後まで触れる場合があるので、ご了承下さい。
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☆『機動刑事ジバン』 (1989)
◆第8話「デコボコ!東京モグラ地図」◆ (監督:小西通雄)


 食べた者に永遠の命をもたらすエタナルの果実を育てる為、不動産会社を隠れ蓑に、地殻エネルギーの集まる土地を次々と買収していくDr.ギバ。モグラノイドにすり替わられた社長の行動をいぶかしんだ社員の相談を受け、事態の捜査に乗り出した直人は背後で蠢くバイオロンの陰謀に気付く。
これといって面白かったわけではないのですが、第8話にして捜査中に直人が頭を使ったのが、最大の特色(笑) 『ジバン』自体が極めて低空飛行であった為、今作にしてはオーソドックスにまとまったエピソード、に分類されるのが辛い。特に扇澤脚本らしさ、というのも無し。
◆第15話「オオカミ男はピアノ好き」◆ (監督:岡本明久)

 慈善活動に熱心な天才ピアニスト・立原修一郎の紹介をTVで見たギバ様は嫌がらせを思いつき、立原をさらって怪人オオカミノイドの体組織の一部を移植する事で怪物へと改造してしまう。ところがオオカミ立原が作曲中の悪魔の賛美歌が人間の暴力衝動を高める事が判明し、バイオロンはそれを完成させて全世界に売りさばく事で、世界を暴力の蔓延る世紀末ディストピアにしようと作戦を変更。ジバンとバイオロンはオオカミ立原の身柄を巡って争うが、最後は姪っ子の叫びが立原を人間に戻すのであった。
「どんな科学技術をもってしても、人間を怪物に作り替える事など不可能なのだ」という、ストレートに愛と勇気が人を救うエピソード。後年の作品に比べると「愛と勇気とは何か?」という踏み込みの不足が物足りないものの、『ジバン』としては及第点レベル。
◆第23話「マンガを喰いすぎた怪物」◆ (監督:岡本明久)

 町中の書店や図書館からあらゆる本が消滅するという怪事件が発生。それは、この世から一冊残らず本を消滅させる事で人類文明の保持を不可能にしようという、バイオロンの恐るべき陰謀であった! だが、作戦を遂行する為に本を食べて食べて食べまくっていたヤギノイドは、ヤギが主人公の物語があまりに少ない事を嘆き、自分が主人公のドリームマンガを描かせる為に漫画家をさらって姿を消してしまう。激怒したDr.ギバは、連れ戻したヤギノイドを強化改造。ジバンを倒してヒーローになるべく戦いを挑むヤギだが、野望果たせず、ジバンエンドの前に散るのであった……。
この世から本を無くして人類社会を崩壊させるという気宇壮大な計画が俺主役のドリームマンガ作戦にすっ飛び、どうなる事かと思っていたらそこからヤギに産まれた怪人の悲哀に繋がり、“ヤギに生まれたが為に華々しく活躍できない怪人の悲哀”という形で、「社会の落伍者の諦観と歪み」という扇澤さんの通しテーマが浮かび上がってくるエピソード。
イデアの流れが面白い上で、ヒーローにはなりたいけど死にたくないから強化改造を拒むヤギという嫌なメタネタも皮肉が効いており、話のまとまりも良く、『ジバン』全体で見ても、貴重な秀作回。
◆第26話「竜に釣られたグルメ美女」◆ (監督:小笠原猛)

 夏期休暇で浜名湖に遊びに来ていた洋子先輩は成り行きでミス浜名湖コンテストに参加。だが、リュウノイドを目覚めさせる為に若く美しい娘のエキスを必要とするバイオロンにより、コンテスト参加者がまとめてさらわれてしまう。事件を知ってダイダロスを装着して浜名湖へ急ぐジバンは、果たしてバイオロンの陰謀を止められるのか?!
売り出し中のアイドルをゲストに迎えた、夏・水着・浜名湖ロケ、の企画回。
「若く美しい娘のエキスを吸収しないと真の力を発揮できない」というバカすぎる設定の怪人に始まり、演出・脚本ともに全体的にやる気の無さが漂う、なんともいえない出来(^^; そもそも扇澤さんに企画回というのが間違っている気がするわけですが、ハイライトは、拾ったマシンガンを水着のまま撃ちまくる先輩とアイドル。
◆第29話「集団見合いで大ドンデン!」◆ (監督:岡本明久)

 様々な業種で、エリート達による信じられない犯罪事件が続発。犯人がいずれもお見合いパーティに参加していた事から直人と村松は参加者として集団お見合いに潜入するが、そのパーティこそ、各界の若きエリート達を籠絡しようというバイオロンの陰謀であった! 「ダブルノイド、おまえはその得意なお喋りで、集団見合いの席をどんどん盛り上げるのだ」
集団お見合いで集めたエリート達を籠絡して社会に大混乱を巻き起こそうとする、というバカなプロットは、凄く扇澤さん(笑) ゲストキャラの町医者と少女への好感の付け方なども悪くないのですが、第28話で初登場したクイーンコスモの出番を無駄に確保する都合により、全体の構成はガタガタ(^^;
少女ボスの失踪でコンセプト崩壊→管轄外の宇宙からの第三勢力登場、という破滅に向けた航海真っ最中のエピソードであり、もはや現場レベルではどうにもならなかったのか。
◆第36話「夢見るチャンバラ怪物!」◆ (監督:岡本明久)

 日本中の子供達を暴力の崇拝者にする為に暗躍するチャンバラノイドだが、脳内妄想お姫様に瓜二つな洋子先輩を目にして、作戦を放棄すると先輩を誘拐。バイオ爆弾を取り付けられてジバンと決闘する事になったチャンバラノイドは、ジバンに敗れると自刃して散るのであった……。
実生活と憧れの間にギャップを感じるバイオロン怪人、ヒロイン扱いされる洋子先輩、とヤギノイド回と類似の要素あり。バイオロンという体制に順応できない怪人、というのは扇澤さんの通しテーマとも繋がっており前半は面白かったのですが、「わかりあえるバイオ怪人も居るかもしれない」という要素が生粋のバイオロンハンターであるジバンの立ち位置と相性が悪く、後半、「愛」という便利ワードで適当にまとめてしまい、消化不良に。後の萌芽を感じさせるものの、上手く転がり切らずに惜しい1本。
◆第38話「故郷だよ、おっ母さん!」◆ (監督:小西通雄)

 突然退職した青年警官・大谷を連れ戻しにその田舎へ向かった村松だが、バイオロンの計画に巻き込まれてキノコノイドの胞子ガスを浴びてしまう。胞子ガスを浴びた人間は都会の騒音や排気ガスに耐えられない体となってしまい、バイオロンは大量に培養した胞子を全世界にばらまくことで、世界中の人間を田舎へ引きこもらせ、 空っぽになった主要都市を無血征服しようと目論んでいたのだ! 村松を連れ戻しに来た直人はこの胞子に気付くもキノコノイドに追い詰められるが、闘志を取り戻した村松らの助力もあり、胞子ガスを詰め込んだロケットの発射を阻止するのだった。
特筆すべきは、第38話にして、村松、初の真っ当な見せ場。脚本サイドからの提案なのか、上からのオーダーなのかはわかりませんが、もともと第26話辺りから扇澤脚本回で村松の出番が増やされており、それが結実した形に。この、サブキャラに積極的に肉付けして立て直していく、というのは今後も扇澤脚本の一つ特徴となっていきます。
また、扇澤脚本でしばしば用いられる「都会と田舎」というモチーフも登場。もっともこのエピソードでは、「都会→田舎→都会」という形で都会から田舎に逃げてくるな、として最後は都会に戻っており、夢破れた者が「都会→田舎」に帰って等身大の幸せを掴み直そうとする事が多いこの後のパターンとは逆の形になっています。
◆第42話「怪物ロックンロール!」◆ (監督:三ツ村鐵治)

 巨大かつ凶暴なティラノザウルスノイドを育てる為に、東京都心の電力を強奪するナマズノイド。大規模な停電事件に関わった、洋子お気に入りのアマチュアロックバンドが、Dr.ギバを馬鹿にした替え歌でナマズノイドを誘き寄せてジバンが倒し、バイオロンのティラノザウルスノイド育成計画は失敗に終わるのであった……。
単純明快に面白くないエピソード。扇澤脚本でしばしば用いられる、ロックという要素が登場。
◆第48話「年忘れバイオロン退治!」◆ (監督:小笠原猛)

 山中で金を掘り当てようとしていた2人組の若者が、地震による崖崩れでバイオノイド量産工場の入り口を見つけてしまう。突入したジバンはツリガネノイドを撃破し、救出した青年からまゆみについての情報を得るのであった……。
全くどういう事のないエピソードなのですが、
「苦しめジバン、これが俺の除夜の鐘攻撃だ。108つ目が鳴り終わる時、貴様の体は粉々に吹っ飛ぶ!」
「108つまであと3つ。ジバン、冥土の土産に教えてやる。まゆみという娘は、とっくに三途の川を渡ったぞ!」
「108つ目の鐘は、貴様の体で突かせてもらう!」
というツリガネノイドの台詞と、
「ツリガネノイド! 最後の鐘は私が突く!」
というジバンの反撃の台詞だけは面白かったです(笑)
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前作『ジライヤ』では中盤以降の参加でしたが、今作では年間通してローテーションに参加し9本を執筆、翌年以降の地歩を固めます。
ただし『ジバン』自体の出来の悪さ――崩壊したストーリー、やればやるほど混迷していくテコ入れ、全く深まらないキャラクターなど――により面白さに下駄を履く要素が皆無な事もあって、アベレージは低し(^^;
『ジバン』水準としては第8・15・38話が及第点といっていいかなレベル。
どの辺りが及第点かというと、バイオロンの突飛な作戦をジバンが打ち破るという正統派の展開でまとまっているのが及第点、という辺りで『ジバン』水準についてはご納得下さい。
そんな中、第23話「マンガを喰いすぎた怪物」は次作『ウインスペクター』以降で顕著になっていくテーマ性がはっきり中心になった上でまとまりも良く、この後の輝きの片鱗を見せる秀逸エピソード。
この出来がもう1本ぐらいあれば良かったのですが(^^;
次回、本領を発揮する《レスキューポリス》シリーズが開幕――!