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『百獣戦隊ガオレンジャー』感想29

◆Quest41「サンタが来た」◆ (監督:坂本太郎 脚本:酒井直行)
ゴッドに認められて調子に乗った赤が面倒くさい上司モードになっている頃、ブルームーン化で消費したエネルギーが癒えないシルバーは、ビリヤード場のソファで寝込んでいた。……何この超迷惑な人。
「いいもんだな、仲間って」
ビリヤード場のマスターが出てくる度に謎の人と化していきますが、正直どうせガオゴッドを出すのなら、この人がガオゴッドの化身だった方が遙かに納得度は高かった(笑)
街で子供達にプレゼントを配って歩くクリスマスオルグ(CV:なんか爽やかな演技の野田圭一)が現れ、出撃するガオレンジャーだが、穏やかな性格のクリスマスと、喜んでプレゼントを貰う子供達の姿に、戦意を喪失。ひとり監視を続行する赤だが、ツエツエとヤバイバに因縁を付けられたクリスマスがラセツに人間との融和を説き、ラセツが心を動かされる姿を見てクリスマスオルグの平和主義を信じる事に。
「人間とオルグの和平の道、俺にも手伝わせてくれ!」
「残念ですが、今の貴方では、無理です」
どうせ右手で握手を求めながら左手でサブマシンガンを隠し持ってるんでしょ? と責められた赤は武装解除の要求に応えてクリスマスにGフォンを渡すと、街でプレゼント配りに協力。そしてラセツとの会談に向かう。
「人類を代表して、ここに宣言する。もう戦いはよそう」
……宗教団体の戦士が、人類の代表気取りだ!!
和平の呼びかけに、にこやかにレッドと肩を組むラセツ……だが勿論、全てはオルグの罠で、赤は見事に拘束されてしまう。
ガオレンジャーのリーダーが、ここまで単細胞だったからでございます」
んー、季節ネタと絡めて、善良そうなオルグが子供達を味方に抱き込んだ事でガオレンジャーが一杯食わされる、というギャグ回としてはテンポも含めてそれほど悪くはないのですが、オルグが純粋悪意である、というのは今作の根幹設定であり、赤はそれを一度思い知って乗り越えた――そしてその後は全くブレが無いので、中心に据えたキャラクターの選択が悪すぎます。そして残り4人の反応も、序盤ならともかく、40話まで話を積み重ねてのものとは思えません(^^;
クリスマスオルグが「単細胞」と評していますが、むしろ獅子走はガオレンジャーの中ではまだしも頭を使う方ですし、人情家のお馬鹿キャラというのは本来、黒のポジションの筈(まあ、炭火焼きの回で既に消費してしまっているわけですが)。最終クールにして、作っている側が話の都合でレッドのキャラクターさえ歪めてしまうというのは、あまりに酷い。
この後、レッドが拘束からの脱出に、クリスマスオルグが「武器と言える所持品はこれだけ」と取り出して交換していた臭い靴下を用いたのは、くだらないギャグが伏線として機能してちょっと面白かったですが。
5人揃ったガオレンジャーは、正体を現したクルシメマスオルグをガオラオするが、ラセツは何故か余裕を見せて姿を消すのであった……次回、ニンジャ!!


◆Quest42「鬼オルグ忍者侵略!」◆ (監督:坂本太郎 脚本:赤星政尚)
見所は、角さえ無ければ聖なる泉に触れても大丈夫、という超理論。
……え、聖なる泉は、角の有無で対象がオルグかどうかを判断しているのでしょうか。
いや、オルグの力の源は角で、それを折られるとオルグの力を即座に失うというのなら話はまた別ですが、凄く普通に戦っているし、ここに来て物語としての積み重ねの無さと文芸設定の軽視が時速200キロオーバーで、寂れた埠頭から太平洋にダイブしそうな勢いです。
新たなデュークオルグ・ドロドロ(忍者スタイル)が登場し、忍者コスプレに身を包むヤバイバとツエツエ。ガオズロック侵入作戦に失敗したツエツエはラセツから解雇通告を受けるが、角を切り落として聖なる泉が大丈夫になった状態でもう一度侵入するのだ、とドロドロの口車に乗せられる。
ガオレンジャーが陽動に引っかかって不在のガオズロックで、ツエツエのキャラクターソング?をバックに肉弾戦で火花を散らすテトムとくノ一ツエツエ。
「あなたって、ハイネスの言うがままなんだ!」
テトムは、理由も知らぬままに、ラセツの命令で自分をさらおうとするツエツエの在り方を嘲笑う。
「今、確信を持てたわ」
「……何のこと」
ガオレンジャーは、自分達の考えで、この星の希望を守る為に戦ってるの! そんなみんなが、上司の言う事しか聞けない貴方達に、負けるもんですか!」
……え。
ブーメランが特大すぎて、全長が測れないのですが。
…………いやまあ確かに先日、神様に見捨てられても俺達は人々の為に戦うぜ! みたいなエピソードがあった気はしますが、その結論は「全て試練だったから俺達は神様に認められたぞ良かったぜ!」という自立とは程遠いものだったと記憶しているのですが。
ツエツエはテトムの誘拐に成功するが、切り落とした角が再生するというのはドロドロの嘘で、力を失って倒れてしまう。そして、結果的に命がけで行ったテトム誘拐の目的は、ラセツが単にテトムの料理を食べたい、シェフとして雇いたいというだけのものに過ぎなかった。必死にラセツに尽くそうとするツエツエだが、駆けつけたガオレンジャーが放った破邪百獣剣の盾にされ、無残にガオラオ。光の粒子になって消滅する……。
…………えーあー、3クール分のレギュラーキャラの最期、これ……?(^^; まあ、ツエツエとヤバイバに関しては一度死亡して復活していたりもしますし、しれっとまた出てきそうな予感もありますが、現段階の展開としては、かなり酷い。
ラセツがテトムの料理を食べたがっている、というネタは確かにあって(なお、その為にプロペラとキュララは死亡している)、自分の嗜好の為に部下を捨て駒に出来る邪悪さ、というのを描いたつもりなのでしょうが、ラセツの食へのこだわりには大きな問題が一つあって、それはラセツが食事シーンの度に、無機物を食べたり人間と同じ物を食べたり、一定しない事。
勿論、両方いける口、でも矛盾はないのですが、それなら何故、初登場時にコンクリートソムリエぶりをあそこまで強調したのかと。結局、話の都合で「テトムの弁当に誘われる」シーンを作ってしまったが為に、本来は大きな特徴付けであった筈の食に対する嗜好を一本化できず、むしろこだわりが曖昧で、動機付けがぼやけてしまいました。
ラセツ動機そのものは曖昧でもくだらなくてもいいのですが、「ツエツエのリタイア(?)」「テトム誘拐」という出来事と物語上のバランスを取る為には、天秤の反対側にはそれなりの重さの要素を乗せる必要があり、しかしその重量が全く足りていません。
とにかく今作の、物語の組み立て方の粗さと軽さが、また大きく出てしまいました。
ラセツとヤバイバはテトムをさらって撤退。幻影忍術でガオイカロスを翻弄したドロドロも、シルバーに術を見破られて退却。だがガオレンジャーは、教団の巫女を失ってしまうのであった……。