◆第40話「命令!戦隊交代せよ」◆ (監督:東條昭平 脚本:荒木憲一)
こそこそと悪巧みをしていたらしく、冒頭からトランザに蹴り飛ばされるミントン伯爵。
「長生きしたけりゃ、んー? その反抗的な目を止めるんだな!」
完全ヤクザモードでラディゲを見下ろし、去って行くトランザ。
「どうしたラディゲ、なぜ、奴に逆らう」
「おまえ達、このまま奴の言いなりになるのか?! 俺は嫌だ! そう、俺の足下に跪かせてやる!」
同格になる、とかではなく、すぐ、「跪かせてやる」に行く所が、ラディゲは素敵です(笑)
「俺に力を貸せ。おまえ達の力が、どうしても必要なのだ」
「「……うむ」」
次元戦団バイラムは、嫌な上司には手と手を取り合って立ち向かう、一体感の強い職場です。
バタ臭い美形になった途端に態度デカくてムカつく! とトランザ憎しで結託した3人は、エネルギーを集中し、ラディゲが発見した隕石を20万光年の距離を超えて地球へと引き寄せようとするが、その反応を検知したジェットマンが邪魔に入る。
「グレーイ!」
「俺に任せろ!」
熱い(笑)
グレイの妨害を突破し、ラディゲとマリアに迫る青と白。
「マリアー!」
「邪魔はさせん!」
熱い(笑)
グレイとマリアがジェットマンを足止めし、隕石到着まであと僅かとなるが、ラディゲ、踏ん張りすぎて崖から落ちる。
おまえという奴は(笑)
ラディゲが安定の芸風で見事なオチをつけてくれましたが、ジェットマンが息の合った連携で幹部クラスと拮抗した戦いを演じ、真っ向勝負の中で5人の成長が描かれた戦闘にもなっています。
イエローオウルに岩石を投げつけられ、割と追い詰められる3人だったが、そこへとうとう隕石が落下。
「見ているがいい、ジェットマン。おまえ達を……あの世に送る、地獄の……使者の、誕生をぉ……!」
地べたを這いずるようにしながらも、何とかラディゲは隕石にバイオ次元虫を融合させる事に成功し、宇宙から飛来した隕石を素体とした、隕石ベムが誕生する!
隕石ベムはジェットマンの連続攻撃が全く通用せず、ビークスマッシャーすら無効。更にその体から放たれた光線を浴びた5人はエネルギーを失い、自由に身動きできなくなってしまう。ラディゲが発見した隕石は、理論上、宇宙のどこかに存在するとされていた反バードニウム鉱石の塊であり、隕石ベムはバードニックウェーブを無力化する体質という、いわばジェットマンの天敵だったのである!
「もはや翼をもがれた瀕死の鳥」
「ついに、ジェットマンの最期だ……!」
「見てるかぁ! トランザぁ! ジェットマンを倒し、地球は俺達が頂戴する!!」
だがその時、スカイキャンプにはサングラスの軍人が現れ、戦場には黒いスーツに白い鳥形のヘルメットを被った5人の戦士が姿を見せる!
「何者だ?!」
「君たちは?」
「邪魔だ! とっととスカイキャンプに戻ってろ!」
「昼寝でもしてるんだな」
5人の戦士は、剣、鎖鎌、ブーメラン、銃、拳、そして爆薬、というコンボ攻撃でベムに互角以上の戦いを見せ、反バードニック光線を弾き返すとロケットランチャーでベムを水場に押し込み、急激な温度変化によるダメージを受けたベムは撤退する。
「1分29秒……この程度だろう」
サングラスの軍人の名は、一条。そして5人は、バイラム襲撃により失われたバードニックウェーブを分析、再現に成功する事で誕生した、ネオジェットマンであった。
「我々の体には、バードニック反応路が埋め込まれ、エネルギーが尽きる事はない」
反バードニック光線の効かない5人は、さらっと人体改造されていた(笑)
地球を守る為なので、ヤムヲエナイ。
第1話でアースシップが壊滅後、全く存在感が無いので全滅したのかと思われていたスカイフォースですが、ここで一条の口から「上層部」という言及があり、存続していた事が判明。どうやら、組織の体勢を立て直しつつバードニックウェーブを分析してネオジェットマン計画を秘密裏に進めていたようですが……えー……つまり……これは……旧ジェットマン、バイラムの目を引く囮にされていたのか。
……うんあれだ、
「地球が危ないんだぞ。個人的な感情なんて問題じゃないだろ!」 (第2話)
良いこと言った、竜!
一条はスカイキャンプの総司令の座につき、小田切前長官とオールドジェットマンはその指揮下に入る事になるが、一条とネオジェットマンの傲岸不遜で頭ごなしな態度と物言いに、竜以外の4人は反発を強め、両者の仲は険悪に。そんな時、休憩を終えた隕石ベムが巨大化して街で暴れ出し、ネオジェットマンはジェットマシンで出撃する。
実戦はシミュレーションとは違う、という基地での心配をよそに合体に成功し、ベムに挑むジェットイカロスだが、バードニックセイバーを折られ、左腕を切り落とされてしまう…………これ、悪いのはネオ5人ではなく、ジェットイカロスの性能です。
モニターしていたオールド5人は救援に向かおうとするが一条にそれを阻まれ、一条はネオ5人を罵倒。
「忘れるな! おまえ達の代わりなど幾らでも作れる! 負け犬に帰る場所などない!」
「人間の命を何だと思ってるんだ! あんたに指揮官としての資格はない!」
その発言に遂に堪忍袋の緒が切れた竜は凱を止めると自ら一条を殴り飛ばし、小田切前長官の指示で出撃する5人。
ここでは、まず凱が殴りかかろうとし、それを止めた竜が自分で殴る、というのが良かった所。これまで杓子定規な言動・行動が多かった竜にも、これまでの戦いと仲間との交流を通じて、ただ上官命令に従えばいいというだけではない変化が窺えます。
同時に、狂気を省きながら、極めて真っ当なヒーロー台詞になっているのも、物語が終盤に入ってきた所で、上手い。
竜の抱えている狂気が消えて無くなったわけではないけれど、一条と対峙させる事により、竜の中に“狂気の復讐者”とはまた別に、“命を守る戦士”としての芯が生まれつつある(或いは、再生しようとしている)姿が描かれています。
左腕を斬り飛ばされたのに続いて炎で焼かれ、久々にロボ戦が長いと思ったら散々な目に遭うジェットイカロス。そこに駆けつけるガルーダだが、反バードニック光線を浴びてオールド5人の変身が解けてしまい、ジェットマンはまとめて大ピンチに。
「我らの勝利に」
それを見つめるバイラムでは、トランザでなければこの際ラディゲでもいいやノリで、負け犬連合の3人が乾杯とかしていた(笑)
次元戦団バイラムは、気に入らない奴を蹴落とす為なら過去のいざこざを忘れてスクラムを組める暖かい職場です。
だが、玉座で瞑目していたトランザ――立つ。
「喜ぶのも今の内だ」
果たしてトランザはどう動くのか、ジェットマンはこのまま隕石ベムに叩き潰されてしまうのか。死闘は次回へ続く!
負け犬連合の結成と宇宙からの脅威、ネオジェットマンと嫌な上官登場で、これまで絶対だった小田切長官の権威が揺らぎ、まとまったと思ったジェットマンに今度は外部からの大波乱、と盛りだくさんの内容がテンポ良く進行し、面白かったです。これまで今作、サブライターはいわゆる戦隊ノリの一話完結エピソードを担当していましたが、最終クール突入という事でか、これまでの流れを踏まえジェットマンと竜の変化を中心に据えた続き物で荒木憲一がいい仕事。