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『仮面ライダーW』感想39

本日も長くなったので、レスは明日に(^^;
◆最終話「Eにさよなら/この街に正義の花束を」◆ (監督:石田秀範 脚本:三条陸
女々しぃぃぃぃぃ、翔太郎、女々しぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!
居なくなって1年経つのに、事件の情報を手に入れたらフィリップに検索を頼もうとしたり、変身する時にフィリップに呼びかけたり、痛々しいぃぃぃぃぃ!!
ユートピアドーパントが滅び、加頭の手によるガイアインパクトが阻止されて1年――相棒の事を思いながら、ペットショップで猫缶(ミック用と思われる)を買う翔太郎。
(フィリップ……おまえが消えてもう1年になるな。風都タワーもようやく再建されたぜ。でもな、俺はおまえに合わせる顔がねえ)
−−−−−
事件の決着後、Xクレイドールの後遺症か、長く眠ったままだった若菜が目を覚まし、面会する翔太郎だが若菜の態度は頑なだった。
「命の恩人のつもり? それとも来人の差し金?」
自分が消えた事を若菜には秘密にしてほしい、というフィリップとの約束を守る翔太郎は、若菜の心を開けずにいた――。
−−−−−
(街の危機は終わる気配がねぇ。なあフィリップ、おまえの力が欲しいよ。ハードボイルドじゃないね、って、また笑われそうだが、俺には今でも、おまえがすぐ側に居るような気がしてならないんだ。今も俺の近くに)
そんな翔太郎を見つめる瞳――。
「なんだ坊主、うちに、用か?」
事務所の前でのこの台詞は、第1話で亜樹子に向けたものの対比でしょうか。
「姉さんを、取り戻してくれる?」
おずおずと切り出した少年は、小学6年生、青山晶。姉の唯が三日前から行方不明で、それを探して欲しいという晶は、姉が居ないと何も出来ないと堂々と宣言し、翔太郎は見事にコーヒーを噴き出す。
「いいか。いかなる事態にも心揺れず、1人で耐え抜く。それが、ハードボイルド、てんだ」
「それって、いい事なんですか?」
甘えた上に小生意気な少年の言動に暴発した翔太郎は、少年を調査に強制連行。唯の失踪の背後に、高校生を中心とした不良グループが関わっているらしい事を突き止める。その名を、“EXE”……通称「エナジー」と言われる人物をボスに、ガイアメモリの売買をしているという集団であった。
晶と共にEXEの溜まり場へ向かった翔太郎は、そこで思わぬ事実に直面する。実はEXEのメモリ販売は、唯が始めたものだったのだ。唯がたまたま見つけたメモリが高値で売れた事をきっかけに、若者達は徐々に組織化、凶暴化し、EXEを名乗りガイアメモリを流通させるようになっていたのである。
晶少年の姉・唯は、最終回だけの登場でメイン扱いというわけでもないゲストヒロイン(ちょっぴり悪女)にしてはかなり可愛いと思ったら、後のアイム姫(『海賊戦隊ゴーカイジャー』)でした。
今作は過去の戦隊レギュラー含め(見てわかっただけで、ルナジェル、ジャスミン、七海、山崎さん、メレ)、全体的にゲストキャラ(特に女性)のキャスティングに力が入っていたのは、非常に良かったと思います。
「俺たちはミュージアムを継ぐ者。偉大なカリスマも居る」
「カリスマ?」
「今は街で静かにしているあの方を迎える為、俺たちは残りのメモリをかき集めるのさ。再起動の日は近い」
へらへらとしながらも、どこか狂信的な様子の若者達の姿は、バードメモリ回のドラッグ的描写を思い起こさせる所。メンバーの1人がアノマロカリスに変身し、その隙に唯はリーダー格の若者とメンバー達に連れ去られてしまう。
「行くぜ、フィリップ。…………いけね、また癖が」
1人になった探偵は、託されたロストドライバーに、ジョーカーメモリを突き刺す。それは街の希望、黒い切り札。

――僕の好きだった街をよろしく 仮面ライダー 左翔太郎!――

「俺は仮面ライダー――ジョーカー」
正真正銘、鳴海荘吉を継ぐ者となった左翔太郎は、さすがにLVの違いを見せつけアノマロカリスを一蹴、最後はライダーパンチでメモリブレイク。
劇場版の切り札だった翔太郎の単独変身が、綺麗にTV版と連動。
劇場版を見ていればあのロストドライバーとわかるし、見ていなくても、自分が消える事を覚悟したフィリップが翔太郎の為に作ったのかな? と思えるのは、いい構成。というよりも劇場版を見ていると、ロストドライバーがいつの間にかフィリップの手に渡っていた事がちょっと謎なので、TVオンリーの方が納得度が高いような気も(笑) 劇場版でユニコーン食らった時に壊れたのをフィリップが修理していた、とかなら綺麗に繋がりますが(ただ特にそういう明確な破壊描写が記憶に無い)。
「晶、姉さん追うぞ」
「もう嫌です。何も知りたくない、したくない」
大好きな姉が犯罪に荷担していた事を知り、それ以上の真実を知ろうとする事を拒む晶。
「おい晶、殻に篭もってる場合か!」
「僕は、あなたみたいに強くないんだ」
「いいか、俺は強くなんかねえ。おまえと一緒だ。本当は1人じゃなんもできねえけど、無理矢理1人で踏ん張ってるだけさ」
「それがハードボイルド? わかんないよ」
−−−−−
警察病院へ向かった翔太郎は、生身のままでクレイドールの力を振るって暴れ回る若菜の姿を目にする。
「私は再起動し、この汚れた街を浄化する!」
「この街は汚れてなどいない! そう思うのは、おまえの心が歪んでいるからだ! 風都を危機にさらす者はこの俺が許さん!」
アクセルに変身した照井が若菜を力尽くで止めようとするが、身を挺して割って入る翔太郎。
「頼む……待ってくれ照井。今彼女を傷つけたら、フィリップは何の為に命を投げ出したんだっ」
口が滑ったーーーーーー
「来人が命を……? いったいどういう事?! ねえどういう事?!」
「フィリップは消えた……君を守る為に、最後の力を振り絞り……地球の中へと」
自分が眠っていた間に起きた真実を知り、悲嘆にくれる若菜はデータ化?してその場から姿を消してしまう――。
果たして、街で静かにしている偉大なカリスマとは、若菜の事なのか?
−−−−−
事務所へ戻ってきた翔太郎は、中から聞こえてきたフィリップの声に大騒ぎして事務所中を探し回るが、それはサポートカエルの中に残っていた音声データだった。
晶にフィリップについて話していた亜樹子は大失敗に落ち込み、激しく沈んだ翔太郎は隠し部屋のホワイトボードに残されたフィリップの最後のメモ、「CHARMING RAVEN」を見つめる。大人達の様子が理解できずに呆れる晶に、自分で自分をスリッパで叩いた亜樹子は、フィリップが海外留学したわけではない、という事実を教える。
「あれ嘘。本当は、この世から消えちゃったの」
「え?」
「フィリップくんは、翔太郎くんの大事な相棒だったの。君にとってのお姉さんと同じ。居てくれないと何も出来ないぐらい、2人で1人だったの」
何故みんな、よってたかって翔太郎をぽんこつ扱いしたがるのか(笑)
おかしいな翔太郎、前半の翔太郎は割と、大人の視点を持った職持ちライダーだった気がするのに。

「ずっと、やせ我慢してるんだよ」
「やせ我慢……それが、ハードボイルド」


――If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive.
「しっかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている資格がない」
(『プレイバック』/レイモンド・チャンドラー
成る程、そんな男の生き方は、つまり痩せ我慢である、と。
今作における「ハードボイルドとは何か」という問いに対する答として、面白く着地しました。最近若干忘れられがちな気配があったので、最後に回答を持ってきてくれたのも良かったです。
表向きおちゃらけて見える翔太郎の内に秘めた悲しみを知る晶だが、その携帯に、EXEからのメールが届く……。
今作第1話からのテーマに一つの答を出したシーンですが、合わせて、亜樹子がとても良い味を出しているシーンでした。翔太郎への気遣いや、自分への反省のスリッパ、そして少年へ向けた言葉。基本、騒がしい巻き込まれ型マスコット、みたいなキャラクターが苦手なので亜樹子の存在には当初不安があったのですが、自立した上で都合の良い人質キャラになる事もなく、早々にヒロイン路線を諦めた事も功を奏したのか、とても良いキャラになりました。この手のキャラクターにしては個人的にかなり珍しく、嫌いではありません。
照井課長とのカップリングは許さないけどな!!!!!(待て)
−−−−−
病院から姿を消した若菜は、森でシュラウドと出会っていた。最終回記念という事か、シュラウド、コートを脱いで登場。帽子+サングラス+包帯はそのままなので、非常に不思議なコーディネートになっていますが(笑)
「それで、何を望むの?」
「再起動。そして、私なりのガイアインパクト」
「そう。貴女の知りたい事は、星の本棚にある」
「意外。貴方がこんなに素直に協力してくれるなんて」
「家族だもの」
「え?」
そっと、若菜の手を取るシュラウド。
「若菜、貴女は、思うようにするといいわ。…………あなた……今、いくわ……」
「お母様……!」
琉兵衛への復讐という憑き物が落ち、愛する息子の最期を見届けた事で糸が切れたのか、若菜の腕に倒れ込んで息絶えるシュラウド。
シュラウドはひたすら謎の人でしたが、開発能力に関しては“天才だから”で済ませるとしても、出たり消えたりするのは何だったのか(^^; まあ今作には、ガイアメモリの能力、という理由付けが幾らでも効きますし、《泉》と接触した影響による何らかの特異体質だったのかもしれません。シュラウド自身が、ある種の怨霊であった、というぐらいの解釈も許される作品世界だとは思いますし、若干、都合良く使い過ぎた所はありますが、ファンタジーで許される範囲ではあり。
−−−−−
メールで呼び出された晶は、勇気を振り絞って1人でEXEの別のアジトへと向かう。EXEが唯をさらったのは、唯が隠し持っているメモリの場所を聞き出して奪い取る為であり、唯はメモリを晶の鞄の中に縫い込んで隠していたのだった。オーシャン(レアらしいが、出番無し)を始めとしてメモリを奪われた唯と晶は隙を見て逃げだそうとするが、男達に囲まれてしまう。姉を守ろうと必死に鞄を振り回す晶、それを囃し立てる男達。Gなあれのドーパントが2人に迫るが、その時――駆けつけたバイクがGを轢く。
1人でも、ヒーローだから。
最終回にどうして、アノマロカリスとこれというセレクトなのか、と言いたい所ですが、どうしようもない無軌道なチンピラ達なので、出来る限り格好悪いのを選んだのでしょうか(笑)
誰にも言わずにEXEの溜まり場へ向かった晶だったが、亜樹子がいつの間にやら靴に発信器を仕掛けていたのだった、と最終回で久々に探偵アイテムも使用。
「よお晶、1人で踏ん張ったんだな。見直したぜ」
「翔太郎さんも、1人で踏ん張ってるから」
肩をすくめ、ハードボイルドなポーズを向け合う二人。
「行くぜ。――俺、変身」
なぜ、電王(笑)
連絡を受けたのかそこに照井も駆けつけ、華麗に素手でチンピラ達をしばき倒すと、姉弟を救出。
「なんだおまえ?」
「俺に質問をするな」
良かった、このままだとラスト3話、ユートピアにぼこぼこにされる→燃やされる→緊急手術→車椅子→アクセル踏み込みすぎて若菜に切りかかる、で終わる所だったので、照井の見せ場がまだあって本当に良かった(笑)
「さあお片付けだ」
ジョーカーはGを叩きのめすと、ライダーキックでメモリブレイク。
女々しくてちょっと痛くてやせ我慢の翔太郎ですが、ジョーカーは、ひたすら格好いい。ここで「仮面ライダー」が、悲しみを隠す為の仮面として、原点に似た機能を見せているというのは、お見事。
リーダー格はメモリを構えるも使う間も無くデコピン一発で気絶。後の処理は照井が請け負ってEXEは一斉に検挙され、街に潜む一つの危機の芽は摘まれる。
「ありがとう晶。あんたがあんな勇気出すなんて」
「覚え立ての、――ハードボイルド、だよ」
「こんにゃろー、たくぅ、調子のいいやつめ〜」
晶少年とはしゃぐ翔太郎、前途ある少年に、なんて悪い影響を(笑)
まあ今作は、割と人間関係のドロドロした裏表を描く事が多い為、翔太郎と年少の子供の関わる機会が少なかったので、それを描けたのは最後に清々しくて良かったと思います。これまでの端々の描写から見るに、翔太郎、割と子供好きそうですし。
もっとも翔太郎の場合、最初の内は
面倒をよく見てくれるいいお兄さん(二枚目)
と保護者に有り難がられていたのが、次第に
余計な事(ハードボイルド)を教える社会不適格者(残念)
の烙印を受けて遠ざけられそうですが。
笑顔で帰路に着く4人だが、その前に、一人の男が立ちはだかる。それは、冒頭で翔太郎がクレームをつけたペットショップの店員だった。
「偉そうに。なーにが街の顔だよ」
「下がってろ!」
不気味なその様子に警戒する翔太郎の前で、男は鼻の穴にガイアメモリを突き刺して変身。――その名を、エナジー3人をかばった翔太郎の背中に、エナジードーパントの放った光弾が突き刺さる!
「ははははは、はっはっは、誰も知らない。俺がこの街で一番強い事を。EXEの真のヘットだという事を!」
地面に倒れてピクリとも動かない翔太郎に背を向け、高笑いするペットショップ店員。
まあチンピラの逮捕を終えて、遅れて追いかけてきた照井にばっちり見られたので、この後、あの世まで振り切られそうですが。
街を守ってきた希望、ハーフボイルド探偵・左翔太郎は、街に潜む悪意の前に、呆気なく命を落としてしまったのか――
−−−−−
「再起動の為の全てを閲覧した。来人――」
シュラウドを看取り、ガイアインパクトを行う為に星の本棚を検索していた若菜は、必要な全ての知識を手に入れ、工事中の風都タワーを見つめる。
−−−−−
エナジーの光弾を生身に受け、伝統と信頼のなんじゃこりゃーーーーー展開かと思われた翔太郎だが、何故か、生きていた。どこからか飛来したエクストリームメモリが寸前で、光弾を受け止めてその命を救ったのだ。
「はっはーん…………え?」
フィリップと共に消失した筈のエクストリームメモリを呆然と見つめる翔太郎。
その目の前で、エクストリームメモリから吐き出されるフィリップ。
「やあ、翔太郎」
「なんでだよ……」
「一年前、若菜姉さんが僕に体をくれたんだ」
−−−−−
一年前――再建中の風都タワーを見つめながら、園咲若菜はガイアインパクトを発動した。
「来人! これが私の決めたガイアインパクトよ。――来人」
真っ白な空間、星の記憶の狭間で、若菜に揺り起こされてフィリップは目を覚ます。
「来人、私の体を貴方にあげる」
「え?」
「貴方の相棒の泣き顔、見てられなかったんですもの」
若菜なりのガイアインパクト……それは、フィリップという意識/記憶に、自分の肉体という器を提供する事。
「人類の未来の為に、地球を変えるのは園咲の使命。でも一番ふさわしいのは私じゃない。誰よりも優しい貴方よ、来人」
人類選別の儀式ではなく、未来をフィリップに託す事。それが、若菜の選んだガイアインパクトの形だった。
ここで一つ注目というか引っかかるのは、若菜が「人類の未来の為に、地球を変える」と言っている事。
これまでの琉兵衛の言動・行動及び、計画されていたガイアインパクトの正体を考えると、琉兵衛の思想は「地球の未来の為に、人類を変える」であったと思うのですが、これは若菜の解釈――或いは、“本当の若菜”の心という事なのか。
全ての真実を知ってフィリップを選んだ若菜の変化、であるかもしれませんが。
「姉さん……でも僕、どうやって」
冴子「答はそのうち見つかるわ。とりあえずこれからも、風都を守る風でいなさい」
真っ白な空間に現れる、園咲家の人々。
「みんなは……?」
琉兵衛「私達は、地球に選ばれた家族だからね。この星の中から、おまえを見守っているよ」
「父さん……母さん、姉さん!」
駆け寄るフィリップを、無言で手を突き出して止める琉兵衛。
ここで何故か皆、突然の衣装チェンジ。
文音「来人、来ては駄目」
冴子「さよなら、来人」
若菜「さようなら……ありがとう」
「若菜姉さん……初めて貰ったポストカードと、同じ笑顔だ」
若菜「馬鹿……」
衣装チェンジ後の4人は、琉兵衛が色眼鏡をかけていなかったり、フィリップの若菜への台詞などから見るに、一つだった頃の園咲家の投影、という事なのでしょうが、地球の記憶のイメージ映像にも関わらず、この期に及んでシュラウドだけサングラス+包帯なのは、地球の記憶にも限界がある事を感じさせる所です。
フィリップが、理想の母さんのハードル上げるから!!
園咲家は皆、現世の因果から解放されてすっきりした感じになってはいるのですが、存命時に特に自分の悪行を反省したわけでもない冴子さんが妙にいい台詞を貰っているのは、やはりスタッフの愛を感じる所です。
綺麗すぎる感じは若干あるものの、泣きじゃくる若菜を冴子さんが抱きしめ、その冴子の肩に文音が手を置いている、というのは良いカット。
「ありがとう……」
新たなガイアインパクトによってフィリップを生かし、4人は地球の記憶と一体化して消えていく。
中盤までは積極的でなかったといえ、若菜もミュージアムの犯罪に関わっていたわけで劇中の因果応報として何らかの清算はしなくてはならなかったのですが、ここで、琉兵衛、冴子、シュラウドを含め、園咲家の贖罪としてのフィリップの救済を行う事で、綺麗にまとまりました。
そのフィリップに、地球と人類の希望を託すという形で単なる個人的感情以上の意味を付加し、また、阻止されるべき悪事だったガイアインパクトを、別の良き形で行われた、としたのも面白い。
再び甦ったフィリップは随分と重い荷物を背負う事にはなりましたが、思えばフィリップの死と復元が全ての始まりの一因ではあったわけで、これはフィリップが現世で背負う、園咲家としての贖罪なのかもしれません。
−−−−−
――こうして肉体崩壊と地球の記憶との一体化による消滅を免れたフィリップは、1年の間、エクストリームメモリの中で肉体を復元しながら翔太郎をストーキングしていたのだった。
……一歩間違えると、フィリップ女体化する所だったのか。
(多分、若菜の肉体データをフィリップのそれに変換するのに1年間かかったのではないかと思われる)
「うおーーー、フィリップぅ! おまえ!!」
「おっとっと、相変わらず全然ハードボイルドじゃないねぇ」
「翔太郎くんは完成された、ハーフボイルドだからね!」
「んな完成したかねぇ! ははは、うぉーーーーー!!」
歓喜爆発し、テンション高くフィリップとはしゃぐ翔太郎。亜樹子も勢いで、照井に抱き付く。青山姉弟もこれを喜び、そして、忘れられた男が1人。
「こらー! さっきからなんだ、無視すんなぁ!!」
それは、この街で一番強い男(自称)。

「おっといけねえ。忘れてたぜ。さあ行こうか、フィリップ」
「ああ、相棒」
『サイクロン』 『ジョーカー』
「「変身!」」

ここから主題歌が流れだし、ダブルvsエナジーの戦闘をバックに、キャスト&スタッフロール。復活したダブルは基本の各フォームでエナジーを滅多打ちにし、最後は半分こキックでメモリブレイク。
「決め台詞は、忘れてないだろうね、翔太郎」
「当たり前さ、フィリップ。街を泣かせる悪党に、俺たちが永遠に投げかけ続ける、あの言葉――」

「「さあ、おまえの罪を、数えろ!」」

くるりと回って、派手にアップで決めて、完結。
満足の最終回でした。
独りで戦う翔太郎と締めのダブルの活劇のみならず、少年と翔太郎の交流にハードボイルド、フィリップと園咲家の別離のシーンも感動的になり、エンタメとして非常に盛りだくさんかつ、綺麗にまとまりました。
翔太郎が感じるフィリップの気配、翔太郎を見つめる緑色の複眼、とフィリップ復活の振りは露骨に行った上で、幾つかのキーワードで物語が真っ直ぐ繋がっているように見せながら、実際には過去(若菜の登場シーン)と現在が混ざっていた、というトリッキーな構成。
いくら翔太郎でも猫缶持ったままお見舞いに行かないよな……という所で最初に違和感を作りつつ、構成上の仕掛けを石田監督が巧く処理。
少し可哀想だったのは、ラスト3話サブキャラ全員に出番を作っているのですが、この構成の為に刑事コンビは現在の時間軸での出番がありませんでした(笑)
あと、最初に翔太郎が若菜を見舞うシーンで「ずっと眠っていた」と時間軸を誤魔化しているのですが、フィリップが消えて1年、若菜のガイアインパクトも1年前、という事は若菜が意識不明だったのはせいぜい1〜2週間程度と思われ、48話ラストで全身包帯ぐるぐるで車椅子だった照井が、若菜を追いかけるシーンで完全復活しているのはさすがに納得がいかない(笑) 「俺は死なない」にも、程があるぞ照井!
一見つまらなそうな平凡で地味な男(ペットショップ店員)の中に、街を汚す強烈な悪意が潜んでいる、というのも、今作らしい劇中最後の敵で良かったと思います。
一応、47−48話で加頭が地球規模のガイアインパクトを起こそうとしたものの、あれは刺身のつまのようなもので(フィリップはともかく、翔太郎がどこまで、ガイアインパクトの規模を知って戦っていたかも疑問ですし)、あくまで“街のヒーロー”を貫く形でラストを飾ったのはとても良かったです。
と同時に、物語を“街のヒーロー”でまとめる事でこぢんまりとし過ぎてしまいそうな所を、街の平和の為に2人で1人での仮面ライダーは戦い続け、いつかそれは地球と人類の未来を変える希望になるかもしれない……と、フィリップを通して大きな広がりの可能性を提示したのは巧い。
劇中においては「悪」を担っていた園咲家と、「正義」を担っていたヒーローの戦いが、翔太郎とフィリップを通して「仮面ライダーダブル」の中で統合される、というのはお見事な構造でした。
最終話はラスト直前までフィリップ不在なものの、鳴海探偵事務所にとっては日常的な事件を描いて終わりましたが、派手方面でやれる事を劇場版に回して、TV本編は日常に即した、という、劇場版とTV版の二重構造、とも思えます。
劇場版の感想で、TV本編でどうやってこのクライマックスバトルを超えるのか? と心配しましたが、劇場版超えを目指すのではなく、“劇場版と違う方向性”のエンディングを描いた、というのは面白いアイデア
TV最終回の約一ヶ月前にTV本編とリンクした劇場版を公開する、というハードルの高い企画がどの時点で持ち上がったのかわかりませんが、劇場版のクライマックスバトルはもともとTV本編用のアイデアだったのではないかな、とは思ってみたり。“街の希望”をユートピアドーパントにぶつけて倒す、というのはしっくり来ますし。
それを劇場版とTV本編と二つに分ける事で、街とヒーローの繋がりを深く描いた劇場版に対して、フィリップと翔太郎の絆を中心に人と人の繋がりをより深く描いたTV本編のラスト、という事になったのかな、と。
その点では劇場版を踏まえているかどうかで、結構印象の変わる最終回かもしれません。
映画のストーリーそのものは感想で書いた通り微妙だったのですが、こうしてみると、お薦め通りに劇場版を見て良かったな、と。
……まあこの辺り、全部適当な推測の話ですが(^^;
作品としては、どだいスケジュールと予算の都合であちこち飛び回れるわけではなく、“なんとなくどこかの地域”になってしまうという撮影舞台の制約を逆手に取り、“風都”という街を設定してその街のヒーローとして仮面ライダーを置き、「正義と悪の戦い」を、ローカルヒーロー+都市伝説の構図に落とし込んだのは面白いコンセプトでした。
特にそれにより、00年代も後半に「仮面ライダー」という名称の劇中定義付けという離れ業をやってのけ、「ヒーローとは何か?」という根源的命題に深く迫ったのは、個人的なツボもあり、非常に良かったです。
実質的なダブルメインライター体制がかなり高いレベルで機能し、シリアスとギャグの振れ幅がかなりありながらも、全体的に軽妙なタッチでまとまりつつ、持ち込んだ幾つかの主題をきちっと描ききりました。特に、手が届かないかと思われた琉兵衛やシュラウドの贖罪と清算も最後にまとめきったのは、高評価。
ギミックも見せる、テーマも描く、というのを見事にやりきった作品だと思います。
面白かった。
本編見ながら感想書きながら、書きたい事が色々と思い浮かんでは消えたりするわけなのですが、ラスト3話、書く事書きたい事が多すぎてだいぶ長くなりつつ頭も煮えてきたので、とりあえずの所、最終回感想はここまでで。他に何か思いついたら、まとめ……にすると道のりが長いので、何か突発的にメモ的に書くかもしれません。
あー、特に好きだったキャラは、翔太郎と照井と霧彦さんと井坂先生と冴子さんと琉兵衛です!
照井は超好き。あと、散々ネタにしてきましたが、翔太郎は結構好きです。いやホントに。照井が居なければもっと好きだったと思うのですけど、照井課長が格好良すぎて。照井、妹扱いならOKだけど、所長は振り切れ!!(おぃ)
や、所長、多分この世界でトップクラスのいい女だと思うので、くっついたらくっついたで照井の判断は全く間違っていないとは思いますが。ががが。……この話題は更に何を書いているかわからなくなりそうなので、えーまあそんな感じで、本当に大満足でした。感想、長々お付き合い、ありがとうございました。
「「さあ、おまえの罪を、数えろ!!」」