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『仮面ライダー555』感想10

(※サブタイトルは存在しない為、筆者が勝手につけています。あしからずご了承下さい)
◆第17話「まだきっとやるべきことがあるのなら」◆ (監督:田村直己 脚本:井上敏樹
「君、本当に腑抜けになってしまったようだな。使えないなぁ!」
互いに武器を手に激突するファイズとカイザだが、動きにキレのないファイズは一方的にカイザの攻撃を受け、気絶。
……まあ、以前思い切り背中から切りつけた事を思うと、このぐらいの報復は受けて当然という気もします。
巧は菊池家で目を覚まし、その真意を真理と啓太郎に問い質されるが、解答を拒否し、深まってしまう亀裂。
「どうかな? 具合は? それで、君はいつこの家を出てくのかなぁ?」
直後にかさに掛かって追い打ちに来る草加のやり口は、相手が意固地になって反発する可能性への考慮が薄くどうも稚拙なのですが、大人にはそのいびつさが気持ち悪いし、子供には嫌な奴だとわかりやすいし、世代を超えて伝わりやすいキャラクターであるのかも。
その頃、勇治はマンションに運び込んでいた森下兄に千恵のストラップを返すが、森下兄はたとえ一人でも真犯人を見つけてみせると固い決意を告げる。
「何があっても、千恵を殺した犯人を、捕まえてみせる」
「…………もし、犯人が見つかったらどうするつもりなんですか?」
「勇治くん……俺は、千恵の仇を取れるなら、悪魔に魂を売ってもいいと思ってる。……犯人と一緒に死ぬつもりだ」
覚悟決まりすぎの兄に、(……あのままだったら、この人がお義兄さんになっていたのかもしれないのか……)と、目が泳ぐ勇治。
『555』って、ヒーロー物としてはかなり捻れていますし、何が面白いのか言葉にしようとすると難しいのですが、例えばこの、如何にもな好青年(キャスティング秀逸)が突然道連れ宣言をする、という不意の切れ味が、個人的には凄く面白いです。
話の構造は割と雑な所もあるのですが、ジャブの中に混ざるフックの切れ味の鋭さとその間隔の短さが魅力というか。
一方、ふて寝から起き上がった巧は、すっかりクリーニング屋の住み込みアルバイトと化している草加に対し、オルフェノクに対する同情を認めていた。
「おまえの言った通り、たぶん俺はもう戦えない」
カイザにしばかれた事を根に持って、おっと足が滑ったーとアイロンがけ中の草加に頭からオリーブオイルを被せようとしない辺り、巧も大人になりました……(しみじみ) 単に、心が弱っているだけかもしれませんが。
そんな巧に対し、貴様は夜明けの繁華街でカラスにつつかれているのがお似合いの生ゴミ野郎だ! と徹底的に踏みつけるわけでなく、後の戦いはカイザが引き受けると請け負う草加
「俺は戦う相手の事を考えたりはしない。――俺は俺の強さを確認する為だけに戦ってるからな」
この言葉から感じられるのは、草加の核はやはり、もう誰からも爪弾きにされないように自分の力を周囲の人間に認めさせる事であり、同時に草加が歪んでいるのは、それを認めない人間を、かつての自分と同じように爪弾きにしたがる事なのかな、と。
そして草加の落とし穴は、そんな草加にとって特別な存在であるらしい真理が、“かつて爪弾きにされていた草加”に手を伸ばした人である、という事で、それを理解できない限り、草加にとって酷く残酷な構図です。
かつての千恵の友人達から情報を集めて回る森下兄は、千恵を悪し様に言われた事で徐々に精神の変調を明るみにし、激昂したその姿はなんとアルマジロオルフェノクに……!
「妹の……千恵の悪口を取り消せ!」
森下兄は怒りに任せて男子学生をオルフェノクの力で焼却してしまい、商品の配達に来た啓太郎がそれを目撃。バッティングセンターで黄昏れていた巧と勇治は啓太郎と森下兄からそれぞれ連絡を受けてアパートの部屋でバッティングするが、オルフェノクの力に飲み込まれつつある森下兄は既に現場から姿を消していた。
「千恵の悪口を言うのはやめろ……」
千恵の大学に向かった森下兄はオルフェノクと化して学生を襲い始め、それに目にする勇治。
「見ろ。千恵の仇を討つ為に、神が俺に力を与えてくれたぁぁぁぁぁ!」
咆哮するアルマジロに対して勇治は千恵の殺害を告白できず、アルマジロは大事なストラップさえ踏み壊して構内へと向かっていく。
「あの人はもう人間じゃない……心を、人としての心を失っている」
森下兄の理性の喪失としてストラップの破壊が象徴的に描かれるのですが、巧に助けられて呟く勇治はホント、どの口でそれを言うのか。
「……自分の力を楽しんでいるだけだ。でも……俺には出来ない……何も、出来ない。あの人には……」
森下兄はオルフェノクへの変貌前から狂気を覗かせており、その原因は遡れば勇治による千恵の殺害だと思われるのですが、さすがの勇治もその理解はしているらしく、故にホースオルフェノクになって止める事は出来ないが、しかし真犯人・木場勇治として殺されてやる事もできない(もはやアルマジロは止まらないだろうとはいえ)、と極めて中途半端に責任から逃避。
アルマジロは教室に飛び込んで暴れ、それに巻き込まれる真理……が、雑誌の「猫舌を治す方法」という記事を見て大学へやってきたというのは、さすがに無理があったような(笑)
真理を助けた巧は、その手にべったりとこびりついた、つい寸前まで人間だった被害者の灰を目に迷いを振り切る。
「俺はもう迷わない……。迷ってる内に……人が死ぬなら。戦う事が罪なら、俺が背負ってやる!」
目を逸らして逃げるのではなく、再び立ち上がる事を選んだ巧はベルトを装着し、ファイズフォンを高々と掲げ――


Standing by...
「変身!」
Complete

巧の体を光が走るのに合わせてイントロから主題が流れ始め、ファイズ復活編という事で、正統派のヒロイックなバトル。ファイズアルマジロと一緒に教室の外へと落下し、車も派手に壊しております。
車上でアルマジロと組み合うファイズだが、その身をかすめて自動車に突き刺さるボウガンの矢。
……ああそうか、実はここまでずっと、森下兄がオルフェノクになった理由に首をかしげていたのですが、記憶も抜けていたし、兄は前回ラストでお魚に焼却されてオルフェノクに覚醒していたという事か、とようやく気付きました(^^; ここで登場するまで100%お魚の存在を忘れていたのですが、脈絡なく出没しては殺人を行うお魚は何をしたいのかと思っていたら、増やそうオルフェノク計画を律儀に遂行している、真面目な人だったのか!(たぶん大学にも、新人オルフェノク覚醒の情報を得て、回収にやってきた)
もしかしたらスマートブレインのエージェントだったのかもしれないお魚オルフェノクファイズを背後から狙うが、円錐キックを食らって焼却。剣と盾を持ち出して振り回すアルマジロに対し、バイクセーバーを装着したファイズは、疾風φの字斬りでフィニッシュを決める。
復活の快勝に背後で笑顔でハイタッチする真理&啓太郎と、手前のファイズの温度差の対比は、“仮面”が鮮やかに演出として機能。そしてその仮面が外れた時、沈んだ表情なのかと思いきや、巧がどこか満足げな、手応えを得たような表情を浮かべているのが、オルフェノク殺しの罪を背負って戦う覚悟を、簡単に英雄の大義に昇華させないという、今作のねじれた所。
人間の命を守る為にオルフェノクを殺す、という覚悟は確かに大義なのですが、巧にとって同時にそれは、ファイズという居場所を護る為の選択でもあって、ヒーローの再起を、世界に自分の居場所を得る為に何かを選ぶ、という構図で見せてくるのが、実に今作らしい見せ方です。
巧がオルフェノク殺しを選ぶのも、勇治や結花が人間として生きたいと願うのも、草加が自分の力を他者に見せつけるのも、どうやったらこの世界で生きていけるのか? という方法探しであって、『クウガ』が行った“ヒーローの背景としての正義の再構築”というテーゼを一度『龍騎』でバーストさせた先の物語であるのだな、と改めて。
……この辺り、配信を順番に見ていると、リアルタイムの追体験として色々とまた見えてきたものがある気がして、ちょっと惜しい事をしたかな、と今更ながら思ってみたり。まあ配信『アギト』『龍騎』と見る余裕無かったのですが(^^;
ところで今作って、小野不由美の大傑作『屍鬼』の影響はあるのかなぁ。もっと古典からかもしれませんが、コンセプトには近い要素を感じるのです。
一つの選択により巧がファイズとして復活している頃、大学へ現れなかった草加は、流星塾の二人と共にバイクを走らせていた。
「どこまで行くんだ?」
草加くん、知ってた? 3本目のベルトの事」
「……なに? ……3本目の、ベルト?」
ファイズギア、カイザギア、そして――、行く手に(映像で)暗雲が立ちこめる中、草加は果たして何を見る事になるのか?! ここしばらくじんわりと踏みにじられていた勇治の株が、巧の復活と対比する形で無惨に崖下まで蹴落とされましたが、そろそろ逆襲も見たい所。


◆第18話「草加雅人、西へ」◆ (監督:長石多可男 脚本:井上敏樹
真理、美容院の事を忘れていなくて良かった。
ここしばらく身も心もクリーニング屋の店員になりきっていたのですが、久々に美容師(の卵)の魂を取り戻し、出社。いつの間にやら不定期のバイト扱いになっているのが気になりますが、就職する筈が技量が不足していた為、格下げされたのか。
草加は「心配しなくていい」というメールを真理に送ったまま音信不通になっており、前回の雑誌記事を参考に猫舌を治そうと酢を舐めている巧の、
「俺が奴の事をどう思おうがこれだけは言える。奴は何があってもそう簡単にめげないしくたばらないってな」
草加評が適切(笑)
……しかし草加は、リーチをかけたつもりの余裕から別件に気を取られて戻ってきたら巧の立場が回復しているのかと思うと、帰ってきた時の事が今から哀れ(^^;
そんな菊池クリーニング店に持ち込まれた久々の何でも屋ミッションは、連続洗濯物汚し犯を追え!
巧と真理にすげなくされた啓太郎は一人で犯人を捜して見事に捕まえるが、それがせいぜい小学生高学年ぐらいの少女だった事から、とりあえず店に連れ帰る善人ぶりを発揮。
「私のお陰で仕事が増えたんじゃなくって?」
全く悪びれた様子の無い少女は、さっそく巧達を翻弄。
「おまえガキのくせにいい事言うな」
「ありがとオジさん」
「オジさん?!」
「あら? ガキの言う事に怒るわけ?」
憤然とする巧に代わり、大人の余裕を見せて会話に入ってくる真理だが……
「あなたよくあるパターンね。あたしの事、オバさん、とか言って怒らせるんでしょ。ありがちよね〜」
「オバさんなんてそんな。丸顔のお姉さん」
虎の尾を踏む(笑)
「丸顔……?!」
「おいおい、いくらなんでも言い過ぎだぞ。この俺だって今までずっと言えなかった事を……」
言いたかったのか。
おしゃまで口の減らない少女に優しく接する啓太郎だが、とっとと警察に引き渡せと巧と真理はドライな反応。それを見て泣き落としに走る少女に啓太郎はあっさりとほだされ、少女を助手席に乗せて配達へ。
子供に振り回される系の話は見ていて面倒くさくなる事が多いのですが、テンポ良い罵詈雑言の打ち合いが平常運行なので、割とすんなり見られます(笑)
「もっと君の事が知りたいんだ」
啓太郎、場合によっては逆に警察呼ばれそうで危ない。
「知ってどうするのよ」
「そりゃ……君に幸せになってもらいたいからさ」
……いやそもそも、啓太郎は別の意味でアブなかった。
親身に接しようとする啓太郎に対して少女は無理難題を要求し、さすがの啓太郎も顔をひきつらせている頃、ふーふー社長は前社長に引き続いて「九死に一生を得た子供達のデータ」を集めており、そのリストの中に、問題の少女の姿があるのであった……。
ふーふー社長はまた、翌年、レンゲルがカリスを蹴り飛ばした記憶が印象深い橋?の上で、ジェイを招いてお茶会を開催。
「今日はいわば、あなたを激励する為にわざわざおいでいただいたわけですよ」
場所が凄く迷惑なのですが、『555』世界ではここは、スマートブレインの敷地なのか(笑)
「……そうだ、この仕事が終わったら、ご旅行にでも行ったらどうです?」
野外ティーパーティーでプレッシャーをかけつつ、丁寧に折り詰めにした死亡フラグもつける社長が、久々の登場で嫌な存在感を発揮。社長は是非とも、このまま真面目になんかズレている路線へ突き抜けていっていただきたいです。出来れば、酒に溺れず業務も真面目にやる方向で!
一方、前回出番の無かった海堂は、失恋の深いダメージを受けてベッドに倒れていた。
「俺は、駄目な人間だ……ファイズになっても、恋をしても、うまく行かん。最低だ、俺!」
「そんな事ないです! 海堂さんは素晴らしい人です」
フォローする結花も、凄く、駄目な感じ(笑)
ファイズか……きっと今も裏切り者のオルフェノクを、俺達のようなオルフェノクを狙っているのだろう」
幕間ギャグかと思っていたら、割と重要なすれ違い案件が突然浮上するので油断なりません。そういえば、勇治達からはそういう認識のままなのか。
ファイズ……今いったい誰があのベルトを」
啓太郎は少女の我が儘に振り回され、かき氷を自作したりアイドルコンサートを設定したりと東奔西走。10人ぐらいとはいえ、素人のど自慢にコネクションで客を集めたらしく、地元における狂人の潜在能力が凄い。
真理は美容院に仕事へ行き、そこで知り合った先輩が、以前に物凄くちらっと出てきた添野刑事の娘だったと接続。初登場シーンは出てきた理由がまるで意味不明だったのですが、ここで真理と関わり、そして添野刑事の電話には、啓太郎を引きずり回す少女の名前が登場するのであった……。
店番中の巧の元には勇治が訪れ、互いにオルフェノクがらみの事件を忘れた方がいいと伝えようとしていて、初めてなんだか微妙に上がる好感度。
一方、衝動的に白いワイシャツを汚した少女にさすがに怒る啓太郎だったが、走り去った少女がキノコオルフェノクに襲われ、慌てて巧に連絡。キノコと殴り合うファイズだが、車でブラブラしていた勇治がこの戦いを目撃しして怒りに燃え、同胞を助ける為にホースへ変身する。
ホースは両者の戦闘に乱入してファイズに突撃し、つづく。
きちっとエピソード内で、勇治たち視点のファイズについて思い出させたところで、再びの激突に繋げる流れが鮮やか。
そしてピエロに追われ、似顔絵にこだわり、白いワイシャツに憎悪のような感情を見せる、少女の抱える秘密とは何なのか……?!
次回、危うしジェイ、そして、冴子動く?