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鉄血のクーデリア

◇『鉄血のオルフェンズ』2−3話
三日月くんは、匂いフェチ?!(待て)
オルガにハンドルを預けている超高性能のナイフである所の三日月が、“オルガ以外の世界”に対してどれぐらいの平衡感覚を持っているのだろうか、というのが一つ注目点だったのですが、言うべき相手には「ありがとう」と礼を言う、身内は凄く大切にし(すぎ)ている、個人的におっさんむかつく、という感情を持っている。と、思った以上にしっかりチャンネルを開いていました。
特に、基地に物資を運んでくる“関係者”ではあるけれど、同じ部隊の“仲間”ではないアトラに対しても極めて真っ当に対応しており、無機質だったり無感情にコミュニケーションを否定するタイプではない事が明確に描かれています。
クーデリアに対しても初期好感度が低いだけで、発言の何が気に入らないかを丁寧に説明していますし、気に入らないから手伝った料理に手を付けないわけでもないし、むしろコミュニケーション能力と頭の良さを感じさせる対応。
総じて、教養はないけど頭がいい、という描写で、三日月に関しては、生まれ育った環境が歪つなだけで、非常に賢くて真っ当な素材、という事なのかな、と。
一方で、自分の中の優先付けが明確でありすぎ、優先度の低い敵対者に対しては“生き残る為に”簡単にスイッチをON/OFFできてしまうというのが恐らく三日月の持つ危うさであり、賢くて真っ当な素材が歪んでしまう世界の在り方、というのが今作が一つ向き合おうとする問題なのかと思われます。
プロローグ3話、そんな三日月の引き立て役のような扱いだったクーデリアお嬢様ですが、自分が標的であるという理解の早さ、(信じたくはないが)裏で糸を引いているとすれば父親という推察、表向き大きなパニックもなくそれらを受け入れる頭脳と精神性、と非常に高い現状認識能力の持ち主で、正直ちょっと、頭良すぎではないかと不安になるぐらい。
勿論そもそもが、火星独立運動のシンボルとして演説できるような人物であり、ただのお飾りではなくそれに見合う能力を持っている、という事なのかもしれませんが。キャラクターが馬鹿すぎるのも興ざめしますが、キャラクターが賢すぎるのもそれはそれで物語のハードルが上がるので、今作における、三日月、オルガ、クーデリアが、三者三様なれどやたらに賢い、というのは物語を転がす上で逆に足を引っ張らないかは気になる所。
序章という事で対比をわかりやすくしたのかもしれませんが、クズでバカな大人達と、賢い子供達、というのもあまりに露骨すぎましたし、賢い子供達が逆境で常に正解を引き当てるという展開も、快感構造を組めればそれはそれでありなのですけれど、さて、どう転がしていくのか。
そういう点で、大人達はクズでバカだけどメカニックのおっさんだけは話が通じる、みたいな部分部分の安易さが今作はどうも悪目立ちして引っかかていたのですが、第3話で、気弱で流されやすいけど自分の仕事はきちっとしてしまう出納係、変化する状況の中で巧く立ち回ろうとするちょび髭、と灰色のおっさん達が増えたのが良かった所。
まあ、ちょび髭の方は、率先してクーデリアを売り渡そうとする意見(金髪始め、それに賛同するメンバーへのクッション)が仕事で、早晩さくっと死にそうな気もしますが(^^;
この辺り、序盤のわかりやすすぎる人物配置から、どういう広がりを持たせられるかが、今後一つの鍵になりそうには思います。
で、かなり優秀な知性の持ち主と思われ(そも彼女が火星独立の志を掲げるのは、現状認識能力の高さゆえかもしれない)、状況に適応しようとする意思、いざという時の胆力も見せるクーデリアですが、3話までの描写で彼女に欠けているのは“生きる事へのあがき”であり、逆にその“あがき”を核とする少年達との対比、互いの補完が一つの軸になるのかな、と。
クーデリアがメンタル太くて自分ワールドをぐいぐい押しつけてくる無敵系ヒロインだったら嫌だなぁと思っていたのですが、目線やアプローチ方法はともかく、他者を理解し把握しようという姿勢や、情に訴えるのではなくメリットを提示してオルガと交渉する知性などは、割と好感がが持てます。演出でちゃんと、積極的に可愛げをつけていますし。その上で、雑貨屋の女の子にも要所で存在感を持たせておくなど、その辺りの仕事が丁寧。
今後の一つのポイントは、鉄華団+クーデリアと、社会機構を動かす大人達が向き合った時に、双方にどういう位置づけを与えるかになってくるかと思いますが、大火傷しないで、物語が走り出してくれるといいなぁ。


◇『うしおととら』16−17話
16話の見所は、皆に取り押さえられてピクピクする杜綱兄。
話は全然覚えていなかったのに、何故かイズナのデザインだけ妙に覚えていた。
そして17話、日輪さん、超面倒くさいぃぃぃ。
勢いで、普通の人が触ると死ぬ結果とか張る日輪さんの、圧倒的な駄目ヒロイン力。この辺りほとんど覚えていなかったのですが、本妻と、旅の途中で引っかけた女の子達のご対面という、緊迫した状況なのに無駄に面白い展開。継承者達の集約と合わせて成る程、という流れですが、基本何の役にも立っていないのにイケメンスマイルだけ閃かせていく杜綱兄と、名前もないけど一応格好つけていく坊主4人が熱い。あの人たち、ライダースーツ+坊主、という組み合わせの時点で妙に面白いのに、変な見せ場まであるなんて!
そして父さん的に、息子の東北縦断フラグの旅についてどう考えているのかと思ったら、意外と嬉しそうでした。父さんも若い頃はヒーロー体質で、あちこちで無自覚にフラグを構築していたのかもしれない。