◆第19話「誕生闇の新戦士」◆ (監督:金田治 脚本:宮下隼一)
前回から巨大化したメガオーム様、どういう扱いになるのかと思ったら、要塞の屋根が開いてそこから上半身が覗く、というのは格好いい。
ジャマール要塞に、ジャマールの伝説的司祭にして異次元世界最大の暗黒呪術士・魔道士ジャグールが招聘され、はしゃぐルンバ。今回初めて、ルンバに対してキャラクターがリアクションしますが、本当に何なのか、ルンバ(^^; 賑やかしにしては、ここまで全く活用されていませんでしたが、少なくとも300年前から存在していてジャグールと顔見知りなので、3幹部より凄いのかもしれないぞ、ルンバ。
まあ、前回や前々回のやり取りから、ジャマールは割と幹部の出入りが激しい組織のようなので、数多の幹部の栄枯盛衰を見届けてきた、ジャマールのゆるキャラマスコット的存在なのかもしれません。
3幹部はメガオーム様から、新戦力導入の為の儀式を成功させよ、と指令を受け、カミキリムシを触媒に何やら呪術を始めるジャグール。地球では異常発生したカミキリムシが次元の穴に吸い込まれていき、「カミキリムシたちを助けてくれ」というグルの声を聞いた拓也と大作はその後を追うが、3幹部の妨害を受け、拓也はジャグールの放った黒いカミキリムシによって手に傷をつけられてしまう。
リストラ寸前だった3幹部は、これで任務達成という事になるのか……?
だいぶん甘い裁定という感じになりそうですが、本人達も「もう、俺達、駄目じゃない?」みたいなノリだったので、物語からの救済策なのか(笑)
「生まれ出でよ邪悪なる者よ!」
ジャマールでは儀式が進行し、傷の影響で拓也が藻掻き苦しむ中、ガオーム様が集めた虫エネルギーと呪術の融合により闇の戦士が誕生。全身黒タイツの影人間が黒いビーコマンダーを構え、「邪甲!」と叫ぶと、漆黒のジャマール産インセクトアーマーに身を包む!
「地獄から生まれし破壊と殺戮の申し子よ。おまえのターゲットはビーファイター。ゆけ、奴等を抹殺しろ」
儀式の終了と共に拓也は回復し、再び確認されたカミキリムシの異常行動を調査に向かったビーファイターは、カミキリムシの墓標を目撃する。そして現れる、漆黒の影。
「我が名は、ブラックビート。お前達ビーファイターを、地獄に送る為に、生まれし者」
目には目を、歯には歯を、虫には虫を――ジャマールの生み出したインセクトアーマーは、恐るべき力で3人を圧倒する! と、今回は完全に新キャラ登場編で次回へつづく。アクションも最後に少しだけで、ちょっと物足りない初登場なのですが、今回も引き続き麗が不自然に登場しなかったりするので、その辺りの都合でドラマの構成が難しくなっていたりするのかも。
色彩の影響もあってか、ビーファイター3人よりもスッキリして見えるブラックビートは、非常に正統派の格好いいデザイン。声を務める咲野俊介さんというと洋画や海外ドラマのイメージが強かったのですが、東映特撮で悪の戦士をやっていたとは。
儀式中に苦しむ拓也や、ブラックビートという名前など、その誕生と拓也とに何か関係づけられそうですが、次回、本格的な動きが楽しみです。
◆第20話「激突!!黒の恐怖」◆ (監督:坂本太郎 脚本:宮下隼一)
黒い戦士は自分で武器の名前を言ってくれないので、手持ちの銃は「ジャミングマグナム」、右腕に付いた 高枝切りハサミ 伸縮するクローは「スティンガービュート」と、前回を振り返りながら字幕挿入。
ブラックとブルーが一騎打ちを展開し、ビュートの名の通り、鞭状に可変するスティンガービュート。ちなみに、ビュート=鞭という用法は、『秘密戦隊ゴレンジャー』のアカレンジャーの武器であるレッドビュートからいつの間にか広まった説があるそうで、「ビュート」自体は完全な東映特撮造語だとか。
銃撃戦、白兵戦、ともに圧倒的な強さを見せるブラックビートに押され、ビーファイターは煙幕弾で撤退。
「無駄な事を。もはやこのブラックビートの前に、屈服するしかない。お前達には敗北と死、あるのみだ」
ブラックビートは余裕を見せ、逃亡したビーファイターは、グルと向井博士とともに、カミキリムシ達の墓を作る。
東映特撮名物:勝手にお墓の中でも、史上最大スケールでしょうか。
「眠れカミキリムシ達よ。おまえ達の悲しみと怒りは忘れない。地球に生きる、全ての命がそれを受け継ぎ、戦い続ける。眠れ……眠れ安らかに」
矢弾尽き果て刀折れても憎しみの連鎖に終わりはなく最後の一匹が死ぬまで終戦の二文字はない!という相変わらずの昆虫魂ですが…………この世界のカミキリムシは、絶滅したのでしょうか(^^;
この後、普通に外を歩くグル(恐らく、体育座りの体勢からお尻を浮かすような姿勢で歩いていると思われるのですが、大変そう)の後ろを、アーマー来たままの3人がついていきながら会話するという凄く変な絵のシーンがあるのですが、今回、完全に麗の出番が無いのでその都合かと思われ、色々と苦慮が窺えます。
「あれがインセクトアーマーなら、俺たちが重甲するように、誰かが存在するんだ――それが、誰なのか」
「そしてもう一つ。あの一連の出来事は、いったい何だったのか」
ブラックビートの中身と、自らの謎の悶絶を拓也が気にする、というのは知力がアピールされて良かったです。
その頃、要塞に戻ったブラックビートは3幹部の指揮下に入る事を拒否。
「3幹部とは別の、新たな幹部。とでもお考えいただければ、幸いかと」
焦る3幹部には慇懃無礼な態度で接するブラックは、メガオーム様自ら発案の作戦により、再び地球へ。それは、マグマ活性装置により日本中の火山を一斉に噴火させ、文明を破壊する……のではなく、
「その強大なエネルギーを、我がジャマール要塞が吸い上げ、地球次元そのものを、ジャマール次元に一斉転換するのだ」
と一ひねり。
息子の隆と休暇で山歩きをしていたアースアカデミア火山観測班の添田がこの火山の異常に気付いて本部に連絡を入れ、麗は前回までと逆パターンで「先に現地に向かってる」事にされる一工夫。
ジャマーに気付かれて添田は捕まってしまうが、逃げる隆を助けるビーファイター。
「大丈夫か、隆くん!」
と、所員の子供の名前をしっかり把握しているのが、ご都合というより、もはや凄くビーファイターです。
ブラックビートが現れて吊り橋バトルとなり、ブルービートの危機に果敢に体当たりをする隆少年を「邪魔するな、小僧」と容赦なく切り捨てようとするブラック。隆をかばったブルーは一緒に吊り橋から転落し、ここにまさかのブラック追撃マグナムはビックリしました(笑)
変な美学も持っていないようですし、一瞬も躊躇せずに落下した敵に追い打ちを入れるなど、かなり優秀です。
ブラックは続けて緑と赤を銃撃し、吊り橋の上で結構な大爆発。恐らく煙だけ派手に出るようなタイプなのでしょうが、撃つ方も、撃たれる方も、なかなか凄い。
「勝利は我が手に」
一方、街の上空にはメガオーム様が出現し、地上を大規模攻撃。折角なのでメガオーム様凄いをアピールした感じがありますが、意外とフットワーク軽くて、ガソリン切れが心配になります(笑) 物凄く凶悪な見た目の半身の操り人形、とでもいうようなデザインは面白いですし、どこかの次元に下半身があって合体したりするのか、ちょっとワクワク。
「ひれ伏せ、人間ども。間もなくお前達の世界は消滅する。文字通り、我らがジャマールの世界が取って代わるのだ」
人々に絶望が広がっていく中、やけに明るい音楽で再合流したビーファイターは、噴火を阻止する為にビートマシン発進。赤と緑がマグマ活性装置を止めに向かい、青は黒の元へ向かうが、活性装置を目の前に、赤と緑の前にはジャグールが立ちふさがる。
二つの戦いが展開し、青vs黒では、メガオーム進化にかこつけてもう無くなるかと思っていたガオームゾーンが発動。そして、ジャグールに追い詰められた赤と緑を助けに、老師グルが登場し、ジャグールとマッチアップ。
両者はそれぞれ「ビーファイターの生みの親」「ブラックビートの生みの親」として台詞が対比され、ああ成る程、ジャグールってどうして「ジャマール」と被りまくっている名前にしたのかと思ったら、「邪グル」という事だったのか!
マグマ爆発まで残り2分――
「負けないでビーファイター! お父さんを助けて! 地球を守って!」
「俺は、勝負を捨てない……最後の最後まで、地球の仲間の声が、命の声がある限り!」
グルとグルの微妙なマッチアップでは光線の打ち合いの末にジャグールの杖が折れ、その呻き声に反応したブラックが背中を向けた隙を突き、相変わらず一切の躊躇無く背後から切りつけるブルー(笑)
ブルーはその勢いでビートルブレイクを炸裂させてブラックを撤退に追い込み、本格的に価値が無くなってきたぞガオームゾーン(笑) 不意打ち込みですがいきなり一騎打ちで青が勝利してしまったものの、一応、スティンガーブレードにヒビが入り、ブラックの強敵ぶりは継続アピール。
緑と赤はマグマ活性装置の停止に成功し、ジャマールのマグマで次元転移大作戦の阻止に成功。強敵撃退ついでにジョーカー(老師)リタイア展開かと思いきや、自己申告通り、平然と生きていた老師はそれを静かに見つめるのであった……。
もともと都合のいい老師が、前々回の昆虫魂再注入、今回のジャグール撃破と、好き放題なのはさすがにいかがしたものか(^^; 遠くから助言ぐらいならまだしも、安易な奇跡を連続で発動してしまい、ブレーキをかけるか、デメリットの明示は欲しい所です。奇跡の燃料になるような老師とビーファイターの精神的繋がりが特に強調されているわけでもないですし、それをやって老師にスポットを当てると今度は向井博士との関係性が薄くなってしまうというのも、痛し痒し。
今回なら、「カミキリムシの仇!」と、むしろ老師の個人的怒りを強調してしまった方がまだ説得力が出たような。
一方、老師に敗れ深手を負ったジャグールは、要塞に戻った所をブラックビートに射殺され、まさかの早期リタイア。……まあ、幹部級が増えすぎるとやり取りが面倒くさくなる部分はありますが、その人、貴重な参謀要員だったのでは……?
今回の描写を見る限りでは、恐らくブラックとジャグールの間には呪術的繋がりがあって脳内に色々な声が聞こえてくるので、プライベートを守る為にどさくさ紛れに暗殺した疑惑。
ブラックビートだって、地上でアイドルの写真集に思わす目が行ってしまう事もあるのです!
破壊と殺戮の昆虫戦士ブラックビートの本格活動編としては、アクションふんだんで満足の出来でした。名前の字面が被りすぎて、感想書きとしてはちょっと困っていますがブラックビート。カミキリムシの英名はなんというのかと思ったら、「Longhorn beetle」もしくは「Longicorn」(長い触覚に由来)だそうで、うーん、確かにこれは使いづらいか。……まあビーファイター、根本的な所ではモチーフ的に皆「ビートル」な関係で、3人の名付けパターンが全て別々なわけですが、そもそもは全員、「色+ビート」にするつもりだったのかなぁ。
次回、新兵器登場は今回も魔道への誘いなのか?! 青いドリルが光って唸る!