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『ウルトラマンジード』感想・第11話

◆第11話「ジーアイデンティティー」◆ (監督:田口清隆 脚本:安達寛高
今回の三大危機。
「新作の執筆は中止です。今まで、ありがとうございました」
『コズモクロニクル』、未完の危機!!
「今日の会議はマジで出なきゃまずいんです」
伊賀栗レイト、社会的死亡の危機!!
「返品してらっしゃい」
朝倉リク、首ちょんぱの危機!!
身辺に宇宙Gメンの捜査の手が伸びている事を知ったK先生は排除を強行し、隠密捜査に失敗した鉄仮面先輩は、Zレイトへと接触。結局、雑に拉致って直接交渉にあたった上にゼロとGメン先輩はほとんど知り合いのような会話で、どうして前回まで意味ありげにピーピングしていたのか……。
ゼロも平然と会話しているので、宇宙Gメンは光の国も存在を認めている組織という事でよいようですが、ゼロ、その辺りの対応が若干以上に雑っぽいイメージなので多少の不安も残ります(笑)
一方、印税生活にさよならを告げたK先生は、リクの前に姿を現す。
「19歳か……早いなぁ。君を天文台に置いたのが、昨日の事のようだ」
「どういう事だ?!」
「殺す前に話しておきたかった。19年前、赤ん坊の君を天文台に置いたのは、私だ」
起動状態のウルトラカプセルを回収する為、ベリアルの遺伝子を元にK先生が造りだしたコピー――リトルスターを反応させる触媒としての人造ウルトラマンこそが、朝倉リクの正体であった!
……つまり、リクのお父さんはK先生。
「君は、ウルトラマンジードとして、正義の味方にでもなったつもりだったのだろうが、戦ってあげていたのだよ、私は」
全てはウルトラカプセル回収の為、朝倉リクをウルトラマンジードに仕立てあげる計画だったのだ、と説明するK先生のいやらしさは、個人的に海外ドラマ『FLASH』のハリソン・ウェルズ博士の気持ち悪さを思い出したのですが、たぶんK先生、地下基地に仕掛けた監視カメラを執筆の間にチェックするのが日課
「リークーー、君は最近、どん○衛ばかりだな……そうか、あの小姑が、近所のスーパーで75円セールだったので大量に買ってきちゃったたのかぁ。よーしお父さん、今度匿名で、段ボール箱一杯のペヤ○グを送っちゃおうかな……!」
とか妄想すると筆が進むのです。
「私は今日、君が持ってるウルトラカプセルを受け取りに来た。君の仲間が余計な事をしてくれたせいで、早急に必要になったんだ。お体の完全なる復活とまでは行かなくとも、ベリアル様が新たな拠点へと移動されるには、十分な数が揃っている。さあ、渡しなさい」
これまで闇の電波としてしか登場しなかったベリアルはどうやら肉体を失っており、その復活にウルトラカプセル(のエネルギー?)が必要な模様。
残念だったのは、K先生の急な路線変更の要因である宇宙Gメンの捜査のきっかけが、かなり適当だった事。状況の重要性と発端の描写のバランスが悪く、これならGメン登場初回の時点でK先生をマークしている描写を入れるか、せめて講演エピソードでGメン組を登場させておいて欲しかった所です。
PS4の恨みを込めてペガが繰り出したサイクロンクリーナーアタック(活躍してとても良かった)でライハがスナイパーの人質状態を脱し、カプセルを渡す事を拒否するリク。
「残念だ。君がウルトラカプセルを渡していれば、この静かな街が瓦礫と化す事も無かったのにな」
K先生はリクを裏拳一発で吹き飛ばすと黒ライザーを取り出し、怪獣カプセルの読み込み音に耳を近付けて心地よさそうに聞く、というのは非常に良かったです。
どうやら黒ライザーと怪獣カプセルは、光の国から盗んだ本物とウルトラカプセルを参考に造りだしたようで、優れた頭脳! 鍛えた体! 甘いマスク! 欠かさぬファンサービス! これぞまさしく、ぼくのかんがえたさいきょうのSFさっか。
「この街が僕が守る……これは、僕の意志だ!」
リクはジードに変身し、K先生が変身したペダニウムゼットンと激突。
一方、スナイパーには人質に取られ、念願の宇宙人との直接バトルでは若干押され気味で、どことなく残念感の漂うライハですが、結局のところライハに直接宇宙人をずんばらりんさせたくないのか、バドスナイパーは戦いの余波で生まれた瓦礫の下敷きになって死亡。
ウルトラマンジード、ベリアル様に似たその姿を私に殴らせるとは不愉快だったぞ! おまえは作られた模造品だ!!」
K先生、ベリアル様に似た姿に殴られたいとか、忠誠を誓っているベリアル様に似た姿を殴る背徳感が最高に気持ちいい、とかだったらどうしようかと思いましたが、性癖は案外ノーマルでした。
「ベリアル様の恩寵を受けるのはおまえではない。私だ! 私の方が優れている!!」
今回、冒頭から敢えて不安定に揺れるカメラワークで入り、大胆に余白を取ったカットを組み合わせながら、Zレイト登場シーンではスピード感を見せるなど凝った演出が冴えるのですが、戦闘シーンでも広い画角とアップを巧みに織り交ぜてテンポ良く飽きさせず、怪獣バトルエンタメの撮り手としては当代随一なのかと思われる田口監督の手腕が光ります。
K先生がベリアル団のユニフォームを来ているのに対して、リクが相変わらずGジャン姿なのが、対決の構図が高まれば高まるほど、どうしても間抜けですが(^^;
スポ根バーニングとキングゼットンが全力のビームを撃ち合った結果、言い訳きかないレベルで大爆発が巻き起こり、瓦礫の中に倒れ伏すリクから、ウルトラカプセルを奪い取るK先生。
「これで、エンドマークだ……!」
更にリクにトドメを刺そうとするが、駆けつけたライハに阻まれ、消耗していたK先生は撤退。
本格的に残念な存在になりかけていたライハが、リクの命を救い、カプセルが一つ残される、というのは良かったです。
「僕の……せいなの……?」
朦朧とした意識の中で呻くリクが涙をこぼしていた頃、ゼロはGメンから伝えられた、K先生が電波を送受信していたとおぼしき異次元空間の入り口に到達していた。
(ルミナさんに連絡したいんです……無断外泊すると叱られるので……ここ、圏外ですよねぇっ?!)
伊賀栗レイト、家庭も崩壊の危機(3回目)
にしてもこれ、タイミング考えるとゼロを地球から追い払う為の罠にしか思えないんですが、Gメン先輩を信用して本当にいいのか(笑)
「おまえには失望している」
必要な数のカプセル回収に失敗したK先生はベリアルから叱責を受け、罪をあがなう機会として6つのウルトラカプセルを自らに打ち込んで邪悪なエネルギーに転換するよう命じられると、それを決行。誕生した超強化ペダニウムゼットンが、街で暴れ出す!
(僕は造られた模造品。カプセルが2個無ければ、ウルトラマンになれない。だから、なすすべも無く、その様を見ていた――)
というモノローグから成る程、ここでリクが自らの中からウルトラマンの力を生み出すのか…………と思ったら、次回、え、ヒゲ?!
とりあえず、なんだかんだ今一番面白いキャラとして、ベリアルに切り捨てられかけているK先生の作家人生の行く末が気になります。……K先生が前半でリタイアし、後半戦、本性を現したGメン先輩が宿敵ポジションに来たら、それはそれで面白い気はしますが!(笑)