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駆け足『仮面ライダーフォーゼ』感想9

〔GYAO!〕で1週間12話ずつ配信されている、『仮面ライダーフォーゼ』感想。タイトル通り駆け足気味で、ボリュームは、その週の視聴ペースと、心身の余裕により増減予定。
◆第31話「昴・星・王・国」◆ (監督:坂本浩一 脚本:三条陸
「この昴星はもう僕の王国だ」 (山田竜守)
「これまでの、仮面ライダーメテオは……」というネタナレーションからスタート。
39番までのスイッチを解析する事で具現化する、最強最後の40番:コズミックスイッチの起動実験が行われるが、何故かドライバーに差し込む事が出来ない。そんな中、昴星高校を調べる為に、弦太朗・ユウキ・賢吾は、大杉先生の尽力で流星と共に体験通学を行う事に。大杉先生が顧問を引き受けたのは、園田先生への妄想下心満載、とかにされるのかと思っていたら、意外や真っ当にライダー部の活動に協力かつ役立ちましたが、このまま便利なコメディリリーフ扱いになっていくのか。変態妄想抜きにしても、生徒への偏見丸出しで攻撃的な面が目立っていたので、急に良識を発揮されると納得しがたい部分はあるのですが、とりあえず保留。
どこか不自然な空気の漂う昴星高校、そこは、天ノ川学園からの交換編入生・山田竜守が覚醒したアリエスゾディアーツによって牛耳られていた。
「この学校では生徒も先生までも全部僕の劇団、昴星王国の役者だ。配役もストーリーも僕が自在に組み替えられる。逆らう者は皆――眠りの刑だ」
アリエスは生体活動を操る能力によって逆らう者を任意の眠りにつかせ、恐怖で支配した人々に自分の望むままの劇を演じさせていたのである。
アリエス山田は、演技も喋りも良い感じで、変身すると一人称が「余」に代わる部分もアクセントとして効いています。話の展開としても、さっくり正体を明かして、変に学校潜入捜査で引っ張らなかったのは良かった。
アリエスの能力に敗れたフォーゼは、流星に想いを寄せる元クラスメイト・白川芽以らに救われ、一日の最後に行われる反省会に、連絡をつけた台座ロボら仮面ライダー部と共に乱入。
「今こそ学校を取り戻すのよ」
ただの女子高生の筈なのに、鉄パイプで忍者を殴り飛ばす芽衣(笑) 前振りの30話にもちらっと登場するなど、妙にフィーチャーされているなぁと女優さんを調べたら、姫か!(納得)
フォーゼは39番スタンパーによる時限式スタンプ爆弾とマグネットの組み合わせでアリエスにダメージを与えるが、何故かそこにアリエスを守るようにメテオストームが乱入し、第17話以来の直接バトル。
「メテオ、なんでだ、なんで?!」
「ダチに関する事なら、なんでも受け止めるって言ったよなぁ?!」
言いましたね……。
「おまえ、まさか……」
「だったら受け止めて死んでくれ、如月!」
「今やられるわけにはいかねぇ!」
迫力ある激闘の末、メテオストーム彗星脚とマグネット光線が交錯し、押し負けたフォーゼは、トドメのメテオ発勁を喰らってダウン。主人公を完敗させる為に、先にメテオを強化していたのだと、なるほど納得。この裏切り行為で鉄仮面により変身解除されたメテオはライダー部員全員の前で正体がバレ、ちょっと驚く流星は、変身システムを忘れていたのか(^^;
「よくやったね、朔田くん。取引成立だ」
「……俺は山田と手を組んだ。二郎を救う為には、どうしても、アリエスの力が必要なんだ」
反ゾディアーツ同盟の目的も、12使徒スイッチの回収。タチバナからアリエス撃破を指示された流星は、スイッチを分析する事によって二郎を救うという不確かな手段では満足できず、生体エネルギーを操るアリエスに直接取引を持ちかけたのであった。
この点、流星は初志と執着を貫徹しており、二郎の件を利用して流星を手駒にしていたタチバナの見立てが甘かったと言う他ありません(^^;
「そうか……話が繋がった。……こうやって本気で戦って、初めておまえと語り合えた気がするよ、流星……」
「如月……」
「おまえの本当の心、本当の想いが受け止められて…………嬉しいぜ。……たとえそれが、殺意、でも……な」
第18話のやり取りを拾うも、心臓の止まる如月弦太朗――再・起・不・能?!


◆第32話「超・宇・宙・剣」◆ (監督:坂本浩一 脚本:三条陸
「みんなの絆で、宇宙を掴む!!」 (如月弦太朗)
「自分の友達を救う為に、他人の友達を奪っていいわけがない! 俺は絶対おまえを許さないぞ!」
アリエスによって眠らされるライダー部員達だが、タチバナの助けにより、賢吾はなんとか弦太朗の死体を担いで逃亡に成功。メディカルスイッチでも蘇生しない弦太朗だが、タチバナはコズミックスイッチにこそ弦太朗復活の鍵があると伝え、ここで、賢吾にゲートスイッチを送ったのはタチバナ? という示唆。
「如月弦太朗は、ここで終わるような人間ではない」
一方、囚われの仮面ライダー部員は昴星の生徒として配役され、
「俺も、あんま誉められた人間じゃあないっすけど〜……これよりクズなシナリオ、見たことが無い。――ゴミか」
脚本を破り捨ててみせるジェイクが、珍しく格好いい役回り。
「メテオも仮面ライダーだと思ってた! でも違った。そんなの、仮面ライダーじゃない!」
前回今回と、芽衣に対して弦太朗とユウキがやたら「流星の彼女」を連呼するのですが(本人は「いずれそうなりたい」的発言)、友子との絡みは継続され、公式が、タチ悪い感じで煽ってきます!
友子の非難を浴びながらも流星は山田と病院に向かい、アリエスの能力によって目覚めた二郎は、スイッチを切る事に成功。
「俺は裏切り者だ。でも、もういいんだ。おまえさえ助かれば」
「おまえみたいな、強い人間になりたくて、スイッチに手を出したのに。結局俺の弱さでおまえを苦しめたんだ。……俺の為におまえは、自分を失った」
意識は回復するも、まるで目を覚ますのを拒むかのように肉体が機能を取り戻さない二郎は再び昏睡状態に陥ってしまい、流星は自分の過ちに気付く。
(そうだ……あいつは俺を受け止めてくれた)
「俺が裏切ったのは自分だ。如月と友達になりたい、その自分の本心を裏切ったんだ。如月ぃぃぃぃぃ!!」
にしても、てっきりメテオ仮死発勁というオチだとばかり思っていたら、本気に殺しに行っていたようで、朔田流星、恐るべし。
「ほぉぉぉぉぉぉ、うわちゃぁ!」
友の言葉に自分の本心を認めた流星は、仮面ライダー部の処刑寸前、遂に生身で重力を無視してアリエスに跳び蹴り。
「今更なにしに来たのよ!」
「俺は全てを失った。仮面ライダーの資格も、二郎も、如月も。俺はせめて如月の守りたかったものだけでも、守る。償いなどではなく、俺自身のけじめとして」
ここで、敢えてドライバーを構えてから、足下に置くシーンが凄く格好いい。
また、劇場版『MEGAMAX』と繋げて考えると、この「俺はせめて如月の守りたかったものだけでも、守る」が、メテオの仮面ライダー宣言と捉えて良いのでしょう。……この点、本編だけだとちょっと弱いのが難ですが。
「アリエス! 人の定めを操るのはここまでだ! ――おまえの定めは、俺が決める」
生身でやるとどうなる事かと思ったあのポーズですが予想外にキマり、イケメンパワー高い。そしてこれを、ドライバーを置いた後に言わせているのも、流星が本当の意味で仮面ライダーになった瞬間、という意図だと思われます。
「余の芝居ではアドリブは極刑だ!」
その頃、タチバナの助言を受けた賢吾は、ラビットハッチの外壁に刻まれた。父・緑郎のメッセージを発見していた。


宇宙を掴む若者達へ
宇宙は一人では挑めない
互いを信じ合い、手を繋ぎ合う、
最後に不可能を越えるのは、人間同士の絆

その言葉を胸に、賢吾はコズミックスイッチをフォーゼドライバーへ強引に押し込もうとし、流星に負けじと賢吾も久々の見せ場。
「こいつは如月弦太朗ですよ! なあ、そんなもんじゃないだろ、君の非常識は!」
そしてその声は、お花畑を歩いていた弦太朗の足を止める……。
「フォーゼの君と、それを支える俺達仮面ライダー部。その俺達の絆が、最後の扉を開く」
「俺達の絆……」
「そうだ、絆を心に思って変身するんだよ。如月、君のやってきた事は正しかったんだ!」
コズミックスイッチを通して仮面ライダー部員達があの世の入り口に向けて手を伸ばし、その手が繋がった時、スイッチはフォーゼドライバーに突き刺さり、弦太朗、復活。
……復活、というかこれ、全身を血液の代わりにコズミックエナジーが循環している新しい生命体が誕生していませんか。大丈夫ですか。
身も蓋もない事を言えば、40番目のスイッチに賢吾父が仕掛けていたセキュリティという事なのでしょうが、肝心の絆を証明する仲間達が別の場所に囚われている、というのは少々厳しく、弦太朗の積み重ねよりも、コズミックエナジー凄い、という方が強調されてしまったのは残念。本来なら、個々の部員それぞれからパスを繋げて欲しい展開なのですが、この辺り今作はどうしても、部員の多さを捌き切れていない部分が出てしまっています。
「賢吾……感じたよ、おまえとみんなの……手のぬくもりを」
「そうか……」
「腹の底でわかった気がしたよ。この宇宙に友達になれねぇ奴なんていねぇなって!」
処刑場では死力を尽くして戦う流星が忍者軍団に追い詰められていたが、そこに戻ってくる部員達。彼らを懸命に守ろうと手を広げる流星が遂に倒れた時、それを抱き留めたのは――如月弦太朗。なお賢吾も、いつも通りポケットに片手を突っ込んで到着。
復活のくだりはやや物足りませんでしたが、ここで主題歌が流れ出すのは、バッチリ決まりました。
「お前も俺も、ダチを助けるために、全力で戦った! そんでお前が勝った! ただそれだけじゃねえか! 友情の真剣勝負が出来るのは、いい奴のあかしだ!」
そしてこれくらい突き抜けてくれた方が、この世界の主人公理屈としては、受け入れやすい(笑)
「おまえは俺のダチだ、流星。もう一点の曇りもねぇ。みんなもわかってくれたよな、ホントのこいつを」
弦太朗が許すなら……と部員達も皆、コズミックエナジーを媒介に広がっていく友達ストーカーシンドロームにより流星を受け入れ、遂に友情タッチをかわす二人。
「今から俺の体は、ちょーーー強くなる!」
弦太朗はコズミックスイッチを突き刺してからフォーゼに変身し、スイッチ全部乗せ、最強最後のコズミックステイツが発動。肩にウイングがせり出し、胸部は全面スイッチディスプレイというコズミックステイツは、どうして、ベースカラーエメラルドグリーンにしたのか。そして、黒地に赤い目に黄色いラインの入った顔が、クモの怪人にしか見えないのですが、このフォームを使い続けて大丈夫なのか、凄く不安です。
見た目はともかく、胸のディスプレイで全てのスイッチを直接召喚操作するという、いわばフォーゼシステムの完成形と思われるコズミックは、好き放題で羊を圧倒。最後は近距離ワープ能力まで用いて、宇宙空間でライダー超銀河フィニッシュを炸裂させ、アリエスを一刀両断するのであった。
……ハッタリはわかるのですが、12使徒(中身人間入り)は、大気圏外で倒していいのか(^^; 宇宙に友達になれねぇ奴は居ないけど、友達がたまに星屑になるのは事故なのか。スイッチはなんか強引にバルゴが回収し、山田は眠りっぱなしで入院、と処理されましたが。
二郎の容態は持ち直し、さすがにタチバナさんがちょっぴり反省したのか、部員以外には正体を秘密にしつつ、流星のメテオとしての活動も継続が承認される事に。この点を思いっきり端折ったのは正直誤魔化した感が強いのですが、結果としてタチバナさんは胡散臭い路線を続行。今回のコズミック復活と以前のメテオストームの選択の道筋が重なっているのは気になる所ですが、さて。
「お帰りなさい……秘密の仮面ライダー2号さん」
「ああ……皆、ありがとう」
だが、理事長はフォーゼやメテオの支援者の存在に気付き、その瞳を紅く輝かせるのであった……次回、太秦で恋の花咲く予感あり?