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『仮面ライダーW』感想36

◆第45話「Kが求めたもの/悪魔のしっぽ」◆ (監督:諸田敏 脚本:三条陸
冒頭、破壊された風都タワーの工事をしている映像が入り、映画版と時間的に連動。
それを見つめる翔太郎は、迫り来る薄ら寒い気配を感じていた。
「シティボーイ、独り言なら家でなさい!」
うん、そうですね。
鳴海探偵事務所を訪れたのは、鞭を振り回す探検家ルックの女、轟響子。風都博物館の学芸員である響子は、憧れの恩人である館長、すなわち園咲琉兵衛を助けたいと、琉兵衛が発掘現場で無くして困っているという大事なもの――イービルテール探しを依頼してくる。
「こいつはきっと……運命だ」
危険ではあるが、琉兵衛の秘密に迫る機会とばかり、依頼を受ける事にする翔太郎。
翔太郎達にとっては悪の大ボスである琉兵衛にも表の顔があり、依頼人からすると尊敬すべき恩人、というのはちょっとしたスパイスの利いた構図。
その頃、ミュージアム最終計画の実現が近づき上機嫌の琉兵衛は、それを発動する為に必要なイービルテールの捜索を命じ、ニックをスミロドンへと変身させる。琉兵衛が加頭に、「大事な魔法のアイテムを地殻変動でなくしちゃった、てへっ」と言っているのですが、これは劇場版で風都タワーが転げた影響、という事でいいのか(別にそこを気にしなくても問題は無い成り行きですが)。
翔太郎と亜樹子は、響子の案内で星降谷発掘現場へと向かう。園咲琉兵衛はかつてその発掘現場で様々な発見を成し遂げて名声を成し、付近の土地を買い取って園咲家の邸宅を建設。園咲家の地下には、発掘現場から繋がる広大な地下遺跡が広がっているのであった。
響子さん、恩人の落とし物を捜す為に、恩人の敷地に不法侵入。
この人あれだ! 恩返しの為なら恩人をも殴り倒すタイプだ!
亜樹子がダウジングスリッパで何かを感知し、古い発掘跡に辿り着いた翔太郎達は、わかりやすくEvilTailと書かれた鍵のかかった鞄を見つけるが、そこへスミロドン。続けてテラーが現れる。
「それは我らの、ガイアインパクトに、どうしても必要だ!」
ダブルはエクストリームの分析を超えるスミロドンの反射速度に苦戦し、更にそこへテラーまで現れた事で鞄を手に退散……120%不法侵入の上に窃盗なので、このままブタ箱に御案内されても文句は一切言えません。
事務所に照井を呼び出し、ガイアメモリと琉兵衛の関係について響子に説明する翔太郎達だが、響子はイービルテールの鞄を持って事務所を飛び出していき、琉兵衛の元へ。後を追った翔太郎と照井は、“ミュージアム首領”としての園咲琉兵衛と対面する。
そして――
「初めて私の姿を見た時から、君は既に負けていたのだよ。私の恐怖――テラーにね。ははははは、はっはっはっ、はーっはははははは!」
琉兵衛に一睨みされただけで、体が震え、動けなくなる翔太郎。
テラー―それは恐怖そのものの力。人の心が当たり前に持つ恐怖という感情を支配する、闇の帝王。琉兵衛がエクストリームの力を分析する為に敢えてダブルを泳がせていた一方、翔太郎が明らかに疑わしい園咲家そして園咲琉兵衛にこれまで深く踏み込もうとしなかったのは、翔太郎が既に知らずテラーの恐怖に囚われていたからだった!
と、テラーとダブルの初顔合わせがあり、お互いの素性に繋がるヒントがばらまかれたスイーツ回が思った以上の重要回であった事が発覚。
これまで、ミュージアムが翔太郎を直接狙わなかった事だけではなく、翔太郎の側が園咲霧彦や園咲冴子がミュージアムと繋がっている事を知りながら深く調べてこなかった事にも理由を付け、それを大ボスの強大な力に繋げたのは、お見事。
スミロドンは鞄を抱える響子を狙い、それを追うアクセル。その姿を見せた時から、既に敵ではなかった翔太郎を、路傍の石のように無視して嗤いながら姿を消す琉兵衛。恐怖に支配され膝から崩れ落ちる翔太郎は、その姿を目で追う事すら出来ないのであった……。
その頃、若菜の差し金によりミュージアムに関わる本を読めるようになっていたフィリップは、覚悟を決めて「園咲・来人」の本を手に取る。そこに記されていたのは、園咲家の過去……園咲琉兵衛が地下遺跡で地球意志との接触ポイント《泉》を発見し、一家がその調査を進めていた事。その作業中、5歳のフィリップが《泉》に落ちた事。
そして――
「嘘だ……そんな事が!」
鞄と響子を守ってスミロドンと戦うアクセルはトライアルを発動するが、スミロドンの反射速度はトライアルすらも上回る。テラーの影響を受けたままふらふらと歩いてきた翔太郎はその戦いを呆然と見つめるだけだったが、やってきたフィリップの言葉で我に返り、ようやくダブルに変身。
対面後もテラーの後遺症で正気を失ったまま、という重ねての描写はテラーの凶悪さが出て良かったです。
自分の本を読んだ事で、スミロドンの正体がかつての飼い猫である事を推測したフィリップは、メタルシャフトの動きでミックを大人しくさせると、メタルクワガタバサミにより、メモリブレイク。
「猫が……組織の、幹部だと……?」
スミロドンの正体を知り照井呆然……て、なるほど、フィリップが本を読むまでは、誰もスミロドンが猫とは思っていなかった、と。考えてみれば当たり前なのですが、これは視聴者の盲点を巧く突いてきました(笑)
ちょこちょこと存在感を出していたスミロドンはこの最終盤でネコ型ドーパントゆえの力を見せたものの、割とあっさりリタイア。ネコだから割と勢いで爆殺される危惧がありましたが、メモリから解放されるという形で済んで良かったです。
「おめでとう、来人! ようやく己の使命を知ったな。はははは」
自分の本を読んだ事を翔太郎に告げるフィリップだが、そこへテラーが降臨する。
「来人、おまえとイービルテールが揃えば、私の望むガイアインパクトが誕生する」
地球と一体化する事により、人類という種を永遠に存続させようという園咲琉兵衛のガイアインパクトとは何か――変身しようとするフィリップだが、テラーを前にした翔太郎は〔毒・マヒ・混乱・眩惑・暗闇〕のバッドステータス祭で一歩も動く事が出来ない。
「彼はもう、終わっているよ来人。二度と私に立ち向かう事は無い」
園咲夫妻から揃って、穀潰しの生ゴミ扱いを受ける翔太郎。
やはり、劇場版で、人生の輝きを全て使い尽くしてしまったのか?!
<対精神攻撃:◎>を持つアクセルがテラーに飛び道具で攻撃するが、テラーの頭部の飾りからミクロネシア系の神獣めいた獣が出現すると、アクセルを捕まえてがしがし。
「終わりだよ、仮面ライダー諸君。はははははは」
そして若菜が、事の成り行きを呆然と見つめていた響子からイービルテールの鞄を奪い取る。
「来人、一緒にいらっしゃい。読んだ筈よ自分の本を」
「あんなの……あんなの嘘だぁぁぁ!!」
「嘘ではない。おまえは死んだのだ。12年前にな」
「園咲・来人」の本に記されていた真実――そう、フィリップ/園咲来人は、12年前に《泉》に落ちて、死んでいた。
かじられるアクセル、動けない翔太郎、絶望に沈みゆくフィリップ……果たして、風都の未来はどうなってしまうのか?! そして、琉兵衛の求めるガイアインパクトとは?!
急展開で遂にフィリップの秘密が明かされましたが、合わせて、冴子30歳、若菜21歳、フィリップ17歳、と判明。
冴子さん、まさかの三十路だったーーーーーー!!
誕生日の関係で、ギリギリ、29歳という可能性もあるけど。
霧彦さん、30超えには見えなかったけど、年下だったのかしら。
あと、井坂先生(40ぐらいという言及があったような)と随分と年の差カップルだと思っていたのですが、案外、そうでもなくてこちらはなんか納得。
ミックはフィリップが3歳の時に買ってもらったという事で、当時0歳だと計算しても、劇中時点で14歳。ネコの14歳は人間の70〜80歳程度なので、かなりの老ネコでした。
スミロドン超反応で動き回っていますが、ビジュアルを人間化すると、白髪の老師、みたいな感じか。
或いは、若菜姫をお姫様抱っこしたりミュージアムの始末人だったりするし、ミックは普段は能力を隠しているロマンスグレイのメガネ執事的な位置づけだったのか!! ネコだけど!
まあガイアメモリでドーパント化している時点で実年齢はあまり関係無い可能性もありますが、10年ぐらい前のスミロドンとか、全盛期で超強かったのかも。
この最終盤で妙に濃いゲストキャラ・轟響子は、どうも翔太郎と同じキャラ作り系の人のようですが、脚本段階ではもう少し面白みを見せるシーンがあったけどそれどころではなくてカットされたとか、ありそう(^^; 基本的には遺跡への突入の理由付けとして振り切れ気味のキャラクターにしたのでしょうが、少々、話を転がす都合が優先されすぎた感じ。逆に、脚本段階だとあまりに都合だけだったので、演出でちょっと過剰にキャラ付けしたという可能性もありますが。次回、何か意味が出るのか出ないのか。
今作におけるテラーの、大ボスとしての存在感の見せ方は序盤から面白かったのですが、大ボスとしての力と物語の都合の理由付けがしっかり噛み合ったのは、お見事でした。そしてシュラウドが、屋敷の見取り図を見た途端に犯人がわかってしまうミステリ小説のように翔太郎を毛嫌いかつ役立たず扱いしていた理由も、これで納得。
確かにこれでは、どうしようもありません。
そしてそれらの流れの中で、ただの戦闘力の強い弱いとは別に、“翔太郎が立ち向かわなくてはならないもの”が、わかりやすく示されたのは、とても良かった所。今作における翔太郎が、“弱さと良心を併せ持っている当たり前の人間”の一つのシンボルであるからこそ、人間として抗えない闇(恐怖)が存在する、という意味が引き立ちます(そういう点でやはり照井は、“狂気”の側に足を三歩ぐらい踏み込んでいるキャラクター)。
Nobody’s perfect――ハーフボイルド探偵・左翔太郎が、この根源的な恐怖に対して如何なる戦いを見せるのか、クライマックスを楽しみにしたいと思います。