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『激走戦隊カーレンジャー』感想3

◆第3話「正義の初心者印(マーク)」◆ (監督:坂本太郎 脚本:浦沢義雄
ボーゾックの根性直し屋RRリーが地球に飛来。
「俺の怖い顔を見て悲鳴をあげ逃げるとは、常識のあるおばさんだ。根性をたたき直して、非常識にしてやるぜ」
という台詞には唸らされます。
どこまで計算しているのやらわかりませんが、第2話で恭介が見るからに怪人相手にそれと気付かず「おたく、何してんの?」と普通に話しかける事が伏線になっていて、「俺の怖い顔を見て悲鳴をあげ逃げるとは、常識のあるおばさんだ」自体がギャグになっていて凄い。
その上で、「根性をたたき直して、非常識にしてやる」という摩訶不思議な理屈がこれまたギャグになっており、この一つの台詞の中に二重三重のギャグが仕込まれているというセンスは圧巻。
RRリーは根性たたき直しハンマーで不真面目にしてやろうと中年女性を追いかけるが、この女性はなんとペガサス社長夫人(演じるは岩崎良美)。息子の市太郎がペガサスに助けを求めに言っている間、リーのハンマーは掃除機に当たり、夫人は不真面目になった掃除機に襲われるという、何やらそこはかとなく倒錯したエロスが漂うのも浦沢脚本というか。
これはボーゾックの仕業に違いない、とカーレンジャーは出撃するが、修理中の社長のクラシックカーに乗りたい恭介は「4人で大丈夫でしょ」と出動を拒否。やむなくカーレンジャーは4人で社長宅へと向かうが、社長一家は不真面目になった家具の集団に襲撃されていた。
「あの野郎! 面白がってうちの電化製品や家具の根性を! 勝手にたたき直しやがって!」
逃げ回りながらも割と状況を受け入れている社長が、行動そのものものと台詞が二重のギャグになっていて、これも鮮やか。
民間人が率先して常識と非常識の境界をかき乱し、家族に焦点が当たり、やたら無機物にこだわる、と第3話にして浦沢時空が一気に加速。
そこに駆けつけたカーレンジャーは次々と肉弾攻撃を披露し、地面にうつぶせになった状態でダッシュ体当たりをするグリーンの攻撃が、まるっきりバイクル(笑)
打撃戦でもなかなかの強さを見せるカーレンジャーだったが、副長ゼルモダが増援の構成員を送り込んできて一転ピンチとなり……そうとは知らぬ恭介は、修理完了した車でドライブを満喫していた。
「まったく……おまえってやつは、可愛い車だぜ」
某餃子職人みたいな事になっていた。
「おまえみたいな車を運転するのが、俺の夢だったんだ〜。……でも、おまえよりもずっと凄い車を俺は、作ってみせるぜ、いつかきっと」
ところがそこに仲間達が吹っ飛んできて、あろう事か社長の車が不真面目にされてしまう。
「俺が心を込めて愛して修理した車が、こんな下品な姿に!」
殴られたり蹴られたりする仲間の姿を見て、恭介、反省。
「俺が……自分の事しか考えなかったから……みんなが苦しい戦いをしている。……俺は、俺が激走戦隊カーレンジャーである事を忘れていた! 俺は、俺の夢も大切にしたかったんだ。でも俺は、激走戦隊カーレンジャーだ。何よりも先に地球の平和を守る為に、ボーゾックと戦う事が、俺の使命なんだ!」
クルクルクルマジック!
一応、個人の夢と英雄の使命を引き比べるのですが、思った以上に恭介があっさりかつどっぷりと激走戦隊カーレンジャーである事に染まっており、英雄の使命をさっくり選択。
思えば第1話において、一度は拒否したカーレンジャーに変身した時に、恭介の中では「何よりも先に地球の平和を守る為に、ボーゾックと戦う事」が“もう選ばれている”のであり、人間なので少しぐらつく時もあるけど、基本的には一度した選択を取り消すつもりも曲げるつもりもない、という非常に根の真っ直ぐな青年として描かれます。
逆説的には、恭介をはじめそういった心根の持ち主達だからこそ星座伝説に選ばれたといえ、ヒーローの核となるその部分は、混ぜっ返さない作り。
恐らく他のメンバーにもそれぞれの葛藤はあるのでしょうが(今後描かれる事もあるのかもしれません)、そういった揺らぎを抱える“人間”である事を描きつつ、でも“ヒーロー”を選んだ奴等、の物語である事が恭介を代表として示されます。
振り返ればその選択を後押ししたのが、あの宇宙生物の死んだフリなわけですが、その件について遡って蒸し返す気も無さそうですし、基本的に気のいい連中として、メンバー全員の基本好感度をまとめて上げているのは、巧い。
また、手枷……じゃなかった、アクセルチェンジャー填められた時点でヒーローの覚悟を得てしまうと、クルクルクルマジックを注入されたのではないかと不安になるのですが、一度拒否させた後でそれとは別のきっかけを与え、
――この時、俺たちの心の何かが変わった。
と念押しした作劇も効いています。
ハイそこ、遅効性だったのでは……? とか言わない。
反省はいいけど、それでおまえはいつまで浸っているんだ、とダップにツッコまれた恭介は、改めて変身。レッドーレーサーが参戦し、スクラムを組み直した5人はフォーミュラーウェポンを用いて主題歌バトル。自分たちが殴られたり蹴られたりしている間にドライブを満喫していた赤を皆で盾代わりに使うとかそんな事は一切なく、すんなり受け入れる4人、基本的にいい人達。
まだロボ戦が無しという事で個人武器を強調してかなり長めの戦闘で、武闘派の副長は途中で退散、ビルを不真面目にしようとしていたリーを今回も後ろから狙撃して消し飛ばし、不真面目になった物は元に戻るのであった。
次回――信号は青でも注意して渡らなきゃ駄目よ。


◆第4話「巨大化に赤信号」◆ (監督:坂本太郎 脚本:浦沢義雄
ガイナモに怒られたグラッチは地球へ逃亡し、下校中の市太郎と遭遇。
「あ〜、あの子供さんに、チーキュの美味しいものを聞こう」
おい侵略者!
緊張感の無い宇宙暴走族が市太郎から地球の美味しい物として、タコ焼き・フライドチキン・いなり寿司・芋ようかんを聞き出して次々と平らげると、何故か巨大化。出撃したカーレンジャーの攻撃が一切通用しない強さを見せるグラッチはしばらくして元の大きさに戻ってしまうが、これならカーレンジャーを倒せる、と怪人MMモグーをともなって、再び地球へ。
一方カーレンジャーは巨大ボーゾックをどうやって倒すか頭を悩ませた末、夢の車の模型にイメージを伝える事で、星座伝説の力が宿り、5台の車がハイパー化。
ところが再び市太郎をさらって地球の食べ物を要求したMMモグーは巨大化どころか何故か小さくなってしまい……そのまま、つづく。
当時の尺の都合もあって、第4話は前振りに徹して次回にピークを合わせるという事だったのでしょうが、話のテンポが悪く、アリバイ的な巨大グラッチとの戦闘も緊張感に欠ける為に盛り上がらない、と残念回。残念という以前にほとんど内容がなく……この割り切りが凄いといえば凄いですが。
それにしてもゾンネットは、チーキュを花火にしてほしいと言っている張本人だし、機嫌が悪くなるとすぐ酒瓶でガイナモを殴りつけるし、ジニス様ばりの極悪人ではなかろうか(笑)
次回――車のすぐ後ろで遊んじゃ、危ないよ。