◆第7話「怪!モンスター貴族」◆ (監督:奥中惇夫 脚本:伊東恒久)
OP最後のマントを広げるコンドールマンの姿にエフェクト強化、アイキャッチのコンドールマンが画面左手からフレームインしてくるように、と一部微修正。
レッドバットンに追い詰められたコンドールマンは、自ら飛び降りて窮地を脱出……意外と低かった、崖。
隠し武器のベルトファイヤーを放つも空中に回避され、再びタイフーン攻撃を受けたコンドールマンは、一か八かでコンドールハリケーンを放ち、ぶつかりあう風と風、激しい気流が発生して巨石が浮いた……!
と思ったら、いきなりの場面転換。
ナレーション「その頃、食糧不足は深刻となり、人々は野草を採って飢えをしのいでいた」
先に逃げたまことの無事が描かれ、母と祖母と合流。
そして衝撃……一心には、品の良い喋り方の、彼女が居た!!
まあ一心、二枚目だし口だけではなく志を現実にする実行力の持ち主だしで、モテる事に違和感は全くないのですが。
(一心さん……あなたが亡くなって、もう半年になります。でも……でもわたくしには信じられないの。あなたがわたくしを、ひとりぼっちにしていくなんて。……あの時どんな事をしても、引き留めれば良かった)
「お話って、何?」
「ん……アメリカへ行ってくる」
「え? いつ?」
「今夜の飛行機だ」
この感じなので、ついてくる女性は選びそうですが!!
なお世界の旗のお仕事と言っていますが、地の果てまで殺し屋を追い詰めて報復するつもりです。
「美しいもの……平和、愛、それらを守る為なら、俺は命を懸けて戦う」
一心の墓に手を合わせ、半年前のエキセントリックな言行を思い返していた女性・さゆりは、寺の入り口で、何とか逃げ延びてきたらしい疲労困憊のコンドール一心と遭遇。
駆け寄ってすがりつくさゆりに対し、勿論、「誰、おまえ?」と冷たく接するC一心。
……というか三矢家、一心の彼女に事情ぐらい教えていないのか(^^; さゆりの盛り上がりぶりと、アメリカへ旅立つ前に話をしている事を考えると、それなりの仲だとは思うのですが、親公認の恋人関係という程ではなかったのでしょうか。
一心の目に宿った輝きに、瓜二つだが別人と悟ったさゆりだが、倒れそうな一心をとにかく自宅へと担ぎ込み、「空を……空を飛ぶんだ」と謎すぎる譫言を聞かされる羽目に(笑)
危うく、薬物関係で警察を呼ばれる所でした。
翌朝、さゆりの部屋で目を覚ましたC一心は机の上の一輪挿しに目を止め、「一心の元恋人だから」ではなく「花を愛する心を持った人」としてさゆりの優しさに触れる――そしてそれは、コンドールマンの知らず、一心が生んだ繋がりである――というのが、視聴者と劇中人物が持つ情報と感情のギャップを徹底しつつ、それを分断ではなく絆にしていくという、今作の絶妙な所。
正義のシンボルであり人智を越えた存在であるコンドールマンが、人間性と隔絶しながらも、しかしその素体となった人間・三矢一心の志を受け継ぐ事で、一心が持っていた繋がりに助けられる“縁”というのが織り込まれ、それぞれの他を思いやる繋がりにこそ価値がある、という今作のテーマ性が非常に良く出ています。
「そうだ……ゴールデンコンドル」
自分の中に眠るもう一つの化身の存在を思い出した一心は、山に篭もって筋トレを開始。
そうだ、筋肉は(以下略)。
一方、コンドールマンを誘き寄せる為に行動を過激化させていくレッドバットンのアジトを、燕尾服にシルクハットの怪紳士(潮健志)が訪れていた。
「臭いな……イングランドの我が屋敷に比べれば、まるで犬小屋だな」
身内の戦闘員すら容赦なく溶かしてしまう紳士の正体は、ドラキュラのまたいとこの血統を名乗るモンスター、ダン・阿久魔。
合わせて来日したバットン姉は、さっそく仲違いする妹とダンを仲裁し、面倒くさそうな職場です(笑)
決闘寸前まで行く二人だが、姉がキングの名前を出すと嫌々ながら「ハールマゲドン」を唱和し、キング、カリスマ。
組織の合言葉を口にする事で、本音は嫌だけど組織の為に仕事をします、という意思表示が画面の中にも外にも伝わるというのが面白く効いています。個人的に、「ハールマゲドン」は非常にお気に入り(笑)
新たな刺客が現れたとは知らず、筋トレに励んでいた一心は呪文を念じて崖から飛び降りてみるが……飛べない(笑)
「駄目だ……出来ない」
実際に高い所から落ちてみたら火事場の馬鹿力でチャクラが開くのではぐらいの勢いで、ネジの落ちっぷりがまた、人間ではない存在ぶりを際立たせます。
にしても、焚き付けるだけ焚き付けた老師が姿を見せないのですが、不法入国が見つかって強制送還でもされたのか。
その頃、薄いスープ一皿だけの食事をかきこんだ源太郎が、集めた食糧を決死の思いで東京へ運び込もうとしていた。
「俺達も、自分に出来る事で、コンドールマンさんを応援しなくちゃ」
ヒーローは存在しているけれど、それは都合のいい神様ではなく、人間はあくまで自分の足で立たなくてはいけない、天は自ら助くる物を助く、というのも今作の徹底したメッセージ。
だがやはり源太郎に紅コウモリ一味の襲撃が迫り、助けに急ぐ石松、修行の壁にぶつかりインコアイで下界の様子を探っていてそれを知る一心、一心の遺影(仏様)に祈るたみ子。
「一心……お願いだよ、お父さんと石松さんを、守っておくれ」
たみ子の祈りは具体性のないものとはいえ(むしろここで、具体性があってはいけない)、その無辜の祈りによってコンドールマンが明確に神仏になぞらえられており、今作におけるヒーローの位置づけが重ねられますが、こういったテーマとキーになる部分の徹底は、今作の非常に丁寧な部分です。
襲撃を受けた源太郎の命が風前の灯火のその時、響き渡る排気音。源太郎を助けに駆けつけたのはコンド……ではなくて、アメフトプロテクター装備の石松。
「あのえもんがけみたいのがコンドールマンか?」
「いや、ただの雑魚だ」
「なんだとー! ぬーー! 人を馬鹿にしやがって〜。男石松コンドールマンになりかわって、お前達をくしゃんぺちゃんにしてやる、それー!」
基本、間の抜けたコメディリリーフの石松ですが、三矢一心の正義を伝播された一員としてしっかり描かれており、こういった描写も丁寧です。
だが石松は、ダン・阿久魔の英国式ボクシングでぼっこぼこにされ、阿久魔の本性であるダブルバットに吸血の餌食にされそうになるが、今度こそ本命登場。
「待てぇ! 正義のシンボル・コンドールマン! 貴重な食糧は断じて渡さん」
ダブルバット対コンドールマンは、飛行するバットが放つコウモリミサイルで火薬祭。これをコンドルアローで迎撃するのも格好良く、結構手を変え品を変えてくる戦闘は面白いのですが、空飛ぶ敵に苦戦していたと思ったらアローが心臓に直撃で勝利……という決着の雑さが前回に続いて勿体ない所(^^;
あと、コンドールマンが戦闘員を投げ倒したら戦闘員が溶けたのですが、魔神コンバット部隊は人間ではない事の強調でしょうか。
絶命寸前、ダブルバットは最後の力でコウモリミサイルを放ち、爆炎に飲み込まれるコンドールマンとレッドバットン(巻き添え)で、つづく。
今回からED終了後、次回予告の前にやたら爽やかにコンドールマンが登場。
「さあ、みんなでコンドールマンの歌を唄って、美しい日本を守ろう!」
どこの どこの どこの誰から頼まれた 命を懸ける価値もない〜
物凄くキチガイ度の高い事に(笑)
OP1番がワンコーラス流れて、今回の名場面に作詞作曲レコード会社などのテロップが乗り、CM……? と思っていたらシームレスに次回予告に! 次回――老師再び、そしてゴールデンコンドル降臨?!