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『仮面ライダーW』感想25

◆第31話「風が呼ぶB/野獣追うべし」◆ (監督:諸田敏 脚本:三条陸
かつておやっさん――鳴海荘吉に世話になったというムショ帰りの男・尾藤勇が鳴海探偵事務所を訪れる。
「父は……父は……死にました」
……あれ?
そういえばTV本編ではいつのまにかお茶を濁されていましたが、劇場版で亜樹子に詳細はともかく、おやっさんの死は伝えられたという事でしょうか。
おやっさんが尾藤の出所祝いになるように何かを調べていたという話を聞いて事務所のファイルを確認するが、何も無し。後を引き継いで自分が事件を調べると申し出る翔太郎だが、
「半人前に用はねえよ」
とデコピン食らって帰られてしまう。
「がーーーん。会ったばっかりなのにぃ!」
まあいきなり、地上げ屋扱いしたしな!
めげずに翔太郎は後を追いかけ、それを見送りながら思い悩むフィリップ。
(シュラウドは……翔太郎の、どこが不吉だというんだ……)
……女に弱い上に節操ない所とか……金勘定が苦手そうな所とか……将来設計が危うそうな所とか……。
尾藤の後をついていく翔太郎は、モノローグがうるさいとデコピン。刑務所に入る10年前、一帯の出店を仕切っていたという尾藤はかつての弟分・丸と再会するが、丸の妻であり旧知の訳あり風和服美人・有馬鈴子とは親しげであるものの、土建屋の社長に成り上がった丸には尊大な態度で扱われる。
と、ムショ帰りで時代に取り残された男がかつての弟分などにすげなくされるという王道パターン。尾藤が草履履きなのが、一発で昔気質のキャラクターを匂わせていて、いい味出しています。肉体的にも精神的にも巨大化したチンピラ、といった風情の丸、二時間ドラマだったら真犯人間違いなしの鈴子と、ゲスト3人がそれぞれ雰囲気の出た好キャスティング。
勇=サム、鈴子=ベル、という互いの呼称は、何か映画オマージュとかかしら。
「帰ってもらえませんかねぇ。あんたみたいな人に来られると、変な噂になりますから」
「俺も変な噂を耳にしたぞ……野獣のな。いいか、今でもベルを泣かしているようなら、俺にも考えがあるぞ」
10年前に風都を騒がせた都市伝説にして、今また巷を騒がせる“野獣人間”。尾藤はそれについて丸に匂わせ、おやっさんから預かったものがある、とかまをかけた翔太郎は、有馬家を出た後、巨体のドーパントの襲撃を受ける。
「熊はどこだぁ?! 熊をよこせって言ってんだ!」
獣毛の意匠やマントなど、今回のドーパントは、ストレートに『美女と野獣』と言った所でしょうか……て、ああそうか、「ベル」はそこからか。ちなみに確認して初めて知ったのですが、「ベル」というのはもともと個人名ではなく、フランス語で「美しい」の意味で、そのまま「美女」を表していたそうで。
変身するダブルだが、サイクロンの変調で左右のパワーバランスが崩れ、強力なビーストの前に苦戦。助けに来たアクセルがエンジンマキシマム飛び三角形斬りを浴びせるが、ビーストの強靱な再生能力の前にメモリブレイクする事が出来ず、ビーストは丸の正体を見せると、一時撤退。
変身を解除したダブルだが、すぐに肉体に意識の戻らなかったフィリップは、星の本棚で見た事のない姿のダブルと出会う……。
(エクストリームと……出会ったせい、か?)
時間は前後しますが、野獣人間に関する事件の依頼に来た照井を交えた事務所で、おやっさん――鳴海荘吉が、かつて“組織”と戦っていた男として説明され、TV本編では、顔写真もたぶん初登場。劇場版との最低限の情報の擦り合わせと思われます。
鳴海荘吉は、服装といい名前といい、必殺技:《主役強奪》の白い鳥人オマージュという事でしょうか(向こうは「壮吉」だけど)。
フィリップは尾藤勇に関する事件を検索し、10年前に尾藤が犯人として自首した現金強奪事件を鳴海荘吉が追跡調査していた事を突き止める。事件は尾藤の自首により一応解決したが、犯行に使われた車も奪われた現金も行方不明であり、現場には人間離れした野獣のような力による跡が残るなど、多くの謎が残されていた……。
ビーストの襲撃を受けた翌日、翔太郎がおやっさんに関わる木彫りの熊の事を思いだし、翔太郎、亜樹子、尾藤の3人は、おやっさんが訳ありの依頼人を匿っていた山中の別荘へと向かう。
……ああなんか、昭和の探偵だなぁ、おやっさん(笑)
一方、地下基地ではフィリップが体の変調を感じていた(バチバチと、腕の辺りを電光が覆うような演出)。
「感じる……やはり、僕に新しい力が宿っている」
そしてそこに、フィリップよりずっと前から「ここを知っている」と現れるシュラウド。
割と謎だったけどツッコミ所ではないしと放置していた地下基地ですが、劇場版で既に語られているのかもしれませんが、フィリップが来る以前から存在していたという事でしょうか。それとも、“ここ”はあくまで鳴海探偵事務所を指すのか。
「来人、あなたはもうすぐ進化する。エクストリームメモリを使って。でも、そこに到達できる真のパートナーは――左翔太郎ではない」
「翔太郎ではもう、僕のパワーについてこれない……」
その頃山荘では、コルクボードに貼られていた10年前のサム・ベル・丸の写真を見つめる尾藤に、翔太郎が茶々を入れていた。
「はぁ〜ん、尾藤さん、今でも、ベルさんの事、好きなんだ」
「心底薄っぺらいなおまえは。ホントに旦那の弟子か」
……すみません、今回ホントに、薄っぺらいわ……(笑)
目標であるおやっさん、そして渋い大人の男である尾藤との対比を強調する意図はあったのでしょうが、大人の男女の過去に黄色いクチバシを挟むのはさすがにちょっと引くレベルで軽い。海月のように軽い。
再浮上の前に翔太郎を落とすフェーズというのはわかるのですが、ここまでの翔太郎の流れから見ても、少々軽すぎた気はします。
まあ翔太郎、チンピラ体質が根深いので、「オヤジー」とか「アニキー」とかいうタイプに対する親しみの表現が、遂こうなってしまうのかもしれない。
むしろ小突かれたい、みたいな。
そんな翔太郎に尾藤は10年前の真実を語る。10年前、丸にぞっこんの鈴子の「この人が居なくては生きていけない」という言葉を聞き、尾藤は丸の身代わりに出頭したのだった。
「まさかあんた、それで有馬の罪をかぶったのか。惚れた女の為に」
「だから、そういう事を言葉にすんじゃねえよ坊主」
まあ尾藤のアニキも自分から語りに入る辺り、似たような体質です。
「あの人は……分厚い男だった。坊主、薄っぺらい男の人生はいてえ。今にでかいもん失うぞ」
おやっさんよりでかい失くし物なんて、他にあるかよ……)
そこへ亜樹子が木彫りの熊を見つけてくるが、丸に興味を持って接触していたウェザーが来襲し、尾藤を凍らせると熊を奪い取る。変身を躊躇うフィリップはシュラウドの制止を振り切ると、リボルキャリーを発進させ、現地でファングに変身。だがフィリップの体をベースにしたファングでも力のバランスは取れず、ウェザーに大苦戦。
「不調ですねぇ。診察しましょうか?」
戦闘中、何かぼてっと落としたと思ったら、熊か(笑)
追い詰められたダブルはマキシマムドライブを発動するが、バランスが悪すぎて空中分解。とうとう変身が解除されてしまい、悲しそうな瞳で翔太郎を見つめるフィリップ。
どなどなどーなーどーなー♪
「そんな……ダブルに……なれねぇ」
感情面はともかく、論理的な判断として、フィリップが翔太郎の力不足を認識してしまっているというのが、なかなかきつい。
「終わりよ、左翔太郎。おまえには――ダブルは無理」
そしてシュラウドは、無人の事務所で、勝手にダーツとかしていた(笑)
おまわりさーん。
力不足云々とは別に、シュラウドが個人的に翔太郎を凄く嫌いな感じなのですが、なんなのだろう、コアな本格ミステリ派なのか。
今回散りばめられた情報をこれまでの諸々と考え合わせて現在私の脳内で展開しているのが、シュラウドは琉兵衛さんの別れた妻で後に鳴海荘吉と結婚という、恐ろしくドロドロした絵図なのですが、どうしよう。
で、翔太郎をリストラするにしてもフィリップ友達居ないけど代わりの相棒はどうするのか、と思ったら、予告を見る限り照井が浮上する模様。なるほど、シュラウドが照井に力を与えたのは、フィリップの相棒に仕立てる為だったのか、と28話のラストの台詞と繋がりました。これでシュラウドがここまで姿を見せていなかったのも、フィリップの真の相棒の育成期間だった為、と理由がつきそうです。
はたして、翔太郎はこのまま戦力外通告を受けてドナドナされてしまうのか。それとも男の厚みを見せる事が出来るのか。崖っぷちのハーフボイルド探偵の運命や如何に?!