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『宇宙戦隊キュウレンジャー』感想・第32話

 先週分。
◆Space.32「オリオン号よ、永遠に!」◆ (監督:加藤弘之 脚本:井上テテ)
 ドン・アルマゲは全家老にキュウレンジャー抹殺命令を出し、家老か代官かそれ以外かはわかりませんが、イソギンチャク男の部下が久々に怪人ポジションとして登場し、地球に襲来。
 「……やめろ! ジャークマター!」
 「……彼らは今や、12人の究極の救世主となって、宇宙の平和を取り戻す為に、宿敵、ジャークマターと戦っている。その名は――」
 放送時間変更に合わせてか、代官の暴虐を止めるシーンに変化を付けた冒頭ナレーションをかぶせて、第○部突入! みたいな形でOPへ繋げる、という演出は格好良かったのですが、そんな演出に際して描かれる救世主の姿が、現場の6人+留守番の4人+どこに居るのかわからない2人という所に、今作の問題点が濃縮されています。
 この映像から、「離れていても心は1つ!」と前向きに捉えるのは、私には無理(笑)
 活動停止していた、とようやく説明の入った地球のモアイ基地を暴走・爆発させる能力を持った怪人は、宇宙一の科学者を自称。その技術ならオリオン号を直せるのではと戦闘に割って入ったラプターだが、怪人の能力の正体は、宇宙アメーバを操って電化製品を凶暴にする、というものであった。
 「オリオン号は……ただの船じゃありません。仲間です!」
 「船が仲間? 船は船だろ。妄想が過ぎるぞ」
 “リーダーとして敢えてドライな判断を下す”のと“なんでもかんでもドライにぶったぎる”のは全然違うのですが、スタッフがツルギをどう位置づけているのか未だにぼやけているというか明らかにこの2つが混同していて用いられており、対立軸に困ると、とりあえずツルギにドライな事を言わせて周囲の反発を買わせるというのが、すっかり作品としての悪癖に。
 ラッキーにツッコまれると今度はしどろもどろになって弁解を始め、特に信念もない反射的な発言のように描かれてしまう始末で、大統領時代は相当優秀なスタッフに囲まれていたお飾りだったのか、ジャークマターは生まれるべくして生まれた反政府組織だったのではという疑惑が、回を追うごとに強まっていきます。
 ラッキーは家出したラプターの説得に向かい、再出現したアメーバ怪人に立ち向かうツルギ達だが、助勢に現れたイソギンチャク男に苦戦。更にアメーバの仕掛けにより、5基のモライマーズがあと10分で爆発しようとしていた。
 「ヤバいよ! あと5分で爆発しちゃうよ! 早くモライマーズをなんとかしないと!」
 と、オリオン号のモニターを見ながら焦れる留守番組の3人は、急いで駆けつけるポーズぐらい取ってはいかがでしょうか。
 一方ラッキーは公園で黄昏れていたラプター接触し、オリオン号を仲間だと思うなら、宇宙の平和の為に戦う姿を見せるのが恩返しだ、と約1分間の《イケメン説得》をクリティカル成功。
 「馬鹿野郎。ラプターがそんな事言ったら、本当に妄想になっちまうじゃねぇか」
 というのは良かったのですが、ラプターのオリオン号への思い入れにカメラを近付けすぎて、折角この前の会話シーンでガルが「俺たちにとってオリオン号は大事な船じゃけぇ!」と主張した、その他メンバーの気持ちがフレームの外へはみ出して取り残されてしまったのは残念。
 約30話の間、苦楽をともにしてきた母船なわけですから、「ラプターが信じるから俺が信じる」よりも、「ラプターだけではなく俺たちも信じている」というアプローチが見たかったかな、と。
 また根本的な所では、アンドロイドとして製造されたラプターにとって、同じリベリオン製のオリオン号が親近感を抱く対象だというのは序盤から提示されているわけで、オリオン号への仲間意識というのはラプターにとっての存在証明と密接に繋がっている筈なのですが、以前にオリオン号に助けられた(と思っている)事から恩を感じている、としてしまったのは、テーマの深化を避けるために逃げを打った気がしてなりません。
 本来ならラプターのそういった心情を近い距離で理解しているのが、スパーダ、次いでツルギの筈なのに、安易にツルギを否定する役に回した為に、繋げて掘り下げる事が出来なくなってしまい、まとめて無かった事にした感。
 オリオン号に対して出来る事、を掴み直したラプターは、ラッキーと共にモアイ基地の爆発を阻止するとツルギ達と合流。
 「ラプター……さっきはすまなかった。あの船が仲間だというなら、仲間にとって一番喜ぶ事をしてやれ。すなわち、奴らを倒す事だ!」
 同志達の魂に、にっくき幕府どもの首級を捧げよーーーーー。
殺 戮に飢えた救世主達は、血を贖うのは血とばかり、前半、赤一人で倒す寸前までいった怪人を相手に、ビッグ獅子込みの7人で取り囲む鬼畜モードを発動。ワシピンクにアクションの見せ場を与えたのは良かったものの、正直ビッグ獅子が強すぎて盛り上がりようのない戦闘の末、必殺宇宙落としでオーバーキル。
 玩具展開の都合もあるので出し惜しみできないのでしょうが、二段階変身でも無ければリスクも無いのにビッグ獅子が強すぎる為、このままだと今後、あらゆる戦闘が緊張感皆無、その他メンバーがオールピンチ要員になってしまう為、早く一工夫欲しい所です。
 巨大化した怪人は今回も平然と呼び出されたキュータマジンで瞬殺するが、怪人の作りだした合体モアイ基地による巨大隕石が地球へと迫り、あまりの質量差にキュータマジンの必殺攻撃さえ通じない!
 「諦めちゃ駄目です! オリオン号に見せるんです! キュウレンジャーが、宇宙を救うところを!」
 その時、地上で再起動したオリオン号が留守番組の3人をキュータマジンの中に転移させると、巨大隕石へと特攻。最後の力で巨大隕石を道連れに玉砕し、[GOOD LUCK]というメッセージを残して通信途絶――……12人の私物ともども、宇宙の星屑となるのであった。あとスキルキュータマの数々がどこに保管してあったのか大変気になります。
 「おじさま……さようなら」
 広義のロボットテーマとして、機械の人格を匂わせるネタ、ラプターとオリオン号の繋がり、という要点は悪くなかったのですが、地表で停止していた筈のオリオン号が物凄く唐突に宇宙空間を横切るカットから宇宙に登場してしまう、というのが凄く残念。オリオン号自体も短距離ワープしたのかもしれませんが、もう少し、オリオン号の発進シーンに感情を乗せて欲しかったところです。
 地球最大の危機を救ったキュウレンジャーは、改めて亡き同志オリオン号に宇宙を救う事を誓い、ドン・アルマゲが潜むという南十字星の辺りを目指して出発しようとする。
 「よーし! オリオン号の為にも、さっそく出発するじゃけん!」
 「だから、船がないんだってサー!」
 ここでようやく、移動手段が無い事にツッコミが入るのですが、流れ弾でよろけているツルギはもしかして、今その事実に気付いたのか。……まあツルギ、リベリオンの組織概要を理解しているとは思えないので、オリオン号が壊れてもすぐ次の宇宙船が用意できるんでしょ? ぐらいの軽いノリだった可能性はあり、それなら一連の発言もわからないではないのですが。
 総集編風味ギャグ回に続いて2本目の参加となった井上テテですが、人数を持て余している事を隠しもしないのは、もはや企画の問題なので仕方が無いとしかいいようがありません。ひとつ非常に気になったのは、ラッキーとツルギが混ざっている事なのですが、これも脚本2本目だからなのか、『キュウレンジャー』全体のスタッフワークの問題なのか、難しいところ(^^;
 発言の中身はまた別として、「力強い暴言」はラッキーの得意分野、《イケメン説得》はどちらかというとツルギの役割だと思われるのですが、ラッキーのリーダーシップを強調しようとしてそれをひっくり返してしまった為に、色々な違和感が降り積もってしまっています。
 もともと展開の都合で揺らぎ気味のツルギと、ビッグ獅子の力を得て強くリーダーシップを主張し始めてからますます不安定になっているラッキーの人格がすっかり混信しているのですが、これは、鳳凰パワーを輸血した影響なのか。
 このまま放っておくといずれ、二人はツルッキーに融合してしまうのか。
 こうして貴重な母艦を失ってしまったキュウレンジャーだが、過去ではショウ司令が巨大な宇宙戦艦を見つめていた……次回、宇宙を救うのはやはりマッスルなのか、降臨する筋肉の巨人に刮目せよ!
 ……えー以前、「オリオン号にラプターが組み込まれる」というネタを書いた事がありますが…………この巨大ロボ、チャンプが内臓されているのでは。
 「ヒサシブリダナ、アイボウ。ワガハイ、バクフ、マルカジリ!」
 「チャンプーーーーーーーーーーーーーーー?!」
 革命に、犠牲はつきものなのです。