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『動物戦隊ジュウオウジャー』感想・第41話

◆第41話「最初で最後のチャンス」◆ (監督:加藤弘之 脚本:香村純子)
見所は、ナリアとクバルを探して地球をフラフラしていたら、鳥男と遭遇してしまうアザルド。
「おいおい? どうなってやがる」
自ら、視聴者を代弁(笑)
「……キューブ? おまえいったい……」
第三種接近遭遇してしまったバドの発言は、初対面のアザルドの姿形に対する純粋な驚きなのか、それとも、アザルドの再生能力は本筋の伏線だったのか?!
一方、当のクバルは拘束したナリアの記憶からジニスを生み出すと、さわおを拉致。ジュウオウジャーに対してはさわおを人質に、ジニスに対しては、ジュウオウジャー秘書を人質に取った極悪集団に仕立て上げる事で、両者の鉢合わせを目論む。
「これで奴等は、いつも以上の力を発揮する筈」
「いつも以上の力?」
「この星の奴等の心情は私には理解できませんが、まあ、実験から導き出した結果です」
思わせぶりに仕込みを重ねた割には、“この星の住人は自分ではなく他人の為に戦う時により大きな力を発揮する”というごく定番のテーゼを持ち出すクバル。
…………あれ、前2話、そんな話でしたっけ?(^^;
と首をかしげた所で遡って考えると、どうやら“色恋よりも仲間の事を優先する”“強さとは、守る為の力だ”という所が前2話のポイントだったようですが、後者はサブタイトル通りにレオ個人の美学ですし、前者ではそもそも、セラの中で仲間と恋愛が天秤にかけられているようには見えていなかった為に、非常にちぐはぐ。
前2話の出来が微妙だった事が響いて物語の流れが巧く組み立てられず、定番が悪い形で平凡になってしまいました。
「くだらない。そんな事でジニス様を倒せるものか」
「サジタリアークではそうでしょう。でも、この地上でなら?」
クバルの真の狙い――それはサジタリアークのエネルギーで肉体を維持しているジニスを、重力の井戸の底へと引きずり下ろす事にあった。
「いいだろう。このゲーム、乗ってあげようじゃないか」
クバルと偽アザルドからナリア囚わるの報告を受けたジニスは、クバルの狙い通りに自ら弓矢基地を離れて地球へ降り立つと、遂にジュウオウジャーと直接対面。
……ところで、酔いどれ系駄目人間のボスキャラが終盤に身近な女絡みの問題で雄々しく立ち上がる、というとどうしても某戦隊を思い出してしまうのですが、単なる偶然か、はたまたプロデューサーの密かに好きなシチュエーションなのか(笑)
「おまえのふざけたゲームは、今日で終わりだ!」
さわおを取り戻したジュウオウジャーも変身し、両者激突するかと思われたその時――クバルの繰り出した再生プレイヤー軍団が、ジュウオウジャーではなく、ジニスを取り囲んで刃を向ける。
「フフハハハハハ。もう逃げ場はありませんよ、ジニス!」
千載一遇の好機を演出し、ジニスに対する秘めた憎悪を露わにするクバル。
「ジニス、あなたは覚えていないでしょうね。私の生まれた星の名前も、あなたに蹂躙された一族の顔も!」
「この私を、欺いていたと?」
「恐怖と憎しみを抑え、この時をどれほど待ち焦がれていたか!! ジニス! この星が今日、お前の墓場になるのです!」
「つまり……復讐の為に、クバルが裏切ったって事?」
テンション高いクバルに対し、いまいち話の流れについていけないジュウオウジャー(^^; もとよりデスガリアン内部の人間関係など知るよしも無いのですが、身内とゲストキャラとの関係性を丹念に描いてきた代わりに、敵方との因縁付けはあまりしていない今作の弱点が出てしまいました。
「さあジュウオウジャー! 一緒にジニスを倒しましょう!」
だがそんな心の壁など軽々と飛び越えて、クバル、握り拳(笑)
「「「「「え?」」」」」
クバルのノリに戸惑うジュウオウジャーだったが、サワオが率先して賛意を示し、イーグルもそれに乗った事からかりそめの共闘をする事に。
「チームクバル、行きなさい!」
復讐するは我にあり、と前のめりに攻めに出るクバルだが、ジニスは全方位からの一斉射撃を平然と防御。そして取り出した三角形のメモリーバイスを自らの体に挿入すると、かつてジュウオウホエールやジュウオウバードを生み出したのと同じ地球パワーがジニスに集まっていき……今ジニスは、サナギから蝶へと姿を変える!!
――月・光・蝶であぁぁぁぁぁる!!
……とは言いませんでしたが、台座を抜けたジニス様の背中に羽が広がるのは、ボスキャラらしい見栄えに加え、羽化のイメージも入っている印象。もしかすると、地球に蓄積されていたセント○ピリアの生命エネルギーの影響かもしれませんが。
「そ、その姿は……!」
「似合うかな? この星のエネルギーもなかなかいい」
気高い姿を君は見たか 神秘のボディが 光を放ってる
昆虫魂 キューブホエールのデータを研究したジニスは、弓矢基地を離れても自らにエネルギーを取り込む手段を既に開発していたのであった。
ここでキューブ型のアザルドの事を思い出すと、アザルドの正体はアザルド星(仮)のエネルギーの塊であり、ホエール魂は、その再生能力も参考にして作られた、というのはありそうでしょうか。
「エネルギーをこの星から……。バカな……バカな!」
想定外の出来事に声がうわずるクバル、余裕から転落まで早かった!
「私を、サジタリアークから引き離せば、勝機があると思ったようだが、残念だったねぇ」
「で、では……地上へ来たのも、全てお見通しだったと」
「楽しいゲームだよ、クバル。さあ、続けようじゃないか」
ゆったりとクバルに迫ったターンジニス様が、至近距離からあえて大きく飛びすさり、故意に外した初撃の光弾が、クバルの顔をかすめて背後で大爆発、というのはジニス様の力と性格の悪さが両方強調されて非常に格好良かったです。
「自分の命がかかれば、最高の恐怖が、味わえるよ」
「……行け、行けぇぇぇぇぇぇ!!」
クバルは後ずさりしながら絶叫し、参考までに、「チームクバル、行きなさい!」から、約2分30秒後の出来事でした。
共闘に巻き込まれたと思ったら、カップラーメンが出来るより早く共闘相手が逃げ腰になり、戸惑うジュウオウジャーだがまたもサワオが先走って突撃。考えるより先に殴りたい青と黄がそれに続き、赤も番長に変身して参戦。状況を見極めたかった緑と白もやむなく加勢する事になり、両陣営が入り乱れる戦いの中心で、両手のシャイニングブレードを振り回すターンジニス。
とにかく今回冒頭から、外に出てきたジニス様が動かしにくいし撮りづらいしで大変そうだったのですが、サナギからメタルフォーゼしたターンジニス様も、あまり動かしやすそうではなく。むしろよくこれで、動かしているというか。他者を見下すイメージを反映してか、顎を軽く突き出した様な顔のポジションが、そこはかとなく辛そう。
激闘の中、ジニスファンネルが炸裂してサワオが消滅し、クバル寄りの言動を繰り返してジュウオウジャーを誘導していたサワオが、偽物だったと判明。ジュウオウジャーはまんまとクバルの奸計に利用されていた事に気付く。
「そうか! 操もクバルが作った、偽物だったんだ! 僕たちを騙して、ジニスと戦わせる為に!」
「じゃあ、お城に閉じ込められたのも」
「ジニスが地上に来るまでの時間稼ぎだ。最初に操を襲ったジニスも、クバルが作った偽物だろう」
今回こういったくどい説明台詞がやたら多くてテンポをだいぶ害しているのですが、主要キャラの偽物だけでも、サワオ、ジニス、アザルド、と3体出てくるので、なるべく児童層が混乱しないように、という事でしょうか。
偽サワオが消滅した後には変身ライトが残されており、偽のさわおが本物のアイテムで変身していたというのは深く考えるとそれでいいのか悩ましいですが、残された懐中電灯を手にさわおを探す方が悲壮感が出る、という話の都合を優先した感じ。ジュウオウジャーがジニスの攻撃を受けた爆炎の中で変身するので、そこで偽さわおと偽サワオが入れ替わりトリックとかしていたら、それはそれで面白かったのですが(笑)
偽アザルドもシャイニングブレードでずんばらりんされ、クバルは逃走。
「ふふふふっ、一人で逃げるとは薄情だねぇ」
ターンジニス様は余剰エネルギーで残りの再生怪人を巨大化させ、3体の巨大怪人に追われて必死にダッシュするクバルの図はとても面白かったです(笑)
「おやおや、的が小さくて当たらないようだねぇ。ふふふはは」
さわおの居場所を聞き出そうとクバルを追う前に、市街地に向かってしまった再生怪人軍団を倒す為、ジュウオウジャーはロボットを召喚すると、キング、ワイルド、ドデカの必殺コンボで巨大怪人軍団を撃破。
手分けしてさわおを探すシーンで、大和くんの頭上を、何かが飛んでいるのですが、いったい何……? 効果音がかなり強調されているので明確な意図があると思われるのですが、この局面でいったい何が飛んでいるのかハッキリせず、これは次回明かされるのか。
その頃、バドは殺意を放つアザルドに絡まれ、重傷のさわおは橋からぶら下げられていた……で、つづく。
第25話で初めての伏線が提示されてから裏でこそこそ動き回る事およそ1クール、遂に本性を見せたと思ったらカラータイマーが鳴るよりも早く無惨にジニス様の踏み台にされてしまったクバルですが、身も世も無い右往左往ぶりは振り切れていて面白かったです。
クバル自身がジニスに対して絶望的な畏怖を抱いているからこそ、同じトラウマを持つさわおを拉致して謀略の駒に使う、というのがなかなか皮肉。
物語として時間をかけた末の裏切りでありますし、デスガリアンといえども元々はブラッドゲームの被害者、という立場はこれまでのジュウオウジャーサイドには全く無かった視点なので、クバルはこの流れでリタイアするにしても、ジュウオウジャーに何らかの影響を残してほしい所です。
上述したように、前2話の出来の影響で流れが雑になってしまった事、やたらにくどい状況説明、とやや仕上がりの悪いエピソードでしたが、個人的に一番引っかかったのは、
「あの時……俺が、声かけてたら……」
「しょうがないよ。大和くんには尻尾ないもん」
「関係ない! よりによってジニスだぞ……みっちゃん一人で、どんなに怖かったか。守らなきゃいけなかったんだ。どんな理由があっても」
「大和くん……?」
「――とにかく絶対に助ける」
アムのフォローに声を荒げ、必要以上の責任を自ら背負い込み、明らかに面倒くさい感じで様子のおかしい大和くんに誰もツッコまない事。
ランニングしている姿を見かけたのに声をかけなかった結果、ジニスにさらわれた事を後悔=過去の母親の死にまつわるトラウマ? かと思われますし、真相が明かされるのは次回以降で構わないのですが、さわおを助けに向かった城内でも暴走気味なイーグルの姿に違和感を覚えているような仕草は見せるも、誰も声をかけて止めようとしないというのは、以前にマリオおじさんがさらわれて錯乱気味になった際(第16話)はすぐに引き留めようとしただけに、それと比較すると個人的には凄くスッキリしませんでした。
で、次回、待望の大和父(?)登場のようなので、今回のもやもやを吹き飛ばす勢いで盛り上がってくれる事を期待。
現状あまりに圧倒的なターンジニス様ですが、エネルギーが外部供給、しかも地球から得たパワーというのが付け目になりそうでしょうか。「サジタリアークのエネルギーで肉体を維持している」事情も物語に絡んできそうですし、今後の動きが楽しみです。
そして、鳥男が独自にキューブアニマルを集めている姿が改めてはっきりと描かれ、その手にしていたのは、青・緑・黄・白の、〔!〕キューブ。丁度ジューマンズ4人の色に対応していますが、この最終盤で、戦闘ヒエラルキーの悲しいほど低い4人に駆け込み強化は来るのか?!
そういえば序盤に提示された、キューブアニマルの存在による世界の繋がりについては長らく踏み込まれていませんでしたが、その辺りも一つの絵図になっていくのか……ここから年明け、風呂敷がどこまで畳めるのか、是非とも綺麗な完成図を見たい所です。