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『魔法使いプリキュア』感想・第8話&第9話

◆第8話「魔法のほうきでGO!ペガサス親子を救え!」◆ (脚本:坪田文 演出:中島豊)
薄々感じてはいたのですが、このスタッフは戦いをやりたくないのかなぁ……。
そう考えると、雑な敵幹部、雑なヨクバール、雑な事後処理、の全てに納得が行くのですが(^^;
勿論、劇中要素のどこにウェイトを置くかは作品それぞれで良いと思うのですが、では魔法世界やみらい達の日常描写に力が入っていて凝っているのかというと、そういうわけでもないのが、首をひねる所。
シリーズ平均は知りませんが、少なくとも前作はパワーバトルなりに、地形の起伏を活用するとか、数話に一回アクロバットで変則的なアクションを入れるとか凝っていたのですが、今作とにかく、戦闘入ると演出が凄く平板になり、アクションを工夫しようという気配が見えません。
加えて、度々気にしているように、主人公2人が“プリキュアになって襲撃者と戦う事”と正面から向き合っていないままなので、いつまで経ってもリアクションとして機械的に力を振るっているだけで、戦闘に物語が乗りません。今回はヨクバールの素体に親ペガサスを用いる事で、いっけんペガサスを元に戻す為に戦う、という意味を与えているのですが、その実、プリキュアにそんな能力があるわけではないので、やはり変身する事に意味が生まれていません。
新たなリンクルストーンを見つけたのも、それがペガサスを治す力を持っていたのも、どちらも100%偶然であり、話の要素が繋がっているようで、実は、“都合しか繋がっていない”という、非常に駄目なシナリオ。
その都合に意味を与えて繋げるのがシナリオなわけですが、ペガサスの子供を見つけました→花の力で治しました→リンクルストーンが出てきました、という流れは、あまりに粗雑に過ぎます(^^;
Aパートは今作にしては異世界やそこに暮らす生物達をきちんと描写し、補習仲間にもそれぞれ役目を割り振るなど、ここまで今作に不足していた要素を埋めようという気配が見えたのですが、Bパート入ったら途端に平板なカットばかり増えて、演出も作画もガソリン切れに。
箒で空中を飛んでいる絵を動かす、というのが演出的に厄介なのは何となくわかるのですが、それならどうして、同じ回で、ある程度正確さを要求される動物(馬)をメインにして作画の負担を増やしてしまうのか。そこはシナリオ段階なり監督の差配なりで考慮するべき部分だと思うのですが、どうも今作、そういった手配が巧く行っているように思えません。
高所恐怖症の子に折角スポットを当てたのに、いつの間にか補習を合格していたのも非常にがっかり。途中でみらいの姿を見て頑張ろうと思うシーンがあったので、頑張った、という事なのでしょうが、そこは一番カットしてはいけないシーンだったと思うのですが(^^;
今作ここまでを見る限り、“不安を乗り越えて勇気を出して行動する事が大切”というテーマがあるようなのですが、不安・勇気・行動、のどれもが中途半端な描写な為、そのテーマが巧く機能していません。
例えば今回のメガネの子で言えば、高所恐怖症の不安・みらいの姿を見て得た勇気、は描かれているのに、実際の行動、が完全に省かれています(さすがにこれは脚本段階では存在したと思いますが)。
根幹的な所でみらいについて言えば、魔法界にやってくる勇気とそこで魔法を学ぶ行動、は描かれているのですが、魔法界に対する不安、の描写が実は皆無。
以前に「本当は不安だったけどリコのお陰で云々」みたいな台詞がありましたが、その不安を具体的に描いておいてこそ、それを乗り越えて行動する事の大切さ、というテーマに導く為のジャンプ台として機能するのですが、そこが致命的に欠けています。
総じて、今作(特にみらいの言動と行動)は、ジャンプ台を配置していないのにジャンプしてしまうというのが目立ち、これはまた、“プリキュアになって襲撃者と戦う事”と正面から向き合っていないのに周辺被害を気にも止めず現状を受け入れてしまう2人の姿そのままであり、今作の根っこにはびこる大きな問題。
このジャンプ台不要の作劇は今回も悪い方向に炸裂しており、仮にも魔法が学問として成立している筈の世界で、基礎勉強をしている様子の描かれた事のないみらいが、信じる力は超能力で箒で飛ぶ事に成功。まあ、見えない所で基礎勉強はしている、という解釈は出来ますが、今作に関しては基礎勉強をしているならば、それは劇中で描かなくてはいけないと思います。
なぜなら、リコのモットーが、“努力と根性”であるから。
にも関わらず、今作はリコとみらいの努力する姿はさっぱり描かれず、しかしこの局面で何を信じるのかといえば、“自分自身の積み重ね”だと思うのですが、その積み重ねが更地なのに、一体みらいは何を信じて飛んでいるのか。そしてリコはその言葉から何を得るのか。そこは、物語を飛ばす為に明確な描写が必要なたわみだと思うのです。
仮にみらいが「飛べると信じるから飛べた」として、リコをあくまで努力と根性の人と位置づけるなら、みらいはむしろリコの敵ではないのか(笑)
私の感覚だと、物語に散りばめた要素の繋がりが、ちぐはぐ通り越してしっちゃかめっちゃかで、省いていい描写と省いてはいけない描写の取捨選択が、とことん合いません(^^; これでまだ、色々な仕掛けを矢継ぎ早に繰り出して、とにかく楽しいを重視した作風、というのならまだわかりますが、そういう作りでも無いしなぁ……(この点に関しては、意図が形になっていない可能性はどうも感じますが)。


◆第9話「さよなら魔法界!?みらいとリコの最終テスト!」◆ (脚本:鐘弘亜樹 演出:佐々木憲世)
見所1:落ちこぼれ達の最終試験を立て膝で観戦する外道校長。
久々の登場で安定の最低ぶり。
見所2:リズ先生の邪悪な笑み。
この人多分、妹とボードゲームとかすると容赦なく泣かせていたタイプだ。
見所3:「お遊戯は終わりましたか」
どうやら補習の終了を待っていてくれたらしいバッティさん、紳士。
補習の最終課題は、リズ先生VS落第ファイブによる、魔法で花を咲かせましょう空中戦。奮闘を見せる3人が次々と青髪の悪魔によって撃墜されていく中、みらいの帰国を控えてまたもコミュニケーション不全を発動したリコだが、リコに進級してほしいというみらいの気持ちを知って手を取り合い、見事にリズ先生を撃墜(ここで、2人で箒に乗るとブーストされる、という設定を掘り起こしたのは良かった)。だがそこにバッティが現れ、補習の合格証をヨクバールへと変えてしまう。
珍しく物語の流れにヨクバールを乗せたのですが、先生達の目の前なので、まあそれ無くても合格決定だよね、というのが惜しい。2人の絆の象徴、というニュアンスもあったのでしょうが、ここまでのエピソードでハンコを押してもらって一緒に喜ぶ2人、みたいな演出の印象的な積み重ねが無いので、もう一つ機能していません。そういう積み重ねがあると、おお、と思うのですけど。
プリキュア。戦う力があった所で、所詮たった2人。どんなにあがこうと、何の意味もないのですよ」
……あなた方、5人だったような。
自分たちは強大、という主張なのでしょうが、基本、連戦連敗ですし、深く考えずに紋切り型の台詞を置いてしまった感じで残念。
対するルビーなプリキュアは、2人だからくじけずに頑張れた、と反撃。補習でくじけそうになったの基本的にマジカルさんだけという記憶なのですが、ここでもみらいの不安を描写していなかった事が悪い方向に転がっています。
プリキュアはヨクバールを撃破して補習の合格証を取り戻すが、それは2人の別れを意味していた。みらいは補習仲間と先生達に見送られてナシマホウ界へと帰っていき、ここで別れ際に教頭先生が学園の生徒手帳をみらいに渡すのは良かったです。そして、ひとり教室に残っていたリコの元を訪れた校長は新たなリンクルストーンの気配を告げ、カタツムリ電車を箒で追いかけたリコは、それに飛び乗ってみらいと共にナシマホウ界へと向かうのであった……。
みらいを魔法界に滞在させたらどうなるか試していた、とへらっと白状した校長、補習前夜には確認できていた新たなリンクルストーンの気配を電車に飛び乗れるギリギリのタイミングでリコに告げるなど、みらいとリコを完全に実験動物扱いですが、マジカルさんは、釘バットで校長の後頭部を30回ぐらい殴っても許されると思います。
校長は、よく居る思わせぶりキャラにしても、あまりにも言動と行動の度が過ぎていると思うのですが、すっかりネタとして笑う段階を通り越してきました。一応、「校長」なので、その辺りは作り手の側に節度が欲しいなぁと。
リコ以外の級友達との友情はバタバタっとまとめられてしまい、忘れ物娘の忘れ物は、“みらいのお陰”で改善されたとねじ込まれましたが、まあ、触れないよりはマシか。青髪短髪の出席不足はナシマホウ界へ行こうとチャレンジを繰り返していた為とされましたが、青髪が何度も失敗しているのに対し、あっさり脱走に成功したリコはやはり校長が煽っていたのでは疑惑が膨れあがります。
んー、前作もスロースタートだったので、話数1桁台は継続しましたが、もういいかなぁ……(^^;
現状個人的に楽しめる要素が特に無い上で、ここから私好みの物が出てくる可能性は低そうなので、新展開を2話ほど確認してこのままの調子なら、恐らくリタイアします。今年は合わなかった、という事で。
次回――押し入れが無いなら、ロールパンで寝泊まりすればいいじゃない。