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『動物戦隊ジュウオウジャー』感想・第45話

◆第45話「解けた封印」◆ (監督:杉原輝昭 脚本:香村純子)
「お礼に……生ものはやめたほうがいいよ」
タスクにレシピを教わったマリオおじさんがジューランドの料理であるジャングルライスを作り、前回を受けての互いの関係の変化を別の角度から念押ししてくるという、こういう所が本当に巧い。
久方ぶりにデスガリアンの戦闘機部隊が襲来し、迎撃に出るジュウオウキングオクトパスとジュウオウワイルド。何とか出番を作られているオクトパスですが、タコ焼きミサイルによる対空攻撃には納得感がありました(笑) ところがその戦闘機部隊を指揮していたアザルドが、オクトパスのコックピットに掟破りのダイレクトカチコミ。ジュウオウバードを探していると言いながらコックピット内部で暴れ回り、オクトパスは墜落。合流した5人は、二手に分かれてバドを探す事に。
一方、治療のお礼に病院に持っていこうと釣りに励んでいたさわおはラリーと接触。……さわお、魚は釣れて当然、みたいな態度ですが、やはり山でずっとテント生活していて、《釣り》を中心に生産系サブスキルのレベルだけ極端に上がっているのか。
「バドさんが簡単に見つかるなら、今頃みんなジューランドに帰れてるか……一旦もどろ」
出撃前、さわおがお世話になった病院の先生、というワードに表情が固くなった大和を気にしていたアムは、その背中に眉を寄せてしばし考え込み、いったん笑顔を作ってから、努めて軽い調子で声をかける。
「ねえ! 大和くんは、帰らないの?」
ここで意図的に表情を作るアム、そしてそれを映像として見せるのが、“コミュニケーションの物語”を貫く、今作の凄み。
「え? だから、今から、アトリエに」
特に何も気にしてないですよー、話の成り行きですよー、というポーズの打ち込みで、お互いの雑談という事にしてするっと話してしまった方が楽かもしれないよと促してきたアムに対し、恐らくは質問の真意を悟って少々動揺しながらも 受け流して逃げようとする大和だが、
「マリオさんちじゃなくて……本当のおうち」
その反応に覚悟を決め、踏み込んで切りつけるアム。
「………………なんで?」
「あのお医者さん……大和くんのお父さんだよね」
これまでの大和の言動や病院での態度から、大和父子の問のわだかまりに気付いたと告げるアムに、ベンチに腰を下ろした大和は口ごもりながらも父との確執を少しずつ口にし始める……。
「大した話じゃないよ。……父親と、仲が悪いってだけ。ホント……よくあるやつ」
仕事が忙しくて家に居ない事が多かった父と、ほとんど会話の記憶もなく、距離感を掴めずにいた少年期の頃を語る大和。
「色々あったんだけど……。…………許せなかったんだ……あの時」
その決定的な亀裂は、父が母の死に目に間に合わなかった事であった。
「母さんずっと待ってた……なんで来なかったんだよ!」
「…………急患が入ったんだ」
「嘘だ! おまえなんか父さんじゃない!! 父さんじゃない!! 出てけ! 出てけよ!!」
大和父子の問題は、ストレートな所に落とし込んできましたが、父をなじった「父さんじゃない!」という言葉自体も、大和の心に突き刺さったトゲになっていそう。
「……許せないんだ」
「…………そっくりなんじゃない?」
アムは柔らかい微笑を浮かべ、何を言われているかわからない表情で振り返る大和。
「大和くんとお父さん」
「…………どこが?」
「大事なこと全然話さない。周りがどう思ってるかわかってない」
大和の、抑制された大人の対応の一方で、自分の事には案外と不器用な姿を指摘するアム。
「……一度ちゃんと、話してみたら?」
「……無理だよ今更」
「なんで?」
この素朴な問いかけが、今回凄く良かったです。
本質的に他者の感情や個人の心の領域に無頓着なキャラクターが、自分ルールを振りかざして他人の気持ちをズカズカ土足で踏み荒らしていき、結果的に事態が好転したのでOK、という作劇(まあこれも、やり方次第ではあるのですが)が凄く苦手な私としては、他者の心情に敏感なアムが、その心の内側に踏み込む行為だと自覚した上で敢えて、もつれた糸をほぐす為に自分が傷つく可能性も承知で率直な一言を選んだ、というのが痺れました。
相撲回とかハロウィン回とか、後半微妙なスポットになっていたアムですが、ここで、真骨頂を発揮。
「同じ世界に居るのに? いつでも会いにいけるのに? たった2人の親子でしょ」
母一人子一人、というアムの家庭の事情を思い出す大和。
アムだから言える理由、というも見事に繋げてきましたが、この台詞にはもう一つ意味があると思っていて、デスガリアンとの戦いが佳境という意識に加え、この先、ジューランドとニンゲン界――自分たちの関係――も、どうなるかわからない。「同じ世界」で「いつでも会える」関係が続くとは限らないからこそ、アムとしては今どうしても、大和にアドバイスを送らずにはいられなかった。
洞察力に長け、人間関係で器用に立ち回り、他者との距離感を慎重に扱う(悪く言えば利用する)アムが、他人の心の傷に踏み込むというのは相当な覚悟をしているわけで、ここにはそんなニュアンスも感じました。
1年間の物語(関係性)が積み重ねられてきたからこそのやり取りで、「敢えて」踏み込んでいったアムの姿がとても良かったです。
……一方、父親ネタという事で関与の期待されたタスクの出番は、まったく無かった(涙)
マリオハウスに先に戻っていたセラ達の元にはさわお&ラリーが訪れ、アザルドのキューブとサワオアイテムの関係性について検討。ジュウオウキューブの代用品としてアザルドキューブが使われているとするならば、いったいそのアザルドとは何者なのか……。
そのアザルドは、ようやく見つけたバドを襲撃していた。
「俺の体……返してもらうぞぉ!」
アザルド、あまり物事に執着しない感じだったので、自分のパーツにこだわっているのは、意外と言えば意外。……いや、普通かもしれませんが、なにぶん、体質が体質なので(^^;
ジューマン達が戦闘の気配に気付き、アザルドの攻撃を受けて変身の解けたバドの元に全員集合。
「バド……今は協力するべきだ。吸収されたジュウオウキューブを、助ける為にも」
アザルドキューブの検討会など、今回ややタスクに効果的な台詞が多めの気がするのは、微妙にアムと比較しての配慮を感じます(笑)
相変わらずジューマンズとは馴染む気配は見せないものの、大和が一緒なのでバドも同意し、ここで7人並んでの変身を遠め固定ではなく、←右から、→左から、とカメラを動かして撮ったのはパターン化も外してきて面白かったです。
杉原監督、不信感は拭いきれませんし、今回も緩めるシーンでのバランス感覚にはどうも危うい印象を受けるのですが、シナリオが詰まっている事もあってか今回は悪くなかったです。
「どいつもこいつも、まったく、イライラさせる星だぜ!」
「この星を、舐めるなよ!」
メーバも交えて戦闘が始まり、それを観戦しながら「今度こそ、面白いものが見られるかもしれない」と嘯くジニス様。
ゴリラのマッスルパンチがアザルドの胸部を砕いてジュウオウキューブの回収に成功するジュウオウジャーだが、「邪魔もんが消えて動きやすくなったぜ」とむしろ体調が良くなったアザルドの猛攻は止まらない。赤の番長への変身も阻止され、転がった番長キャノンを手にするバード。
「太古の大王よ……俺にも、力をかせぇ!」
制御に苦しみながらも放たれたバードニック番長キャノンの閃光がアザルドを呑み込み、急速にフリーズカーボン。ジュウオウジャーはその光景が、かつて大王者の資格に見せられた、クジラ大王の儂の大勝利記念思い出ムービーと酷似している事に気付く。
バンタイトルの戦いでメーバ軍団を蹴散らした後に、うずくまるように膝を付いていたジュウオウバードは、この砲撃後に完全に倒れ込んで変身が解けてしまい、ジューマンパワーの不足からなのか、変身により何らかの負担がかかっている様子で不穏。
そして――番長キャノンの一撃によるショック療法で記憶を取り戻し、古代の戦いとは違ってクジラに大気圏外まで吹き飛ばされて考えるのを止めずに済んだアザルドは、なんと自らの力で封印を内側から破壊。ひび割れた外装をキャストオフすると、まさしく大勝利記念思い出ムービーで姿を見せた、太古の怪物そのものが姿を見せる!
「二度もこんなもん喰らっちまうとはな。だが! お陰で思い出したぜ。ありがとうよ、ジュウオウジャー
「まさか、あいつは……」
そう、アザルドの体を構成していたキューブとは、真のアザルドを封印していた地球パワーそのものだったのだ!!
キューブアニマルがまるっきりアザルドキューブの代用品になる事、それを取り返した事で結果的にキューブが不足して封印が弱まった事、今までのアザルドの復活は「再生」ではなく「再封印」であった事……という諸々の点が線で繋がり、今ここに、甦る脅威。
「ジニス様!」
ナリア、今までで一番驚く。
「ふふふふふ、ようやく封印が解けたようだ」
「懐かしい姿だ。フッ、おかげで取り戻せたぜ。忘れてた記憶も、真の力もなぁ」
なお、ご本人のツイートによると、思い出ムービー登場の古代の怪物のバトルボイスは、クレジット無しでアザルド役の中田譲治さんが入れていたとの事。
割れて出てきたターンアザルドは、足踏み一つで大爆発を引き起こすと、戦いを挑んできたジュウオウジャーを、ほぼ一歩も動かずに圧倒。
「どうだ……これが俺、宇宙の破壊神、不死身のアザルド様よ」
6人一斉の野生解放ラッシュも全て無造作に弾き飛ばされ、範囲攻撃で全員変身解除。
…………えー…………ラスボスに勝てる目処も全くついていないのに、ラスボス手前にも勝てる気のしない相手が出てきたんですが(^^; 戦力ヒエラルキー描写は割と丁寧に積み重ねてきた作品だけに、この最終盤でトンデモ2連発をどう片付けるのか。一応、光があるとすれば取り返した4つのジュウオウキューブですが、ここまで来て白ける「奇跡」は持ち出さないと信じているので、どう転がしてくれるのか実に見物。逆に、真の最終局面では、ここまで積み上げてきたものを活かした、鮮やかな「奇跡」を期待しております。
「くくくくふふふふふははははははははは。…………いい準備運動だったぜ。あっちにも用があるからな」
「フフフフフハハハハハ」
ジュウオウジャーにトドメを刺さず、弓矢基地を見上げるアザルド、その姿を見下ろし楽しそうに嗤うジニス様。
……てあれ、もしかして、ジニス様のブラッドゲームの本当の目的って、真の力を取り戻したアザルドと戦う事?
この局面で、戦隊そっちのけでボス級キャラ2人が笑い合っているという凄い展開で、つづく。
次回――予告の内容からすると、大和父が妻の死に目に間に合わなかったのはバドを助けた為で、とすると、大和父がバドの治療を選んだからこそ、大和はジューマン達と繋がれた……という大和くんにとって凄まじく重い一撃が炸裂しそうですが、サワオ回・今回と父親との絡みで浮き彫りにされた、大和もそこまで大人なわけじゃない、という要素が物語してどう跳ねるのか、恐らく残り3話になるかと思いますが、楽しみにしたいと思います。