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『魔法使いプリキュア』感想・第3話

◆第3話「魔法商店街でショッピング! 目覚めるルビーの力!」◆ (脚本:村山功 演出:暮田公平)
なんだか久々に見た気がするな……擬音でしか説明できない子。
状況説明とかのギャグではなく、少なく見積もってもしばらく外泊、という内容が内容だけに、残念な子を通り越し気味で笑って流していいのか戸惑う所ですが、若い頃は町中の男達の目を釘付けにしていたとおぼしきちょっと只者でない感じのグランドマザーがあっさりゴーサイン。
何がビックリって、それに校長も驚いている事なのですが、校長は、責任者として、まともな説明をする気はないのか(いや、この後、みらいに代わって説明したのかもしれませんが。むしろ、したと思いたい)。
……まあ、校長が、魔法について濁しつつ説明すると、かえって怪しくなりそうな気もしますが!
そして主人公は、魔法について誤魔化そうとしておかしな説明になっているのではなく、魔法について誤魔化す気がないのにおかしな説明になっているのが、危険。
「お祖母ちゃん、いつも、私を信じてくれるんだ。だから、なんでも正直に話せるの」
心は正直でも意思疎通が不自由で、明らかに、お祖母ちゃんが、両親向けに高度に政治的な翻訳を駆使しています!
肉親が自由人なのは有りとしても、主人公の意思疎通が不自由というのは、世界と魔法の関係を先伸ばしにして誤魔化した感じで不安が漂いますが、リコとみらいは、みらいの入学準備を整える為に、魔法商店街へ。
色々な職業の人々が魔法を使う姿を描きつつ、リコは友達は居ないけど商店街では人気者だとわかり、みらいの祖母の話に沈んだ表情になったり、子供の頃から商店街に通っているのが強調されたりと、リコ関係の伏線幾つか。そして、リコが人間世界へ向かったのは、校長が水晶玉としていた会話を立ち聞きした為であった。
……あれ? 校長、煽った?
重大な校則違反だけどプリキュアになったからいいや、という前回の軽い対応の裏がいきなり繋がったのですが。
一休みしながら徐々に打ち解けていた二人だが、そこへ突然伸びてきたクモの糸が、みらいのペンダントを奪い取ってしまう。追いかけた二人の前に現れた怪人クモ女は、リンクルストーン・エメラルドの在処を聞き出そうと、街中で怪獣ミカン岩を暴れさせる!
今回非常に良くなかったのがここからで、いわゆる人間世界ならまだしも、異世界であるからこそ尚更、怪獣登場に対するモブ(一般市民)のリアクションを、丁寧かつ明確に描かなければならなかったのですが、そこが非常に不足かつ半端な描写になってしまいました。
ミカン岩が建物を破壊するのをモブが見上げるシーンは一応あるのですが、特に悲鳴をあげるわけでも大騒ぎで逃げ出すわけでもなく、ミカン岩を脅威に思っているのかどうなのか、映像からさっぱりわかりません。いっそ、このぐらいの魔法災害は日常茶飯事に見えるレベル。
その後、ダイヤモンドを奪われてプリキュアに変身できないみらいとリコが回転するミカン岩から逃げているシーンでは、通りは無人(^^;
蜘蛛の巣が張り巡らされた広場に追い込まれてクモ女に「街ごと消してやろう」と脅され、怒りのリコが「私の大切な、みんなの街に、なんて事してくれるのよ!」と叫ぶ……という流れからは、当然ミカン岩はそれなりの脅威として描きたいと思われるのですが、リコの叫びに合わせて被害現場で悲しそうな人々がようやく1カット入ったと思ったら、その後に買い物袋抱えた親子連れのカットとか入るので、むしろ街の人々に、余裕で無視されている感じなんですが……!
ミカン岩のサイズやこの後の展開を考えても、人々が気付かない所でプリキュアが戦って平和を守っている、という作劇でも無いですし、展開と絵が凄まじくちぐはぐ(^^;
街の平和を脅かす悪意に立ち向かおうとするリコとみらいにリンクルストーンが反応するという流れならば、魔法世界でもミカン岩が出てきたら脅威である、という事をモブのリアクションで伝えなければいけないのですが、そこが欠けている為に、むしろ二人とクモ女が勝手に空回りしているようにさえ見えてしまいます。
その為、リコの叫びに応えて、広場に安置されていた言い伝えの“情熱の炎”が、リンクルストーン・ルビーとして覚醒する、という流れが全く盛り上がりませんでした。背後で激しく爆発炎上する新フォームの変身バンクはやたら強そうでしたが。そしてルビーの力は、ひたすら筋力。
燃える上腕二頭筋で二人がミカン岩と戦っている所にぞろぞろギャラリーが集まり、投げ飛ばされたミカンが至近距離に落ちても誰も声一つあげないので、モブのリアクションが完全に演し物見物になっているのですが、それでいいのか。そういうリアクションならそういうリアクションで良いのですが、ルビー覚醒の流れとは全く噛み合っていないので、物語が猛烈なスピンで空中分解していきます(^^;
最後は、究極!プリキュア!キック!でミカンを粉砕し、クモ女は撤退。プリキュア二人もとりあえずそそくさと姿を隠し、最後におっとり刀でやってくる校長。
リンクルストーン・ルビー。また新たな輝きが、彼女たちによって、この世界に灯された」
わ ざ と か ?!
校長は、仮にも教え子が悪い魔法使いと血で血を洗うバトルをしている事に関して「プリキュアだから仕方ないよね」で済ませて何もフォローする気なさそうなのが凄く不穏なのですが、まあ多分、世界魔法樹の精霊とかなのでしょうけど、長く生きすぎて、もう人間の命の価値とかよくわからなくなっているタイプか。
3話続けて、総作画監督作画監督を別に置いている割にはバンク除いて作画もパッとしないのですが……むしろ、作画戦力が足りていないので、総作監を別に置いて何とか格好をつけて貰っているのでしょうか……そう考えると、前回今回とやたら人口密度が少ない(前回は、学校が春休みだから、と誤魔化しましたが)のは制作上の都合という事で、かえって納得行くのですが(^^;
もしかしたら魔法世界は人口が少ないとか設定があるのかもしれませんが、そういった露骨に手が回っていなく見える部分が、モブのリアクションをハッキリ描写しないといけない回で、非常に悪い方向に転がりました。
暮田公平は、前作では結構印象的な演出回があったのだけどなぁ……。
あと、全体として気になるのは、敵にしろ、熊にしろ、校長にしろ、如何にも物語都合で説明を始めるキャラが多すぎる事で、さすがにクモ女が何の意味もなく、うちらのボスがエメラルドを手に入れたらひゃっはーだとか、行動ではなく説明台詞で自分たちを嫌ってほしいアピールを始めたのは、雑に過ぎたと思います。クモ女自体が、劇中でコウモリと何の接点もなく出てきたので、まるっきり別の人が別の事を説明しに来た感じになってしまいましたし(^^;
今のところ、日常パートと戦闘パートの乖離具合が激しく、悪い人たちが、「おまえらエメラルドの事を知ってるんだろ?」と言いがかりをつけて襲ってくるというのも既にかなり厳しいので、早い所、巧く馴染むといいなぁ……。