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『魔法使いプリキュア』感想・6−7話

油断していたら溜まってしまったので、ざくざくと。
◆第6話「特訓!魔法の杖!先生はリコのお姉ちゃん!?」◆ (脚本:山下憲一 演出:芝田浩樹)
OPが映画宣伝モードになり、
マジカルさんの補習への絶望でディスピア様が復活してるぅぅぅぅぅ?!
恐るべし、補習。
老先生が腰痛で倒れ、代わりに補習を受け持つ事になった教育実習生のリズは、なんとリコのお姉さん。憧れる姉のような立派な魔法使いになりたいのに実技がさっぱりで顔を合わせづらく、学園でもよそよそしい態度を取っていたリコは、姉の見守る前で巧く魔法を使えない苛立ちと重圧から、補習をエスケープしてしまう……。
何が驚いたって、家族の前で「リコはいつもあんなだから」と言うのは問題がある、とみらいが認識していた事。
そこは配慮できるのか(笑)
リズ先生の口を通して今作における魔法のメカニズムを改めて補いつつ、リコの魔法の杖はやや特殊であると判明。
リコの秘めた資質がみらいとの出会いというきっかけを通して覚醒し始める――という筋立てなのですが、資質はあり、努力と根性も実践しているリコが実技はさっぱりという理由は特に描かれず、どうやら本人にとっても本当に謎のようである為、みらいとの出会いの“何”がきっかけだったのか、という踏み込んでほしい焦点があやふや。
回想シーンを見る限り、元からリコの性格がねじくれていて人付き合いに問題があるのではなく、魔法の実技が巧く出来ない劣等感から性格がねじくれて人付き合いに問題が出たようなのでそこの因果関係もみらいと関係ないですし……まあ、割といい所のお嬢さんのようなので、劣等感を抱く前は、もっと鼻持ちならないエリートだった可能性はありますが!(笑)
まあ、それならそれで物語にその要素が組み込まれるべきなので、その辺りを突き詰めて考えていくと、リコが魔法の実技がさっぱりだった理由(原因)は、魔法の杖のレベル制限という結論に。
持って生まれた魔法の杖が高レベルアイテムだった為に巧く魔法が発動できない、とかやはりこの呪われた運命。
そこに関しては、でもそのお陰で出会えたから良かった、とプリキュア問題も含めてみらいが一気に階段すっ飛ばして解決してしまうのですが、今作のこの、キャラクターが問題の本質に無自覚なまま片付けてしまう方向性、というのはどうも引っかかります。
個人的には、問題に向き合って、そして乗り越える(受け入れる)タームが欲しいのですが、これはまあ好みの問題ではあり。
そこを脇に置けば、色々あるけど何よりも「出会えた事が大事」と持ってきたのは悪くは無いと思いますが、それならそれで、エピソードとしてそこに中心を合わせて描いても良かったかな、とは。今作の芯になりそうな要素なのに、結構さらっと流したのがどう出るか。
クモ女の強襲でリズ先生が気絶し、怒りのリコとみらいはプリキュア変身。リコの想いにアクアマリンが応え、クモ女の撃退に成功するのであった……なお、リズ先生が倒れている原因の3割ぐらいは外道校長にあるので、マジカルさんは怒りのぶつけ先に関して熟考をお願いします。
最後に、リコが姉妹の絆であるペンダントを魔法で作る事で、姉に気持ちを伝える、というのは綺麗なオチで良かったです。


◆第7話「人魚の里の魔法!よみがえるサファイアの想い!」◆ (脚本:伊藤睦美 演出:平山美穂)
落第生達は海の中にある人魚の里で、人魚の先生から発声の授業を受ける事に。人魚達の生徒への反応が、ニンゲン怖い、外の世界キケン、なのですが、乱獲の歴史でもあるのか。
前回の「何よりも出会えた事が大事」というキーを踏まえて、そこに人魚の子供達の外界への恐怖心を絡め、知らない世界に飛び出す事は確かに怖いけど、その壁を乗り越えた時にそこには出会いがあり、出会いは力になる――とみらいの好奇心に善なる意味を与えつつ、みらいとリコが手を重ねるシーンに、出会いと繋がりのシンボライズとして焦点を合わせ、綺麗にまとめました。
前作では、第8話のテクニカルな好篇が印象深い伊藤睦美が、今作に欠けがちだった、劇中の要素を物語の流れの中で意味づける、という事をやって、良いお仕事。
前回今回でようやく、今作の志向している物が形になって見えてきたのかな、という感。
後は今のところドクロ一味が、物語におけるアンチテーゼとして全く機能していないただのチンピラ集団なのが困った所なのですが、現状ドクロ一味が掲げているのは「魔法による単純破壊と自分の欲望を満たす為だけの使用」で、それに対してプリキュアが「そうではない魔法」を掲げるのかと思えば全くそうなっていないから物語の構図としてちぐはぐなので、早いところ手を入れてほしい部分。
そういう視点で見ると、今作の立ち上がりはみらいとリコが“(信念を持った)魔法使いになっていく”所を描いているとは取れるのですが、それならそれで、魔法学校や世界の描写にもっと力を入れて欲しく、どうも歯車が幾つか抜け落ちています(^^;