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『アイアン・スカイ』感想


2018年――米国政府のプロジェクトにより、月の裏側に着陸を果たしたジェームズ・ワシントンは、月面に巨大な鉤十字の要塞を発見し、黒ずくめの謎の兵士達によって捕虜にされてしまう。ワシントンを地球から来た侵略部隊の一員と勘違いして情報を得ようとする集団……それは1945年、密かに地球を脱出して月面で生き延びていたナチスの残党、いずれ地球帰還を目論むドイツ第四帝国であった!
冒頭、ナチスの巨大な月面要塞が上から見ると鉤十字の形……という時点でバカすぎるのですが、ナチスはUFOを開発していた! とか、その手のトンデモネタを下敷きに、月面で生き延びていた時代錯誤だが妙な科学技術を有するナチスと、アメリカの宇宙飛行士との遭遇が大騒動になっていくという、奇想天外SFアクション。
終始ギャグとシリアスの境界がわかりにくいというか渾然一体となっていて、前半は掴みにくい所があったのですが、後半どんどんヒートアップしていく辺りでノリが掴めてきて、面白かったです。ジークフリード号のデザインとか、地球から○○○○軍団が揃って飛んでいく所とか、凄い好きです。
基本、技術関係などはツッコミ無用のストーリーなのですが、地球の情報が満足に得られていない状態で妄想だけが肥大している上層部、地球帰還を望みカルト化する市民、などの描写はSF的になかなか面白く、人が地球と月に分断された世界の距離感、は割と秀逸。
……まあ途中からドンドン大雑把になるんですが(笑)
風刺ネタやブラックジョークが全編に散りばめられていて、私の教養不足でピンと来ていないネタが色々ありそうな気はするのですが、ネタはネタでも内輪ネタだった、とかもあるようで、あまり深く考えずに馬鹿馬鹿しい笑いを楽しめばいい模様。
アメリカ大統領のキャラクターが強烈で、そもそもワシントンを月に送り込んだ理由から吹っ飛んでおり、本編でも最も頭おかしくて素晴らしいのですが(ナチス残党より明らかにおかしい)、自虐ネタかと思っていたら、映画の制作はフィンランド・ドイツ・オーストラリアの三カ国合同で、普通に嫌味だった!
オチは非常に痛烈で、そこに至る流れも好き。
なかなか楽しかったです。