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『宇宙戦隊キュウレンジャー』感想・第27話

◆Space.27「オリオン号でインダベーパニック!?」◆ (監督:須上和泰 脚本:井上テテ)
 見所は、女性型インダベーを鉄鎖で 緊縛 拘束するスパーダ。
 もう後戻りはしない。
 過去に向かうオリオン号の船内に幕府足軽の侵入が発見されるが、捕まえた足軽達は、幕府の労働環境に耐えかね、リベリオンに転職したいと切々と訴えてくる。足軽との追いかけっこでドタバタギャグをやりつつ、会話のやり取りで随時回想を挟むという、夏の終わりの総集編。
 「こうして、キュウレンジャーは9人揃ったんだけど……みんな、ラッキーの成功を信じる事で生まれる強運に、引き寄せられたのかな」
 「なんてこった! ラッキーはすげぇ奴だと思ってたが、改めて聞くと、伝説だな」
 ……にかこつけて、突然ラッキーをわっしょいするスパーダとツルギが超不審(笑)
 ツルギは前回のバーベキューの際に相当の賄賂(上カルビ)の提供でも受けたのでしょーか。
 スパーダは、秘蔵のコレクションを人質にでも取られたのでしょーか。
 前回が重かった事もあってか、ギャグ9:シリアス:1ぐらいの配分かつ、シリアス部分はほぼ現代パートなので大きくギャグに振って進行するのですが、何故か捕虜をブリッジに集めようとする司令、それを無視して食堂で尋問を始めるスパーダとツルギ、など、あまりにも進行が適当。挙げ句、戦闘力の低いラプターと侵入者をブリッジで二人だけにする、ぎっくり腰で行動不能の司令と侵入者を二人だけにする、というのはさすがに雑すぎ、できれば“そこ”を巧くギャグにしてほしかったです。
 トドメは、足軽に侵入されたのは大問題だった前回のバーベキュー中と、生傷にレモン果汁を振りまく所業で、一番えぐってはいけない所を直火であぶってきました。
 もひとつ加えて、ツルギの「なんてこった」は、周囲の状況と関係なくリアクションが常にやや過剰、というギャップでおかしみを出す口癖なので、そのままギャグ回に持ち込むとただのつまらないリアクションになってしまい、ツルギは致命的にギャグ回向きでない事が判明(^^;
 作り手も気付いて困ったようで、最終的にツルギは、ノリツッコミとキレ芸の人になって、時空の彼方へ飛んでいきましたが。
 毎度崩しにくいスティンガーは、地味に顔芸でプロレス技が限界だったようですが、役者さんの苦闘も窺えます。なお成り行きを考えると、スティンガーとチャンプは降伏の意志を示した足軽ねちねちとプロレス技でいたぶって拷問していたと思われ、割と酷いぞ毒牛ブラザーズ。
 回想は9人集める+2人、そしてロボット、と流れを追い……
 「とにかく、11人となってキュウレンジャーの絆はより強くなったわけだが……」
 コークスクリューブローでねじこまれる、最近のあれやこれやのフォロー(笑)
 また物凄く久々にリュウテイキュウレンオーを見ましたが、ホントこれ、1回か2回しか出てきていないと思うのですが、何かトラブルでもあったのでしょうか(^^; あまりに重すぎて、台車に乗せて前後移動するしか出来なかったとか……。
 キュータマの説明を経由してアルゴ船からツルギ登場のくだりで、過去で足軽達がツルギに揺さぶりをかけるのと被せる形で、現代地球。
 「俺はまだ、ツルギの事を信用してるわけじゃないガル」
 ……え。
 ここ数話、今作の特に目立つ短所として、ある事柄に対してキャラクター個々の意識の差が描かれない点、について何度か触れましたが、ここでキャラクターの温度差が描かれて良かった…………なんてことは無くて、既にツルギを加えた12人の結束の象徴としてキュータマジンを出した以上、全くの逆効果なんですが。
積み重ねが上手く行っていたかどうかはさておいて、建前としては2話前のキュータマジン登場は12人の救世主達の団結の象徴であって(そうであるからこそ前回アバンの意味が出るわけで)、それを実際に建前でした、絆の象徴なんてなかった、としてしまうのはラクル大惨事。
 今回、他の部分は、総集編にままあるやや過剰なギャグ、という事で流せる範疇なのですが、回想シーンの前振りの為だけに、2話前の一山で物語的に意味づけた事を丸めて生ゴミに捨ててしまうような行為は、さすがにいただけません(^^;
 確かにまあ、キュータマジン2人から動かせますし、12人の絆が薄かったからナーガが事務所移籍しているわけですけど!
 更にこの後、回想シーンを交えて久々にいい笑顔を浮かべたラッキーがツルギをフォローし、
 「心配ないって」
 「ラッキーがそう言うなら……信じるしかないガル」
 季節外れの温度差めいたものを描いたと思ったら、ラッキーに諭された忠犬があっさり盲信にスイッチを切り替えるという、案の定、もっと最低な事に。
 或いはキュータマジンの意味づけを保持するならば、ガルのツルギに対する言葉は本心ではなく、ラッキーに構ってもらいたくてひねくれた事を言ってみた、という解釈も出来なくもないですが、どちらにしろガルの立場は血の池地獄に沈んでいくばかりです(^^;
 時間遡行組では、投降は真っ赤な嘘でオリオン号を目的の時代へ到着させまいとするインダべーの工作により、オリオン号はどことも知れぬ惑星に不時着。本性を現した5人の足軽と激突するキュウレンジャーだが、司令がまたもぎっくり腰を発症。……ぎっくり腰、1回か2回だったら面白かったかもしれませんが、それ中心にエピソードを組むならともかく、実質一発ギャグなので、この時間になると賞味期限切れ。
 笑いのツボは個人差が大きいですが、全体的にくどいリアクションギャグが多めなのもあって疲れてしまい、ダベー戦隊の頃にはこちらのテンションが笑いのクライマックスを過ぎてしまいました(^^; 特殊効果担当:ドン・アルマゲは面白かったんですけど。
 それから後半、ツルギの容赦なさをオーバーキル風味に描いてギャグの対象とするのですが、キュウレンジャー基本的に幕府絶対許さない天誅集団なので、そこでギャップの笑いをやろうとするのは滑り気味に感じてしまいました。まあ本編でまだツルギの崩し方が確立していないのに、シリーズ初登板の監督&脚本にそこを投げるのは、ちょっと無理があったように思います。
 監督は、今作チーフ助監督で、前年デビューの杉原監督に続いて、若手の起用を進めている模様。脚本家は、戦隊関係にはシアターGロッソの戦隊ショーの担当経験ありとの事。
 妙なタイミングでの総集編(どうせ夏場にやるなら、鉄柱倒した次の回にツルギに向けてこれまでの戦いを説明しつつ、一度地球に戻る理由をねじ込むとかで良かったのでは……)に、本筋のフォローも入れようとしたら、余計な火を色々と噴いた感じ。