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『仮面ライダー555』感想1

なんか、配信の画質がいいぞ……! というわけで、この機にがっつり『555』の感想を書こうかな、と。あれとかこれとかそれとか一部の大ネタはさすがに記憶にありますが、概ね白紙の気持ちで行きたいと思います。
(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第1話「眠りから醒めた男」◆ (監督:田崎竜太 脚本:井上敏樹
謎の研究所が怪物に襲撃され、奪われる銀色のベルト――その2年前、家族と恋人に恵まれ、幸せな生活をしていた青年・木場勇治が暴走トラックの事故に巻き込まれて昏睡状態となり、それから2年後、心停止により死亡が確認される。……だが、確かに死んだ筈の勇治は、蘇生。同時に不思議な感覚を手に入れるが、一度は死んだ筈の自分にとって、2年後の世界はどこにも居場所がない事を次々と突きつけられるのだった……。
「千恵ー、今日、何の日か覚えてる?」
昔の彼女の元を満面の笑顔で訪れ、自転車デート記念日を強行しようとする勇治、超怖い(笑) 立ち上がり難しいキャラクターなので、掴みにくい部分もあったのかもしれませんが、役者さんのややおぼつかない喋りが、現在から取り残されてしまった男の狂気をいや増します。
しかしそんな彼女は、勇治の長い昏睡状態の間に勇治の従兄弟とくっついており、かつての恋人達の間に生まれた時間のズレの描写が、容赦なくエグい。しかし、よりによって、親族ってどうなんですか?!
超感覚により、昏睡状態の内に伯父一家が亡き両親の会社も家も全て売り払ってしまった事を知った勇治は、失意と混乱のまま、従兄弟の車の前に立ちはだかる。
「おまえは一度死んだ人間だ。生き返ったお前が悪いんだよ」
「……俺が生き返ったから? 違う。違う! 俺のせいじゃない」
「なんだよ? 俺が悪いってのか!」
「……うん。きっとそうだよ」
その頃、九州をバイクで旅する少女・園田真理はしつこいナンパライダーズにつきまとわれて辟易していたが、その真理を追いかける黒いコートの青年・乾巧の姿があった。
ナンパライダーズが次々と砂になって消滅してしまい、怯える真理に「バッグをよこせ」と迫る巧。そして怪物へと変貌して「ベルトをよこせ」と襲いかかってくるナンパライダーズの一人。
「返せ! 俺のバッグだ! 違う。俺んじゃない」
巧が真理を追っていたのは誤解だと判明し、バッグから取り出した奇妙なベルトを身につけて怪物に立ち向かおうとする真理だが、認証失敗。
「おまえではベルトの力を引き出せないようだな」
切羽詰まった真理は巧に強引にベルトを装着させると、「物は例しよ!」とそれを起動させ……
東京では木場勇治が馬の怪物に――
九州では乾巧が銀と黒の戦士に――
それぞれ変身する!
東京と九州で全く別個のストーリーを進めていき、それぞれが異形へと姿を変える所で二つの流れを集約、仮面ライダー」とそれに対する「怪人」をイーブンに見せるという、かなり変則的かつ挑戦的な構成。当時、勇治パートの薄暗さもさる事ながら、この構成にかなり困惑した覚えがあるのですが、改めて見ても、異彩を放ちます。
仮面ライダーと謎の怪物を明確に対比させる構造自体が、改造人間テーゼを真正面から強く押し出すと同時に、ヒーローの描き方としてかなりひねくれたスタートをしているのですが、初変身にも関わらず、ファイズのヒーロー度の低さはちょっとビックリ(^^;
陶器造りの馬のような怪物に変貌した木場は、ケンタウロス形態で従兄弟の車を追いかけると、剣で心臓を焼却。
九州ではファイズ(いつ名前が出るか心許ないので、もうこれで)の蹴りが炸裂すると、イカの怪物が蒼い炎に包まれて消滅。
「これが……ベルトの、力……」
で、つづく。


◆第2話「猫舌の男」◆ (監督:田崎竜太 脚本:井上敏樹
「猫舌の男って、頼りないんだって。知ってた?」
得体の知れない怪物に襲われ、得体の知れない姿に変貌してそれを蹴り倒しても意に介した風もなく立ち去ろうとする、感情表現の薄い巧につきまとう真理は、ベルトとバイクが東京に住む父から送られてきた事、その父に会いに東京に向かっている途中という身の上を語る。
前回、ナンパライダーズに付きまとわれて迷惑していたのに、今回は他人に同様の迷惑をかけて一切悪びれる事のない真理、根性太い。
真理のバッグを、3日前に盗まれた自分のバッグと勘違いして追いかけていた巧だが、警察からの連絡が入って引き取りに向かい、ここで真理と巧の名前が判明。
怪物に狙われるベルトを守る為に巧を変身ボディガード扱いしようとする真理だが、巧はそれを拒否。ならば責任を持って東京までベルトを運べ、と真理が滅茶苦茶言い出してバッグを押しつけ合っている内に、またも盗まれる巧のバッグ(笑)
……と思ったらそれは、取り違えた真理のバッグ。
すれ違い展開は井上敏樹の十八番ではありますが、キャラも展開も、何もかも酷い(笑)
「あなたは、なぜ旅をしているの?」
「…………夢がないんだよ。俺には。だからさ」
自分探しツーリング真っ最中という巧に、美容師という自分の夢を語る真理。既に東京で就職先も決定済み……って、ベルトとお父さんはついでか!!
それはまとめて巧に押しつけようとするわけです。
「そっかぁ。頑張れよ。じゃあな」
いい笑顔を浮かべた勢いで立ち去ろうとするも退場判定に失敗し、放り投げたバッグを結局探すなど、押されると冷たくなりきれない巧は、引き続き真理とバッグを追いかける羽目になり……ついに盗まれたベルトを発見。
質屋で。
5000円で。
第1話同様、東京の重苦しい勇治パートと交互に展開するのですが、九州パートは、酷さのバーゲンセールです。
真理は遊園地(三井グリーンランド)で出張理容室を開いてお金を稼ぎ、地元遊園地PRタイムを消化しつつ、真理のスキル見せ。ようやく二人はベルトを買い戻すが、食堂で真理がトイレに立っている間に、巧、逃亡(笑)
畳みかけるように酷い展開が続きますが、真理、明らかに危ない女なので、逃げ出したくなる気持ちはよくわかります。
だが。
乾巧はまたもバッグを取り違えていたのだった!!
派手なパンツの詰まったバッグを背に巧を負う真理だったが、ベルトを狙うゾウのオルフェノクに襲われてしまう。何かがおかしい事に気付いた巧も真理の元へ戻り、ゾウにバイクアタックを決めると、自らベルトを装着。
「変身!」
一方東京では、飛び降り自殺をはかるも死ねなかった勇治が、謎の女スマートレディにより高級マンションの一室に運び込まれていた。
オルフェノク……?」
オルフェノクというのは人間を越える存在の事です。あなたのようにね」
ぐっさり心臓を焼却されてもしばらく生きていた彼氏が目の前で砂の塊となって死亡し、精神的に追い詰められていく千恵はそんな勇治を頼るが、刑事に追われている内に、今度は勇治を犯人呼ばわり。千恵(演じるはタイムピンク勝村美香)、やや自己主張がきつそうなものの、決して悪い人というわけではない描写なのが、2年という時間の重さと悲劇に拍車をかけ、九州とは違う酷さが手を緩めません。
思わず刑事から逃げてしまう勇治の逃走シーンに、かつての自転車デートを重ね、泣きながら走る勇治が幸せだった頃の幻に手を伸ばすというのは、実にエグいシーン。
そして、愛の幻は、指の先からすり抜けてしまう……。
「千恵……君が言ってた通りだ。俺が眠っていた間に君は変わってしまった。でもね、実は俺も変わったんだよ」
馬に変貌した勇治は千恵の心臓をぐっさり焼却。その姿を見つめて、スマートレディが満足げに微笑するのであった――。
一方、ゾウと戦っていたファイズは、ゾウの巨大形態に吹き飛ばれるも、真理のフォローで必殺キックを発動。雑に扱いつつも、一通り同封のマニュアルに目は通したらしい真理、性格に難はありますが、割と優秀(笑) あと、収納ケースに「だいたいこんな感じで使うんだよ!」とシールを貼ったお父さん(?)、親切。
真っ青な空を背景に滞空時間の長い一回転からの必殺キックは格好良く、ファイズはゾウオルフェノクを撃破。
一応ファイズパートでヒーロー物としてのカタルシスを作ってはいるのですが、そもそもオルフェノクって……? という所から、かなり重苦しいパイロット版。人と人でなしは、どこで分けられるのか、という問いが立ち上がりから強烈に突きつけられます。
巧(真理)パートも勇治パートも謎だらけの中をテンポの良いクロールで力技でかきわけて進んでいる感ですが、半ば成り行きとは言え真理を救う為に戦った巧と、憎悪にまかせて殺人を続けた勇治とが今回も重ね合わせて対比され、次回へ続く――。