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『重甲ビーファイター』感想20

◆第23話「怪人に花束を・・・」◆ (監督:三ツ村鐵治 脚本:扇澤延男)
拓也達は輸送機の墜落現場付近でメガヘラクレスを探すが、空中から捜索する新レッドルはジャイロの操縦に苦戦。
「誰よ簡単に操縦できるなんて言ったのー!?」
……うん、前任者が、ごく自然にドッグファイトしていたので、多分みんな勘違いしていた。
突然の転任で南米へ去った麗ですが、もしかしたら南米某国で発生したクーデター事件に、元学友である某国王族が巻き込まれ、それを助ける為に、ビーコマンダーを置いて単身決死の救出作戦に向かったのかもしれないという気がしてきました。
ドナウ川近くの動物園では、ライオンがヒョウの檻に入り、出られなくなっています」
影も形もないヘラクレス捜索を諦め気味の男2人だが、レッドルはひたすら前向きで脳天気。捜索を再開しようとしたその時、巨大な手裏剣が3人を襲い、武者修行から帰ってきたジェラと、新たに連れてきた傭兵ゴルゴダルが姿を現す。
「ねえ、だぁれ?」
「ジャマールの幹部の中でも一番可愛げのねぇ野郎よ!」
ギガロの方が可愛いのか。
「そして最も残忍な奴!」
ジェラ、ビーファイターからの評価高い(笑)
しばらく戦地を離れていたジェラですが、レッドルを「小娘」呼ばわりし、どうやら中の人間が変わっているのは知っている様子。シュバルツがしっかりと報告を上げたと思われ、悪の組織にしては情報の共有がしっかりしていますジャマール。
「あたしが小娘なら、あんたはオヤジだし、あいつはおばさんじゃない」
「なにー?! この私が、おばさんだと?! ジャマール一の美貌を誇るこのジェラに向かって、何を!」
ジェラ、ついにノリが軽くなる(^^;
傭兵とは金でジャマールに雇われていると聞いたレッドルは、ゴルゴダルと戦うのではなく、説得を試みる。
「おじさんねー」
「なんだよ?!」
「恥ずかしくない? お金でひょいひょい雇われて、あんな生意気なおばさんの言われるままに人の次元荒らしに来て、将来絶対悔やむと思う、そういう情けない生き方」
更にレッドルは重甲を解除し、その中身に驚くゴルゴダル。
「こんな娘が、戦士なのか……?」
麗も若い娘ではあったと思うのですが、見た目幼い印象を与える上に劇中で年齢も明言されている舞という事で、展開の中で新旧の女戦士を巧い具合に区別し、舞ならではの物語、という状況を作りました。
「通じるわけないだろ! ジャマール野郎なんかに人間の説教が」
「どうして?! 同じように、かけがえのない命をもって、生まれてきた者同士じゃない。怪物や怪人にだって、命はあるもん。でしょ?」
「「うん」」
相手の目を見て話すべきだ、と重甲まで解除した舞の勢いに押され、頷いてしまう青と緑。
怪物や怪人にも命はある、というのは悪玉/善玉の線引きをする事でフィクションを成立させている作品では地雷原なのですが、悪に生まれた存在ではなく金で雇われた傭兵であるという設定と、戦士に選ばれたばかりの素人である舞を組み合わせる事で、ギリギリ収めました。
「だからね、おじさん。人はもっと、真っ当な生き方しなきゃ駄目なの。私の言ってる事、わかるよね?」
舞の正面からの説得に、戦いが阿呆らしくなってしまったゴルゴダルは、戦闘を放棄。
「こんなおめでたい小娘に邪魔をされては、戦意も萎えるわ」
「おめでたい?」
「名前を聞かせろ」
「え、名前? 舞、舞って言うの」
「マイか……ふふふふ、覚えておこう」
ゴルゴダルは背中を向けて去って行き、出張から帰ってきたら新入社員に3日で職場放棄されたジェラも退却。
「なんとなくわかりましたよ。麗の後釜に、何故あいつが選ばれたのかが」
一度戻ったアースアカデミアでは、拓也・大作・博士が、戦いの中で忘れかけていた命の尊さを、舞に教えられた事を認める。
その頃ジャマールでは、ゴルゴダルが契約金を返納。
「あんな小娘が体を張って、必死で守ろうとしてる次元を、荒らす気にはなれないよ。いくら馬鹿野郎のこの俺でもな。はははははは」
「貴様ぁ」
「フッ、ジェラ、ご立派な手土産を、連れ帰ったものだな」
本日も高枝切りばさみを磨くブラックビートはすかさず嫌味を飛ばし(ブラックビートのこの基本スタイル、凄腕の戦士が銃や刀など愛用の武器を万全に手入れしているイメージなのでしょうが、なにぶん武装が内蔵型の為、自分のボディを磨いているように見え、若干のナルシスト感が漂います)、怒り心頭のジェラはゴルゴダルを退社させまいとするが、そこに出現したメガオームがゴルゴダルを攻撃。
「ひとたび我らに魂を売り渡した貴様だ、逃がさん」
「役立たずには、死あるのみか」
「死なせはしない。修行の旅で私は悟ったのだ。もっと冷酷にならねばと」
割と軍団員には慕われている描写のあったジェラですが、やはり独立採算の傭兵軍団長という事で、これまでは雇った団員の福利厚生に気を遣っていた模様です。だが、これからは、定時退社など許さない!
「こやつを道具として役立つようにしてやる」
アースアカデミアでは、ゴルゴダルを説得して故郷の次元へ帰らせる事は出来ないか、とビーファイターが相談していたが、そこに街で暴れ回るゴルゴダルの映像が中継される。
やはり世の中、金か、金なのか?!
現場へ駆けつけた舞は会話コマンドを使用するが問答無用で攻撃を受け、投げ飛ばされた舞をキャッチしてナチュラルにお姫様だっこする大作がパワフリャァ。少々勢力が衰えてきましたが、やはり、筋肉は宇宙を救うのです。
重甲した青と緑は頭部の傷に気付いてビートスキャンし、ゴルゴダルがロボトミー手術を受けている事に気付く。ジェラにナイフを突き立てられたゴルゴダルは、脳の言語中枢と記憶に関わる部分を破壊され、戦闘マシーンへと変貌してしまっていたのだ!
洗脳パターンの亜流にしたらジェラのナイフ技術が謎な感じになりましたが、恐らく武者修行の旅で身につけた、傭兵世界に伝わる、 ブラック社員 バーサーカー作成秘術なのでしょう。
「舞、重甲しろ!」
「重甲なんていらない。話をしたいのよ!」
一度は気持ちの通じたゴルゴダルを止めようとする舞は説得を続け、苦悶するゴルゴダル。
「おじさんあたしに聞いたじゃないか! あたしの名前教えろって言ったじゃない。だから教えた。舞だよって。舞だよあたし……私の名前、呼んでよ」
「………………ま……ま・イ……マ・イ……」
ゴルゴダルは戦闘を止め、記憶の奥底から失われた筈のその名を呼ぶが、そこへジェラ、更にメガオーム様が登場。今回のメガオーム様は、なんか煙吹いていて格好いい。
「ジェラ、このガオームに学べ。底なしの残忍さとその喜びを」
期待の新人幹部の会社への忠誠心が0なので、改めて社員教育だ!!
メガオームのブラック洗脳ビームを浴びたゴルゴダルは、今度こそ完全な破壊と殺戮のマシーンと化し、重甲した青と緑と激突。黄色い体液を撒き散らしながら、ひたすら「マイ」という言葉だけを繰り返して暴れるゴルゴダルだが、そこにはもはや感情も意志もなく、記憶に刻まれた言葉をただただ口にしているだけ、という戦闘シーンは爽快感皆無のえぐさ。
「あたしがやる! あたしがおじさんにしてあげられる、たった一つの事」
その姿に覚悟を決めた舞は重甲し、ゴルゴダルをセイバーマグナムで撃破。
レッドルに迫る咆哮から断末魔の悲鳴まで、全てが「マイ……マイ、マイー!」なのが実に凶悪。
完全にトラウマ案件で、下手すると、来週には舞が北欧支部に転任しそうです。
「舞……地獄を終わらせてやるには、ああするよりなかったんだ。な?」
戦闘マシーンとして洗脳され、意志を奪われた地獄の中で、故郷に帰れずに死亡する、というゴルゴダルの姿にはかなり強く「戦争」のイメージが想起されますが、名前は「ゴルゴタの丘」を思わせますし、ラストで墓標代わりにされた武器の手裏剣は、十字架の見立てだったりするのか。この辺りひっくるめて何か、オマージュ元があったりするのでしょうか。
東映特撮名物:勝手にお墓(今回は仕方ない)に花を捧げ、笑顔を浮かべて立ち上がる舞。
「……そゆことそゆこと。もうあんなおじさんの事なんか忘れてさ、メガヘラクレス、早く見つけなきゃ。ホントはあたし、戦うの、好きじゃないけどさ……でも、許せないじゃん、ジャマールって!」
ここでトーンを上げる台詞回しが秀逸。
「おじさん、生まれ変わってでも何でもいいからさ、ちゃんと自分の次元に帰ってよね。寄り道なんかしないでさ。あ〜あ」
墓標に軽く触れた舞は、拓也と大作に背を向ける。
「やっぱり脳天気だよ」
「違うさ」
「……おじさんごめんね……撃って、ごめんね……」
空を見上げ、舞は、ひとり涙を流すのであった……。
ナレーション「――それは、戦士としての痛みを初めて知った、鷹取舞、19の夏の出来事だった」
そのナレーションでまとめられると、戦場に立った以上、結論は、殺るか殺られるかだ! という感じがしますが、ビーファイターなので仕方がない(おぃ)
敵との交流→洗脳→撃破フォーマットとしては水準といった出来でしたが、舞にジャマールと積極的に戦う動機を与え、同時にジャマールとは如何なる悪であるかを改めて描く事で、新戦士の足場をしっかり固めてきました。
ラストの大作がちょっと鈍くなりすぎた感はありますが、苦境にあっても常に明るく振る舞ってみせるという舞の“強さ”を印象づけ、ただ脳天気なだけでも考え無しの平和主義でもなく、自らの信念があって行動しており、信じているものがあるから許せない事があるというヒーローとしての立ち位置を1エピソードで確立してみせたのは、三ツ村×扇澤が、さすがの構成力。
新レッドルの成立エピソードとしては、必要十分なエピソードとなりました。制作事情を考えれば、さすがにここで大ジャンプは期待しすぎというものでしょうし、やはり今作では扇澤さんが、毒牙を何本か引っ込めて安定志向で全打席出塁を心がけている感じだなぁと。
次回――ギガロ、びっくりどっきり強化。