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『仮面ライダーブレイド』感想13

(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第23話「睦月、年上の女に乗り替える」◆ (監督:諸田敏 脚本:會川昇
エースアンデッドの邪悪な意志を乗り越え、仮面ライダーとして立ち上がったレンゲル、冷凍ガスキックでモグラを封印。
超嬉しそうに手に入れたモグラのカード見ているけど、今のところそれを加えて想定される必殺技は、冷凍ドリルキックだけど、思春期の高校生的にはそれでいいのか。
ここで各ライダーがそれぞれの必殺キックを見せ、属性の担当が、電撃・炎・風・氷、とハッキリしました。
核に電気に重力磁力でなくて良かった!
前回動物園で登場した思わせぶりメガネはカラスじゃなくてワシだったアンデッドの人間体であり、お花アンデッド女と繋がっていた事が判明。2人の会話でカリスはマンティスアンデッドと言う事もわかりましたが、カリスという名前で区別して呼ばれているのは強くて伝説だからなのか、実はみんな○○アンデッドとは別の名前持っているけど劇中で明かされていないからだけなのか。
後言われてみると確かにカマキリっぽいデザインですが、始さんのライダーグローブのデザインなどから、カリスはずっと蜂だと思っていました(^^;
そんな始は写真の件で神丘に迫られ、その修羅場を目撃してしまう剣崎。
男はなぜ、死の瞬間にまで自分ではなく家族を優先したのか――? それを知りたいという始に「人間なら当たり前の事だ」と剣崎は告げる……。
その頃、睦月は駄目師匠からアンデッドカードに関する説明を受けていた。
ここで劇中初、アンデッド(カード)にそれぞれ、スートと数字が割り振られている事が表現されました。まあ、エースと絵札はともかく、数字に関してはギミック的な意味は薄いですが。
初期に素直に説明しておけばよかったものをここで持ってきて、急にカードコレクト要素を出してきたり、改めてのギミック見せを盛り込む作業が大変そう……て、それ、アルカード広げているのか(笑)
割と扱い軽いゾ、アンデッドカード。
俺もキラカード欲しい、みたいな調子で上級アンデッド封印したいなーという睦月に対し、上級アンデッドは剣崎に任せろ、と止める橘。エースの意志に翻弄されていた睦月、チキンハートで拒絶反応を起こしていた橘と違い、剣崎だけが最初から完全にエースと融合しており一段上の強さを持っている………………無神経だから?
橘さんが剣崎の強さを認める発言をするのは多分初ですが、思わせぶりなので、先への伏線か。あと、前々回、山羊男をざっくりとぶった切っていましたし、最近、ブレイドが強い理由付けもそれとなく。
ワシメガネが神丘を攫った事に気付いた始はメガネの元へ向かい、神丘を始末するのではなく、ワシメガネと戦う事を選ぶ。その手にしたカードを不意打ちで奪い取ったワシは、それが間違いなくハートのーエース――マンティスアンデッドのカードである事を知る。相川始は“カリスに変身していた”のではなく、“カリスのカードを使って変身していた”のだ!
「カリスはこの中に封印されている。――ではおまえは誰だ?」
カリスのカードを懐に収めたメガネに対し、トンボのカードで変身する始。
トンボアンデッドがやたらにライダー顔だったのは、この伏線だったのか?!
そこへブレイドが乱入し、ワシは大好きなカリスカードを懐に収めたまま逃走。始はそれを追って走り去り、剣崎は神丘にからまれるが、始の事をかばう。
初期の全方位悪態キャラからさすがに少しずつ性格改善していた剣崎ですが、ここ数話で急速に、全方位いい人化。口は悪いが心は熱い、憎めないロクデナシ、みたいに。
剣崎は、神丘に見せられた栗原一家の写真をごく自然にポケットに収めると始を追いかけ、どことも知れぬ海岸線に放置プレイを受ける神丘さん。
始に追いついた剣崎は写真を渡し、カリスのカードを取り返す事を宣言。

「俺のエースを取り返し、おまえになんの得がある」
「知って欲しいのさ。人間がなぜ、他人を助けようとするのか」

だがそこへ、空中からワシが2人を強襲する!
逃げたと思ったらまた襲ってきたワシは、何をしたいのかいまいち不明。空中戦可能な自分に有利な戦場を選んだという事かもしれませんが、場面転換とか会話の都合優先といった具合で、今回は全体的に構成がやや強引。とりあえず始末しないといけない要素を全て詰め込んだ為かもしれませんが(^^;
空中から攻撃してくるワシに対し、始はブレイドにトンボカードを貸し与え、まさかのビックリ空中戦。浮揚ブレイドはワシの翼を切り落とし、墜落したワシからカリスのカードを奪還。それを受け取り変身しようとする始だが、その耳にシャッター音が響く――。神丘の向けるカメラのレンズ……それに気付いて変身をためらう始だったが、結局は変身し、ワシの流れ弾から神丘を助ける。
「私をかばったの……?」
「ここは危険だ。行け!」
ブレイドとカリスは連携攻撃でワシを撃破、ワシとカリスの「約束」について聞き出す。それは、アンデッド大戦の最後に、決勝戦で雌雄を決する事。
「貴方達も同じでしょう。人間とアンデッド……今は手を取り合っていても、いつかは戦う運命」
「運命……?」
「貴方達も、内心それを望んでいるんです」
ブレイドは倒れたワシを封印し、これで空も飛べる筈?
一方、橘と別れた睦月は、アンデッドカードの封印を解くレンゲルの特殊カードを狙うお花アンデッドに襲われていた。「カテゴリー10が欲しい」と数字分けの設定を、今更ながら強調。同じく数字を口にしながら技を放とうとするレンゲルだったが、駄目師匠に適当な組み合わせでカードを使うなと止められた隙に、花に逃げられてしまう。
すっかり、最初にスーパーレアカード手に入れたせいで、強いカードオンリーでデッキ組む事しか頭にない小学生みたいになった睦月は、上級アンデッドを封印し損ねた、と不満たらたら。
「金にあかせてレアカードを集めるんじゃない! 今あるカードの組み合わせで戦うのがカードバトルの醍醐味なんだ!」と口うるさい、そもそもカードゲームを教えてくれた近所の無職のお兄さんに思いっきり舌打ち。
やはり、駄目人間には人を導く事など出来ないのか……!
うじうじ鬱陶しい→ヒーローへ、と思ったら、あっという間に嫌なガキ化してしまった睦月(^^; 一応、「強さを求める」という根本は繋がってはいるものの、作品大手術のあおりを一身に受けた上に、剣崎から抜き取られた嫌な奴成分まで注入された感じに。カードコレクト要素を強調する為には「強いカードを欲しがる」というのは、凄くわかりやすくはあるのですが。
そもそも、剣崎と橘は「仕事」の延長線上として「人々に被害を及ぼすアンデッドを封印する」という目的意識がありますが、始がアンデッドの封印にこだわる理由は未だ不明ですし、実はその辺りの目的意識もハッキリせずにいた作品だったり。橘も現時点はともかく、途中では散々ぶれまくりだったので、睦月のそれをわかりやすくするのは致し方ないところか。
ところで、なぜか笑顔で全力で「お友達」を確認し合った睦月彼女がここ3回ほど全く出てこないのですが、時空間から消滅した……? まあ、立ち位置と作風考えると、二度と出てこない方がむしろ幸せになれそうな気しかしないのですが。
そして――
仮面ライダー……カリス……」
神丘は、始の変身シーンを撮影したフィルムを感光させ、闇へと葬る……アンデッドと戦うあの2人の男を、もう少し信じてみようと……。
“人を守ったカリス”が、(知らない所で)“仮面ライダー扱いされる”という、象徴的なシーン。
……まあ、神丘さん、ちょっと、ちょろい気がするけど(^^;
途中でも少し触れましたが、今回はいつにも増して場面転換も多く、片付けておかないといけない事をとにかく詰め込んだ、という作りで全体としてはかなり雑。
後半にむけてざくざく転がしていく事に関しては予定通りなのかもしれませんが、山羊に引き続き、上級アンデッドの扱いが使い捨てカイロみたいですし。単体の使い方が悪いというよりは、伊坂とのバランスが悪く、どうしても肩すかし感を受けてしまいます。
で、唯一引っ張っているのが、どうも面白くないお花の女(^^;
悪女系キャラってどうしても見た目の説得力が必要になるので、キャスティングが難しい。
手術後の期待感で引っ張れる時間には限度がありますが……と思ったら次回、割と新展開?


◆第24話「アンデッドを倒せ! スーパーマシン開発に懸けた男達の熱い24時間」◆ (監督:佐藤健光 脚本:會川昇
睦月彼女、復活。
めでたいのかどうかは、判断に悩む。
とりあえずこれで、毎回無駄に全サブキャラを出そうとする路線とも訣別した事がハッキリしました。前回今回と、栗原母娘もばっさりカットしたし。
どだい、約20分のドラマに強引にキャラクター出し過ぎて話が散漫になっていたので、これも前向きな改善。
エースの力を御した自信の現れか、ちょっと男らしくなったと彼女に誉められる睦月だったが、そんな2人のストロベリータイムを引き裂く人々の悲鳴。遊園地を襲う獣人の姿に彼女を逃がし、睦月はレンゲルへと変身、正直若干以上に東急ハ○ズで用意したコスプレ臭の強い獣人を蹴散らすが、何故かカードで封印する事ができない。
そこへ姿を見せるお花アンデッドの女、そして謎の特殊部隊風な男達。男達はアンデッドの存在を知っており、獣人を銃撃すると、更にお花の女にも銃弾を浴びせる……。
その頃、剣崎は橘に始の事情について説明をしていた。
「あいつは、人間の愛情に、興味を持っています」
そして栗原親子以外に興味のない筈だった態度にも、少しずつ変化が現れている……。
思いっきり殺しかけ、現在進行形で復讐対象の駄目先輩は、当然「いつ俺たちの敵になるかわからん」と警戒を解こうとはしないが、「でも、俺は信じたいんです」と剣崎は始に歩み寄りの姿勢を見せる。そしてそんな剣崎の言葉を耳にする虎太郎……。
ブレイド』は、基本構造の問題なのでもはや仕方ないのですが、下手にキャラクターを分散してしまった為に、情報共有の度にシーンが切り替わるのが、非常に困った所。シーンが無いのにいつの間にか情報共有した事になっている、よりはマシですが、毎度いちいち情報共有の為だけのシーンが入って流れが切れるのが、大手術によって全体のテンポが良くなった為に、悪目立ちするようになってしまいました。
早い内に、物語の流れの中で情報共有できる構造になってほしいところ……というかとりあえず、へたれは諦めて同居すればいいと思うのですが。
潤いのない男子寮生活みたいな感じで、同居したくない気持ちはわからないでもないけど。
特殊部隊の車を弾き飛ばすも、アンデッドの動きを封じるという、なんとか細胞活性弾(T? D?)を向けられ、逃げ出した女の前に現れる、狼アンデッド。両者の戦闘が始まるが、その光景にプールサイドで拍手する、謎の中年。
「さあ遠慮しないで、続けて続けて」
「待ってくれ」
「あなたのテリトリーを、冒すつもりはなかったの」
軽い調子の中年に対し、どこか怯えた様子になる、2体の上級アンデッド(狼は実はよくわからないけど、とりあえず面倒くさいのでそういう事にしておく)。逃げた女を追いかけてきた睦月は、その光景を目撃する。
「おまえも、アンデッドなのか?」
「勝手にやってくれ。戦いは、嫌いなんだ」
更にそこへ無職ーずが現れ、3人並んで変身。ブレイドは虎太郎の仇、レンゲルは狼に相対し、余ってしまったギャレンは、アンデッドかどうか確認もしないまま、とりあえず中年男に殴りかかる(待て)
狼とお花はさくっと逃げだし、残された中年は「めんどくせーなぁ……」の台詞とともにアンデッドに変身、水しぶきでめくらましすると逃走……と、これまでとは少々、毛色の違う性格。
中年ニート生活を堪能していたとおぼしき新上級アンデッドは、タコかイカっぽいデザインですが、花と狼の態度を見るに、キングだけにダイオウイカとか、そういう感じでしょうか。とりあえず仮称、大王イカアンデッドで。……アンデッド大戦に優勝した場合、栄える種族が凄くニッチだ。
「いい事思いついた……あいつとカリスを噛み合わせれば、カリスの正体を知る事が出来る……ふふ」
お花アンデッドはすっかり、引っかき回す→逃げる→引っかき回す、のコンボだけを繰り返す存在になってきましたが、アフレコがもうちょっと馴染んでいればなぁ……アフレコ微妙。展開が展開なので、継続して出てくる上級アンデッドも必要、というのはわかるのですが。
睦月は封印できない獣人と謎の特殊部隊について説明し、姿を消したアンデッドを探す剣崎達。狼アンデッドが人を襲っている所に遭遇した剣崎は、被害者が獣人へと変異するのを目撃する。そう、睦月が遊園地で倒して封印できなかった獣人は、アンデッドの特殊能力により、アンデッドの仲間と化して操られていた人間の死体だったのだ。
驚く剣崎の前に現れた特殊部隊が、容赦なく獣人を銃殺。そーいえば昔、この流れで拘束されて、全身スキャンとか受けた事あったな俺……と思い出したか思い出さないか、身構える剣崎の前で、彼等は名乗る。
「アンデッド・ハンター」――と。
部隊を率いる男の名は、新名。橘も広瀬もボードでは聞き覚えのない名前だったが、剣崎と橘はその新名からサーキットへ招かれる。
凄い唐突にバイクレースのシーンが入るのですが、仮面ライダーでチーム作って、バイクレースに出場していた頃(今どうなのかは知らない)の、協賛企画でしょうか。
そこで2人が目にしたのは、かつてボードで開発中だった新バイク、ブラックファング(見た目邪悪)。新名たちアンデッド・ハンターは、ライダーシステムとは別のアンデッド封印方法を研究していたチームであり、夜逃げ倒産したボードに代わり、アンデッドへの対抗方法を研究し続けるとともに、このブラックファングを完成・量産化しようとしていたのだった。
新名の誘いに乗り、自分の歌をBGMに、ブラックファングのテスト走行をする橘。
なんか物凄く恥ずかしいシーンになったけど、今回に限っては橘さんは悪くないよ!
ブレイドバイクをぶっちぎるブラックファング……だがそのポテンシャルはもっともっと高く、実戦で蓄積されたブレイドギャレンのバイクのデータを提供されれば、より高度なマシンとして完成する筈。一緒にブラックファングを完成させ、そして共にアンデッドと戦おう、という新名たちの申し出に、脳天気に喜ぶ剣崎と、どこか疑わしげな表情になる橘。だが結局は協力する事になり、妙に尺を取ったバイク開発シーンに突入……
「なんか、わくわくしますよね、最強のマシンか……」
「ああ……!」
訝しんでいた用心はどこへやら、機械いじり始めた途端にノリノリになってしまう橘、これが駄目人間の限界。
でもきっと、小夜子さんはこんな駄目な橘さんが好きだった、と思うと改めてへたれ需要の精妙さを感じます。
剣崎達がバイク制作に勤しむ頃、お花アンデッドの気配に飛び出した始は、例のプールサイドへと誘い込まれていた。喧嘩する気は無いというダイオウイカに対し、「自分で呼び出しておいて、それはないだろ」と話を聞かないというか喧嘩大好きな始さん、変身。
両者が疲弊した所で漁夫の利を狙う女だったが、「俺をここまで呼び出した仲間はどうした?」というカリスの発言で、あっさりバレる。
えー……この女の人はもしかして、「自称エリート」みたいな感じで、自分では策士のつもりだけど全然駄目な人、という路線に行くのか。
前回も睦月を騙して転がせば良かったのに、さくっと正体見せちゃうし。たぶん睦月は、虎太郎よりも更に転がしやすかったと思う。
ダイオウイカは適当にカリスを蹴散らすと女を追う……そして夜明けのサーキットでは、へとへとになった剣崎と橘が目を覚ますと、ブラックファングの最終調整をしていた筈のハンター達が死屍累々の有様になっていた。新名たちを探す2人の前に姿を見せたのは、ブラックファングにまたがった、狼アンデッド。そしてバイクは、アンデッドの力を得てより邪悪な姿へと変化する……。
今回も新たな上級アンデッドが更に登場。そして1人は次回には片付けられそうな気配。これまで延々、ネタを分散してダラダラと進めてきた今作ですが、いきなり、出したネタをマッハで転がしていく展開となり、手術後しばらくはそういう方向性で行くという事なのか。邪悪バイクといいアンデッドハンターといい、食いつきの良さそうなネタを次々と出してはてきぱきと片付け、主要キャラクターに関する思わせぶりな伏線を少しずつ張っていく、という、のはまあ、正統派の構造であります。
新名=オオカミなのかは今のところわからないですが、上級アンデッドがそれぞれ、アンデッド大戦を勝ち残る力を得る為に暗躍し、それに仮面ライダーが絡む、という展開になるのでしょうか。今作に必要なのはそういう、わかりやすいベースラインだとは思いますが。
何事もわかりやすければいい、というわけではないですが、最初からハイウェイを外れてフェンスの外へ飛び出してしまった上で全く面白いドライブにならなかった今作としては、一度ハイウェイに戻っておくのは必要な作業かと思われます。
にしても前々から感じていたけど、解放されて数年、上級アンデッドの皆さんは結構、人間社会を楽しんでいるとしか思えない。