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『動物戦隊ジュウオウジャー』感想・第40話

◆第40話「男の美学」◆ (監督:杉原輝昭 脚本:田中仁)
見所は、「ボンタン」の説明に悩んだ挙げ句、「ヤンチャな学生」という言葉をひねりだす大和くん。
ボンタン狩りをするヤンキー怪人をタイマンで退けたレオはその帰り道、不良学生に絡まれていた少年を助ける。取られた財布を取り返す強さを身につけたい、という少年に肩入れしたレオは、さっそく少年とトレーニングする事に。
最初こそ千尋の谷に突き落とそうとするなど無茶をやろうとするものの、地道にやるように言われてからはランニングや筋トレに付き合い、腕っ節で簡単に勝てるわけがないからまずは怖じ気づかない気合いを持て、と勧めるなど、レオが面倒見のいいお兄さんぶりを発揮。これは以前にあった「兄弟が多い」発言を拾った部分でしょうか。
レオとの特訓で自信を得た少年は不良達に立ち向かい、レオらのフォローもあって財布を取り返す。だが(背後で吼えるレオ@ジューマンの姿に)怯える不良の姿を目にしてフォースの暗黒面に飲み込まれた少年は、不良に殴りかかろうとしてレオに止められ、仲違いしてしまう事に……。
「おまえは強くなんかねぇ! 強くなる資格もねぇ」
これを見ていたクバルが不良達の記憶を利用して少年にエレキハンドを渡し、それに殴られてダメージを受けたレオは通りすがりのヤンキー怪人に大苦戦。それでもヤンキー怪人に立ち向かい続けるレオの姿に少年はエレキハンドを投げ捨てるとレオに「ごめんなさい!」と謝って二人は仲直り……て、うーん……。
ゲストの少年が不良達に絡まれて酷い目に遭い、レオに「どうしたいのかは自分で決めろ」と問われて、自ら「強さを身につけたい」と言う辺りまでは良かったのですが、憎しみのままに拳を振るおうとする、レオに謝って仲直りする、という要所要所の感情の見せ方が唐突で、どうもノれませんでした。
少年の感情については、レオに無茶な修行をさせられそうになって渋面になる、アムの助け船が入って満面の笑みになる、と、わかりやすいといえばわかりやすいけど、やや過剰でマンガチックな描写をされていたのですが、全て同じ調子でやってしまった感。
クバル製エレキハンドもあっさり外してしまうので何も劇的になりませんし、例えば少年の邪心に反応して外れなかったエレキハンドが、少年が心から間違いを認めた事で外れる(クバルの思惑を越える)ぐらいの事はしても良かったような。
勿論、エレキハンドを身につける/外す、というのは少年の内面の隠喩にはなっているわけですが、尺の短さによる必然的な心理描写の不足を、劇的に補うもう一工夫はあっても良かったと思います。
とにかく今回、ブラッドゲーム・レオと少年の交流・クバルの暗躍、という要素がてんでばらばらで繋がっていないのですが、物語とはそこを繋げてこそ面白くなるわけで、キャラエピソードをやりつつ終盤に向けてクバルを暗躍させる、というハードルに思い切り顔面から衝突した感じ(^^;
田中仁は今作での特撮作品初参加から数えて7本目。デビュー3本目の杉原監督と相性が悪かった可能性も大いにありますが、大和の結婚式回など良かっただけに、ここに来ての急降下は残念。
エレキハンドはラストでタスクが回収していましたが、年明けにこの一撃が遠因となって、レオが死なないかちょっぴり不安です(笑) 今回だけだとこれ、ほとんど意味が無かったですし(^^;
もう一つ今回に関しては、レオ以外の5人はもっと大胆に出番を減らしても良かったような。この辺りは出演者への配慮なども絡んでくるので単純な問題ではないのでしょうが、5人揃ってレオと少年の背後でもやもやしているだけで、これといって個性も活きないというのは非常に面白くありませんでした。
レオの語る「男の美学」というのがそもそも、本人の自覚もあった上でレオ個人のこだわりでしかないもの、として描かれてきたわけで、それに同調する少年が居て、でも身内からは軽くツッコミが入るぐらいが丁度良いバランスなので、役割分担も失敗した感(レオが美学を語るシーンに5人は居合わせなかったので、そこを全肯定するような構成になるという失敗はさすがにしませんでしたが)。
そして前回今回と、大和くんが後ろにくっついて終始困った顔をしているだけという酷い扱いだったのですが、クイズ回の変な笑顔の大惨事も思い返すと、もしかして杉原監督、風切大和というキャラクターを掴めていないのでは(^^; 少なくとも、2話連続で主人公格に全く同じような演技を繰り返させているのはどうかと思うのですが。
来季の事も考えると、中澤監督が帰ってくるか、ピンポイントで渡辺監督あたりが入るなどない限り、年明けにもう一度杉原組がありそうですが、正直、凄く不安要素。
「この星の奴等は何を考えているのか……それを利用すれば」
右手の実験を繰り返していたクバルは、バングレイの能力を入手した事を見とがめたナリアと激突。武闘派秘書をトラップとの合わせ技で気絶に追い込むと、右手によりその記憶を手に入れる――!
次回、逆襲のクバル、そして、ジニス様フォームチェンジ。アザルドと鳥男も参戦で、初日の出を拝めないのは、果たして誰だ?!
……あ、タコは強引に参戦しました。お陰で最近それとなく強くなっていた怪人が、今回は物凄く弱かった、という事になりましたが、こればかりは多分、現場は悪くない(^^;