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『激走戦隊カーレンジャー』感想11

◆第16話「ワル知恵合流注意」◆ (監督:坂本太郎 脚本:浦沢義雄


行き詰まった宇宙の悪党の皆さんへ!
お安くお手伝いします。
悪のコンサルタント リッチハイカー教授

カーレンジャーの妨害によりチーキュをなかなか花火にできないボーゾックは、宇宙新聞に入っていたこの折り込みチラシを目にして、悪のコンサルタントを電話で招聘。
……この一文だけでナンセンスが機関銃のように詰め込まれていますが、個人的には、宇宙に新聞配達ネットワークがある事よりも、ボーゾックが新聞を購読している事に驚きました(笑)
誰が読んでいるんだ、新聞。
かくしてやってきたのは、白黒のカラーリング(白衣のイメージ?)で割とスマートなデザインの、リッチハイカー教授。見た目からして、ガラリとボーゾックに新風を吹き込む美形悪役的なキャスティングなのかと思ったら、声を演じるのはベテラン田中信夫さんで、なんとも言えず胡散臭い中年紳士といった雰囲気で、まずは一つかわしてきます。
カーレンジャー撲滅について相談を受けた教授は、酒場にたむろしているメンバーの中からJJジェットンを選抜して地球へ。ジェットンに勉強させている所をカーレンジャーに見せ、全宇宙ボーゾックを真面目に立ち直らせる会会長を名乗り、カーレンジャーへと接近する。
ところがそこへ、「本官の悪口を言った罪」でカーレンジャーを逮捕しようとシグナルマンが乱入。公権力を濫用する本官は「身許がハッキリするまで、あなたも逮捕する」と教授も捕まえようとし、今回はやたらと横暴(笑)
まあ、つい先日もバキバキ伝説に苦戦している所を助けに入ったのに(役には立ちませんでしたが)、なんかアイツむかつくと陰口をたたかれればそれは虫の居所も悪くなるとはいうものかもしれませんが、主に好戦的なのは恭介だけなので、逮捕して拷問するのはレッドレーサーだけでいいと思います!
「何故あの時の宇宙警察官が、チーキュに居るんだ」
実は過去に本官に取り調べを受けた事があった教授はその場を誤魔化すと、カーレンジャー撲滅の前にシグナルマン抹殺を計画。盗んだシグナイザーを餌にされた本官は、哀れ至近距離から爆弾で吹き飛ばされて、瓦礫の下に埋まってしまう。
首尾良く本官を排除した教授は、ジェットンの更生祝いを名目にカーレンジャーをパーティに招待。ワインに毒を入れて毒殺を目論むが………………あれ、何か非常に重要な問題を忘れているような。
「「「かんぱーい」」」
一同グラスを打ち合わせたその時、
正義の交通ルールは未成年の飲酒を許さない!
と、法の守護者が不屈の復活。満身創痍ながらも正確にワイングラスだけ撃ち落とす相変わらずの凄腕を見せたシグナルマンが突きつけたシグナイザーの録音機能により、教授がボーゾックと手を結んでいる事が露見する。
冒頭、ペガサスの前に設置された交番ベースで恭介が呟いた悪口が録音されており、レッドレーサーがわざわざ交番ベースに侵入して悪口を言って帰ったと誤解されるというネタが事件の解決に一役買うのですが、このネタの為に、別にシグナルマンに隠さなくてもいい気がするカーレンジャーの正体を、成り行きで隠し通さなくてはいけなくなるという状況が発生しており、割と本編に影響を与えるネタなのでは。
作戦が失敗に終わった教授はジェットンをけしかけ、地味に体術の冴えるジェットンだったが、猛反撃を受けて倒れて芋羊羹で巨大化。健闘虚しく、サイレンダーの援護を受けて合体したRVロボにより、ばっさり成敗されるのであった。建物の影に隠れる教授の情けない姿がギャグとして描かれるのですが、爆発四散したジェットンの“破片”がぶつかっているというのは冷静に考えなくてもかなりエグい映像で、とにかく命の重みよりギャグ優先です(^^;
這々の体で逃げ帰った教授は白けた空気と冷たい視線に迎えられ、そして始まるコンサルティング料金の割引交渉、でオチ。
この当時の東映ヒーロー物においては、新レギュラーキャラ投入や初期の路線修正が入るのが通例の時期に、ボーゾックに欠落していた知謀70台(?)の新幹部クラス登場でどう転がるかと思われましたが……メインライター浦沢義雄の時点で覚悟は完了していた……! ぶっちぎれ、コメディの向こう側!! みたいな。
初登場ゲタすらはかせてもらえず、現状、作戦参謀というよりケチな詐欺師めいている(回想シーンの唐草模様のほっかむり姿がまた……)リッチハイカーですが、いったい何話もつのか?! ただ、名前が「ヒッチハイカー」から来ているならやや意味深で(ボーゾックを利用しようとしている?)物語にどんなスパイスを加えていくのか、楽しみです。
ちなみに翌年の『電磁戦隊メガレンジャー』では、第19話から真っ当な策士系新幹部が参戦し、「頭脳的な上に卑劣」と評価される華々しいデビュー戦を飾るのですが、連続で見ると、ある意味で1年越しのギャグになっていたのか(笑)
しかしこう、今になって2話ずつで見ているので“こういう作品”という視点から楽しめていますが、リアルタイムで毎週1話ずつだとこの常道外しに当時の自分がついていけなかったのは改めて納得してしまうところ(^^; 同期の『超光戦士シャンゼリオン』は毎週TVの前でひっくり返りながら楽しんでいたので、ヒーロー×コメディが駄目だったのではなく、“戦隊に求めているもの”が今より狭かったのでしょうが。
次回――「車の窓から、手や顔を出すと危ないぞ」。