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『手裏剣戦隊ニンニンジャー』感想・第23話

◆忍びの23「夏休みスペシャル 夏だ!忍者キモだめし」◆ (監督:中澤祥次郎 脚本:下山健人)
安定の、邪悪策士の邪悪無双回。
霞が凪に聞こえる位置で自分の苦手を話している時点で先の展開は見え見えなのですが、霞の場合、見え見えの展開に着地するのが一番酷くて面白いので、今後も変に日和って弱みを作ったりしないで、この路線を貫いてほしい所です。
もはや不条理な特殊能力レベルの身代わりの術など、邪悪無双は邪悪無双でやり過ぎなのですが、結果的に天晴が戦闘特化型であるのが強調される事により、作品としては全体のバランスが取れてしまう、という恐らく作り手の意図していない副産物が生まれており(それを考えていたら普段からもっとバランス取ろうとしていると思われるので)、かえって落ち着いて見られる、というIt’sシュリケンマジック。
そんなわけで霞の弱点を知ったと思いこんだ凪は、日頃霞から台所の水アカ並の扱いを受ける男達で手を取り合い、霞に一泡吹かせようと忍者キモだめしを企画する。
男衆の扮装は、やたら気合いの入った衣装とメイクでバラエティ展開としてメリハリが付き、天晴の扮した、怪人・赤ピーマンも面白かったです。
思惑通りに霞に悲鳴をあげさせてガッツポーズを決める、排水溝に詰まったぬめり並に心の澱んだ男達だっが、ニンニンジャーがキモだめし中と情報を得た有明の方がそこに妖怪ユキオンナを派遣。ニンニンジャーは各個撃破で次々と凍り漬けにされてしまう。
女の子1人に悲鳴をあげさせる為に結託するいい年した男4人(高校生も居るけど)という実に最低な絵面でしたが、そこからの、変な構えで凍っている天晴は凄く面白かったです(笑)
基本、目を見開いての硬直ネタは鉄板ですが、台詞もなく固まっているのに全身から天晴らしさが迸っており、今回の大きな見所。赤ピーマン→霞を心配して真っ先に戻る→変な構えで硬直、と最低なりに今回の天晴はとても良かった。天晴さんは、ワッショイ→ワッショイの時より、馬鹿→男を見せる→馬鹿、の時の方が確実に輝いています。
年上組が全滅し、残された風花と凪はユキオンナに立ち向かうが、風花もフリーズドライ。追い詰められた凪は霞の言葉を思い出し、他人に頼ってばかりでチャレンジしない自分を乗り越えると、土壇場で上級手裏剣忍法を発動。
安定志向→チャレンジしない性格、と繋げたのはまあわかる範囲ですが、個人的には凪は、安定の為にそれなりの努力を積むタイプだと思っていたので、最初のメイン回の予習・テキスト全否定に始まり、今作においては“堅実さ”というのが一切プラスに評価されないというのは気になる所です。
まあつまり、伊賀崎流忍術は、実戦最重視の無差別殺人忍術! いわばニンジャ界のバーリトゥード!! ゆえに、本番で役に立たない堅実さなど存在しないも同然!!
という事か。
加えて凪は、特にこれまで他のメンバーに依存する傾向があったとも思えないのですが、突然<年下属性>に覚醒。資格マニアという初期設定が離陸直後に爆発四散した後の紆余曲折を経て、比較的常識人のツッコミ役でメンバーの弟分、という普通そこから膨らませる土台ではなかろうかという地に足の付いた設定に辿り着く、青春の旅路はゴールだと思った所がスタートだ! 23話かけてようやく、バラバラになっていた部品が集まった気分です(笑)
かくして再生を遂げたイエローは複合忍術による幻術でユキオンナに反撃するが、惜しくもそれを破られてしまう。しかしその時、最初に凍り漬けにされた筈の霞が現れてイエローの危機を救う。そう、凪に自分の苦手(真っ赤な嘘)を聞こえるように話してキモだめしを企画させ、そこへ先に挑発しておいた有明の方の介入を誘い、ついでに凪を追い詰めてスキルアップを促した上で妖怪を返り討ちにする……凍ったゴミになっている男達も牙鬼軍団も、全ては邪悪策士の手の平の上で無様に踊らされているだけだったのだ。
凪と霞は協力して天晴達を解凍すると、ユキオンナを撃破。巨大化後は、相手の氷結能力を逆手に取った雪だるま覇王で押し潰し、封印に成功。
凪は一つの殻を破るが、ただでさえ低かった男達の株価は取引停止状態まで下がり、謀略の為には風花さえ餌にする事も躊躇わない本性を見せた霞は、邪悪策士から暗黒邪悪策士にクラスチェンジ。「騙すにはまず味方から」という発言は、某山地哲山とか、某正木俊介とか限りなくブラックでイリーガルな系譜で、20年後に新たな忍者戦隊の司令官を務めていそうです。
その形ばかりの謝罪は次の機会の為の罠だから、素直に受け入れては駄目だ風花……!
本当の悪は、平気で頭の一つでも二つでも下げてみせるんだ……!
キンジもせめて、このぐらい天晴とは別方向で強みがあればなぁ……と思うところですが、最近は八雲とセットの扱いが加速しており、戦闘では天晴にかなわず、頭脳では霞にかなわないのに、デキる男のつもりの可哀想な器用貧乏コンビになりつつありますが、それでいいのか。
今回登場した上級手裏剣忍法が幻術ばかりだったのは、繰り返しの上に何でもありすぎて少々面白くなくなってしまいましたが、今後の利便性を優先したか。本格的に広げるかはともかく、桃と有明の方に若干の因縁を構築したのは良かったポイント。
で、サブタイトルに何故か「夏休みスペシャル」とついていて何がスペシャルなのかと思っていたのですが、次回のサブタイトルにもついており、どうやら夏休みの間は「夏休みスペシャル」な模様。
すなわち、有明の方の増援要請を受けて来日した途端に出オチ感満載の西洋モンスター軍団(笑)
ある意味で、この連中は夏休みスペシャル要員だ、とわかりやすいので安心して見られますが、狼男とか出てきてキンジの過去に少し触れたりは有るのか無いのか。というか本人のメモリから消去されない内に少し触れておいた方が良い気もしないでもなく。