◆第7話「ダメ亭主と罠と大当たり」◆ (監督:諸田敏 脚本:小林靖子)
ガメル、徹底して萌え路線。
ウヴァ、超チンピラ。
緑色が綺麗だし、複眼をゴーグルで表現した顔の造形は、個人的に大好きなオルタナティブゼロ(『仮面ライダー龍騎』)を思い出させて格好いいのだけどなぁ。
カザリはアンクを潰す為の策を巡らし、外で駄菓子を食べていたガメルが自分の額にセルメダルを投入すると、牛ヤミーがガメルの体内から出現……と、各グリードのヤミーの出し方は全てバラバラに。特色を出せるといえば出せますが、使い分けが面倒くさいような気もして、さてどちらに転びますか。
夫婦喧嘩で妻が投げつけた靴が駄目夫に直撃する様子を見たガメルから生まれた牛ヤミーが足を踏み鳴らすと、周囲で靴や鞄などが勝手に動き出して人間に激突する現象が発生し、それを見てガメルは「大当たり〜」と大喜び。
今回、全体的にCGを多用してコミカル表現3割増しなのですが、靴、タライ、一斗缶、が飛び回る映像で徐々にギャグをエスカレートさせているように見せながら、やがて、人間そのもの、事務机、看板、が飛び交い事態が深刻になっていく、という見せ方は秀逸。
こけしの顔をCGで変えてギャグにしたり、などの演出は好きではないのですが、諸田監督は割と、ギャグに振る時はCGネタを好む印象。シリアスな絵作りも十分に出来る監督なので(近い所だと、前年『W』の第11−12話「復讐のV」などは、『W』屈指の好演出回)全体的に演出は軽快路線の今作で、早い内に幅を確認しておこうという意図だったのでしょうが。
その頃、パンツの大将@放浪中無宿は、クスクシエのマスター知世子に拾われサムライコスプレに身を包んでいた。どうやら旅好きらしいマスターに「理想の旅人生活」とスナフキンのような扱いを受けた映司は、しばらく住み込みで旅費を稼いだらどうかと勧められるが、それを固辞。ところが、マスターの知り合いの夫婦喧嘩(ガメルに閃きを与えた夫婦)に巻き込まれ、仲裁に入っている内に牛ヤミーを目撃し、オーズ変身。
一方、ネットでコアメダルらしき情報を得たアンク@基本チンピラは、メダルを拾ったという男に1人で因縁をつけるが、それはウヴァの人間体であり、まんまとカザリの罠にはまってしまう。
オーズの方にはガメルも参戦し、別行動を取っていた2人、それぞれピンチに……そういえば今回、最初から最後まで映司とアンクが同じ画面に居ないのですが、何か、スケジュールの都合でもあったのでしょうか。
追い詰められるオーズの元へバイク便の人@パーマがやってくると、鴻上会長からのガタキリバ発動記念プレゼントとして新たなコアメダルを受け取り、ライオン・トラ・バッタ! が発動……挿入歌はタトバですが、気にしない方向で。
ラトラバは迫り来る車を両断してガメルと牛は撤退するが、夫婦喧嘩はまだ続いていた……。
一応、セルメダルに関する利害関係を設定してはいるのですが、物語の都合上、鴻上の目的――セルメダルを集めて何をするのか――が不明な事で、“オーズを助けて鴻上が利益を得る構図”が先送りにされている為、どうしても一方的に助けられているように見えて鴻上の存在がオーズにとって都合が良すぎるので、その辺りは早い内に、バランスを調整して欲しい部分です。
(自販機バイクに使うセルメダルも、バイクのエネルギー源になっているのか、或いは使用料であって後で回収されているのか、など不明ですし……メダル剣を考えると、セルメダルが何らかのエネルギーを秘めていると思って良さそうではありますが)
バイク便の人は元警察関係者だった事が本人発言で判明し、警察を辞めて世界を救う企業に就職した筈が俺はなぜ派手な格好の女に顎でこき使われながらバイク便のお兄さんをやっているのかじっと毛先を見る、と順調にストレスが蓄積中。
そしてアンクは、ウヴァにぐりぐりされていた。
◆第8話「サボリと無欲と休憩中」◆ (監督:諸田敏 脚本:小林靖子)
「ウヴァ! その目先の事だけで一杯になる頭を、どうにかした方がいいぞ!」
アンクは2枚のコアメダルを奪われるもウヴァから身を隠す事に成功し、超捨て台詞なのですが、とても納得(笑) しかし、アンクとウヴァがメダルの取り合いをしていると、画面が完全にチーマーの抗争で困ります。
アンク、性格のねじれ方はともかく、自分で思っているほど頭脳派扱いでいいのか疑問ですし(笑)
傷の回復が遅い事から新たな寄生先を探そうとするアンクだが、小学生の集団に遭遇し、投石を受けてすごすごと撤退。先日はアイスの盗み食いなどしてしましたし、ギャグに振りつつ、いい具合に酷い目に遭った感。
グリードアジトでは、メズールの仲裁でウヴァとカザリがコアメダルを交換し、胸部装甲を回復。また今回、鴻上会長の語る800年前にグリードを封印したオーズの武勇伝シーンで、4体のグリードのフルアーマー状態が登場しました。
「いい子ね、2人とも」と、メズールはやや余裕のあるポジション。
今のところグリードは、
脳が動いている2人:カザリ、メズール
脳が動いていない2人:ガメル、ウヴァ
で、凄く極端(笑)
妻が川に投げ捨てた当たりくじを探して濡れ鼠になった駄目夫と映司は河川敷でサバイバル生活をし、パンツ一丁の主人公がパンツをかわかす姿が延々とお茶の間に流れるヒーロー作品は後にも先にも今作だけになりそうでしょうか。
ここで映司のパンツへのこだわりは、「男はいつ死ぬかわからないから、パンツはいつも一張羅はいとけ」という爺ちゃんの遺言と判明。
アンクから連絡が無い事を心配した映司は鴻上会長からセルメダルを前借りすると、地面に転がっていたアンクにそれを投入。心配して来て無条件でチャージと言っていますが、わざわざアンクを見下ろすように座っており、心の奥底にふつふつとマグマのように煮えたぎる何かを感じます。
「ま、今日のパンツじゃ死ねないだろうと思ってさ」
「意味わからんが……おまえが使える馬鹿なのは間違いない」
「いやーおまえも結構、使えるグリードだと思うよ?」
人生コンティニューに成功したアンクを連れだった映司は、ガメルの怒りの衝動のままに暴れ回る牛ヤミーと対決し、タトバ→タカキリバ→ライキリバで、これを撃破。
映司のちょっとズレた仲立ちで夫婦喧嘩も解消し、満たされてしまった欲望の先へ向けて、再びカメラを手に取る夫。
「アンクー。欲望って、人間には必要なんだな。だから面倒だし、おまえ達も食いっぱぐれないってわけだ」
「おまえのパンツまみれの欲望なら、いらないがな」
バイト代を握りしめてクスクシエを後にしてきた映司だが、それを追いかけてきた比奈が、アンクと物理で交渉。
アンクが鴻上会長にやろうとして失敗した事を、比奈がアンクに対して成功させるという酷い構図で、傲慢で好き放題だったアンクが、物凄い勢いで下界へ引きずり下ろされていきます。
比奈からアンクを遠ざけようとしていた映司だが、比奈の決意と腕力を目の当たりにし、住み込みでクスクシエで働く事になるのであった……。
2話完結形式とはいえ、第8話にしてようやく、拠点が定まり住所不定から解放。比奈の立ち位置、マスター知世子の存在もピースがはまり、アンクはじわじわ馬鹿の領域に引っ張り込まれ、と、構造が落ち着いてきました。意識的に変化をつけてきたのでしょうが、この辺り、落ち着けてくれた方が、個人的には見やすいです。「欲望」を軸にした世界観の説明に加えて、足場が落ち着いていない事があってか、流れはともかく個々のエピソードとしての面白さはもう一つ、というのが続いていましたし。