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『仮面ライダーW』感想13

◆第17話「さらばNよ/メモリキッズ」◆ (監督:諸田敏 脚本:長谷川圭一
いきなり、ナスカと戦っているダブル、というちょっと変則的な入り。
(話はほんの30分ほど前に遡る。それはまさに、運命の悪戯だった……)
行きつけの床屋が一緒だった翔太郎と霧彦、タオルがかかってお互い誰だかわからない状態で意気投合。風都のイメージキャラクター風都くんは、小学3年の時にコンテストで優勝した霧彦のデザインであった事が判明する。周囲がちょっと引くレベルで風都への愛を語り合2人だが、そこでお互いの正体が発覚。
(運命の悪戯――この偶然の出会いは、決して忘れられない別れの始まりだった)
外に出て、寺の境内で殴り合っていた2人だが、床屋のマスターがやってきて水入り。マスターの相談を受けた翔太郎は、一昨日から戻ってこない中学3年の娘・茜探しを依頼として受ける事に。
クイーン&エリザベスから情報を得て、茜と同級生の4人組を発見した翔太郎だが、茜を連れ戻そうとした翔太郎の前で、1人の少年がバードメモリを使ってドーパントに変身。ダブルに変身して容赦なくおしりぺんぺんする翔太郎だったが、もう1人の少年がメモリを使い回して、茜を連れて飛び去ってしまう。
本来、ガイアメモリの使用には専用のコネクタ手術が必要で、メモリの使い回しは不可能な筈。何が起きているのか困惑しながらも、翔太郎はメモリの副作用で苦しみだした少年を、ひとまず病院へ連れて行く事に。
この様子を見ていた霧彦は、バードメモリがどうして15歳の少年少女の手に渡ってしまったのか、冴子に調査を指示。
ここでミュージアムによるガイアメモリの販売目的は、人間を理想の生命に進化させる事、その為の人体実験であった事が判明。
「だが、このケースはルール違反だ」
人体実験の材料は、あくまで欲望に従って自ら力に手を伸ばした大人だけ。未成年者にメモリが販売された事に霧彦は怒りを燃やす……。
バードドーパントとなって襲撃事件を起こしていた少年を止めるべく、翔太郎はバイクで体当たり。
ドーパントだから、大丈夫☆
最近、翔太郎のバイクの使い方が荒っぽくて、その内官憲のお世話にならないか心配です。
行方不明のファングを探していたフィリップが現場に現れ、ファングは自分がピンチになると姿を見せるのでは? という仮説を確かめる為に自らバードの攻撃を受けようとすると、ファングがそこに現れ、2人はファングジョーカーに変身。
いつものノリでフィリップを受け止めようとした亜樹子(何か、この仕事にやり甲斐を感じつつある模様)、倒れたのが翔太郎で空振り。
「そっちか」
(亜樹子ぉ!)
「さあ、お」
「「まえの罪を、数えろ」」
ファングジョーカーは終始戦いを優位に進めると、ファングストライザーでメモリブレイクに成功する。だが、少年から抜けたメモリは何故か砕けず、別の少年と同じように苦しむ少年。そこに現れ、メモリを拾う霧彦。
「我々は! 過去に未成年者にメモリを売った記録はない!」
未成年者を巻き込んだ事を否定する霧彦だが、それはそれとして戦闘開始……と、要素てんこ盛りしすぎて、終始ドタバタ気味(^^;


◆第18話「さらばNよ/友は風と共に」◆ (監督:諸田敏 脚本:長谷川圭一
ファングに匹敵する戦いを見せるナスカだが、《超高速》の連用で体に異変が起こり、膝をつく。そこへ放たれたフィリップのトドメの一撃を、寸前で止める翔太郎。
「言ったよな、おまえも。この街を愛してるって。もしそれが本当なら、子供達にもう、あんな涙は流させるな」
翔太郎達は少年を病院へ運ぶが、その時フィリップが、茜の手に正式な生体コネクタがある事に気付く。
「メモリの名称はバード。やっぱり、そういう事か」
これまで、バードに変身した少年が襲撃していたのは全て、茜の陸上のライバルの親が働いている場所だった。少年が襲撃を行っていたのは茜への好意の暴走――そしてバードメモリを最初に手に入れたのは、他ならぬ茜であった。
陸上の記録が伸びずに悩んでいた茜は、ある日、黒衣の女からメモリを渡されて生体コネクタの処理を受け(片手で持てるような機械で簡単に手術できる事が描写)、メモリの保持者に。最初は空を飛べて気持ちいい程度に使っていたメモリだったが、やがてドーパント化の影響か陸上の記録が伸び始める。メモリを手放せなくなりつつも怖くなってきた茜はそれを仲良しの少年に見せるが、コネクタ手術を受けていない少年も、何故かメモリでドーパント化。それをきっかけに仲良しグループで使い回している内に、4人はメモリの魔力から引き返せなくなっていたのだった……。
「悪いのは君じゃない。何も知らない君達に、ガイアメモリを渡した奴等だ」
ここ数話、ガイアメモリの副作用、メモリが人間の健全な精神を破壊していくという部分が強調されていましたが、前回の倉田の「メモリ捨てるぐらいだったらな、人間を捨てるぜぇ!」など、ガイアメモリはドラッグ(に類するもの)の隠喩、という要素があると思って良いようです。
その頃、霧彦は園咲の屋敷内部に隠し部屋を見つけ、謎の地下空間とジェネレーターを発見する。そここそがミュージアムの中枢、地球の記憶と接触する場所であった。霧彦はそこで琉兵衛から、バードメモリが意図的に未成年に渡されていた事を知る。大人になりきれない年代の子供にメモリを渡す事でより多くのデータを得、そして純粋無垢な精神と肉体によりメモリはこれまでにない進化を遂げ――やがて限界を迎える。
「相手はまだ、子供ですよ!」
「だから?」
「そんな事はさせない!」
霧彦はナスカに変身して琉兵衛に剣を向けるが、その体を再び苦痛が襲う。園咲家に婿として迎えられた霧彦もまた、ナスカメモリの実験台であり、《超高速》の力を引き出すも、その肉体は限界を迎えようとしていたのである。
冴子さんが優しいと思ったら、これかーーー(笑)
「残念だよ。家族が減るのは」
琉兵衛はテラーに変身し、闇に呑まれかけるナスカは何とか《超高速》で逃亡するが、スミロドンの追撃を受けて追い詰められ、そこを通りすがりの若菜に助けられる。
「霧彦お兄様。いつのクールな姿は見る影もないわね」
「ありがとう、若菜ちゃん。てっきり君には、嫌われてると思ってたよ」
「そうねえ、何故かしら」
フィリップとの出会いによる変化、というニュアンスもあるのでしょうが、どんどんヒロインゲージを高めていく若菜姫。
信じていた人間に裏切られたと知った時、どうするか? 若菜の「本当の自分の心に従う」という言葉を聞いた霧彦は、本当の自分がしたい事をする為、バードメモリの破壊方法を仮面ライダーに伝えに立ち上がる。
「じゃあね、若菜ちゃん。――君のラジオ、好きだったよ」
“本当の自分”というのが若菜のキーなので繋げたのでしょうが、霧彦さんの最後の一押しとしては、ちょっとチープな会話になってしまいました。若者同士ならこれでもいいのだけど、霧彦さんのポジションからするとどうなのだろう、という。
一方、翔太郎が床屋に連絡に行っている間に、バードメモリを求めて暴れだした茜は事務所を飛び出し、外で黒衣の女(冴子)と接触。再びメモリを手に入れた茜はバードドーパントへと変身し、ダブルはフライトメカに換装して、風都上空で大空中戦。ここの空中戦は画面を広く使って、格好良くなりました。
戦いの最中にバードメモリが進化して攻撃力が上がり、ダブルが撃ち落とされた所にナスカが駆けつけ、戦いをフォロー。体内のバードメモリの場所を見つけて直接破壊する――というバードメモリの破壊方法を伝えると、自ら身を挺してバードの動きを止め、ダブルはトリガーの銃にコウモリメカを付けて放つマキシマムドライブ、トリガーバットシューティング(精密狙撃モード?)でメモリブレイクに成功する。
「気を付けろ。ミュージアムという組織は、君らが想像している以上に、底知れない闇を抱えている」
茜は正気を取り戻すが、限界に達する霧彦。
「この街を、よろしく頼む」
琉兵衛の言葉通り、自らの死期を悟った霧彦は、約束通りに風都くんのレアものキーホルダーを翔太郎へ渡すと、最後に愛する街の未来を託して、その場を立ち去っていく。
(なんだい、これは……)
(大切な宝物だ)
そして――。
「綺麗な夕陽ね。どうしたの、こんな所に呼び出して」
「冴子。私と一緒に、園咲の家を出てくれないか。そうしてくれ。私を、愛しているなら」
………………あれ霧彦さん、冴子さんには裏切られていないつもりだったのか(笑)
いやまあ、死期を悟っていますし、わざわざ呼び出した場所といい、半ば覚悟の上だったとは思えますが、素だったら素だったで面白い。
「わかったわ。……貴男がもう私には必要無いって事が」
タブーの一撃を受けて吹っ飛ぶ霧彦。
最期まで、脱衣。
「これは返してもらうわよ。ミュージアムの、いえ、私の崇高なる目的の為に。さよなら、あなた」
冴子はナスカのメモリを回収すると歩み去り、
「風都……やっぱり……いい風が吹くなぁ」
霧彦、消滅。
衝撃の全裸ベルトから16話、本当に、2クール保たなかった(^^;
(俺が依頼された事件は終わった。でも……この街を愛した人間が、また1人――消えた)
「凄く大切なもの、託されちゃったみたいだね」
「ああ」
霧彦死亡の新聞記事を目にして、翔太郎は風都くんキーホルダーに目を移す。そんな事務所では、季節外れのカブトムシ騒動が。事務所の外へ飛んでいったカブトムシ型のメカを手にしたのは、赤いジャケットの男。
盗 撮 魔?
「やな風だ……だから嫌いなんだよ、この街は」
男はカブトムシを回収すると歩き出し、その手には、一つのメモリ――
――『アクセル』――
2クール保たずにリタイアしてしまった霧彦さんですが、リアルの時期的には丁度戦隊が入れ替わり、新入学シーズンに向けて、戦力追加の頃か(笑)
というわけで幹部が1人リタイアし、新ライダー登場、と次回から新展開。
エピソードとしては、うーーーーーん……ちょっと、いまいち。
こちらがボルテージ上がって期待し過ぎた、というのもあるかとは思いますが、

  • 風都ラブで繋がり奇妙な友情で結ばれる翔太郎と霧彦
  • 園咲家の更なる闇
  • ガイアメモリの新たな性質
  • ファングの見せ場
  • 霧彦リタイア
  • 端々で新ライダー登場の伏線

と、詰め込みすぎてバタバタしてしまいました。
理髪店におけるお互いの正体に気付かないまま意気投合する翔太郎と霧彦、のくだりは面白かったのですが、面白かっただけに、これならもう少し、複数のエピソードに跨がって少しずつ見たかった気もします。というか、翔太郎とフィリップの相棒関係を優先した事で本編には入れている余裕がなかった“本当はやりたかった事”を冒頭数分に強引に入れた感じ。
今作としてフィリップを優先したのは正解だと思いますが、総じて、霧彦さんに割けなかった尺を一気に埋めようとした結果、かえって霧彦さんの扱いが中途半端になってしまった気がします。
霧彦さん好きだっただけに、悪も理想も友情も全て半端な描き方になってしまったのは、残念。
園咲家の方では、新しいガイアメモリの開発と、来人の確保が繋がっている事が暗示され、ガイアメモリは星の図書館のデータから作られている、という可能性はありそうです。そうするとフィリップが、図書館の検索で簡単にガイアメモリの正体やその適性者に辿り着けるのも納得行きますし。
そして冴子には、ミュージアムとは別の、個人的動機がある事が匂わされました。若菜も含めた微妙な親子関係も交えて、後半への布石になりそうです。
主人公と当座のライバルの間を「風都LOVE」で結びつけたエピソードの後に、「風都が嫌い」と言うキャラを出してきたのは面白く、いったいどんな風を運んで来てくれるのか、次回、楽しみ。