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『ウルトラマンジード』感想・第24話

◆第24話「キボウノカケラ」◆ (監督:坂本浩一 脚本:安達寛高
二つの怪獣カプセルの力とストルム器官、その内部で闇へと反転された光の戦士のエネルギーを吸収して復活したウルトラマンベリアルは、ウルトラマンベリアル・アトロシアスとなり、光の国への見せしめとして地球を吹き飛ばすと宣告。
その力は宇宙を繋ぎ止めるキング粒子をストルム器官を通して自身に取り込む事によって刻々と増大していき、またキング粒子の消滅により宇宙は再びクライシスインパクトを迎えつつあった。
どうすればベリアルを、宇宙の崩壊を食い止める事が出来るのか……以前ピット星人が研究していた、カレラン分子分解酵素の存在をライハが思い出した事により、分解酵素をカラータイマーに打ち込む事で、キング粒子の吸収変換を無効化する、という作戦が立てられる。更にゼナ先輩がゼガンとウルトラマンの光線をぶつける事で再び時空の裂け目を作り出し、ベリアルを永久追放空間に放り込む事を思いつく。
と、これまでの劇中に散りばめた要素を拾い集めるのですが、肝心の真ベリアルは宇宙空間で浮かんでいるだけだし、地球各地の異変などはニュースを通じて間接的に危機感を煽っているだけなので(しかもこのニュースが、劇中でたびたび持ち込んでいる為にかえって緊迫感が出ない)、映像的なスペクタクルが弱く、絶望的な状況から皆の知恵を集めて逆転の一策、という盛り上がりはいまいち。
また、カレラン分子云々に関しては、あんな固有名詞だらけで視聴者に覚えさせる気もなさそうな長台詞を、伏線でした、という事で扱うの? というのが正直。
分解酵素ガスの製造には10時間――最終決戦へ生まれた猶予に、伊賀栗家は高級レストランでマユの誕生日を祝い、レイトはルミナにもプレゼントを贈る。そしてガスが完成し、娘の誕生日の途中で、別れを告げる事を余儀なくされるレイト。
「パパはお仕事があるから、ここでお別れしよっか」
「あ……ルミナさん、僕」
「でも……会議じゃないよね?」
「え……」
「あの女の所よね」
「なんか……戦う感じの、やつだよね?」
ルミナはレイトの背広の内ポケットからゼログラスを取り出し、最終回直前にしてウルトラ史上最大の修羅場に突入せずホッとしました。
「色、似てる、ウルトラマンに」
「なんで……」
「知ってたよ。レイトくん、嘘つくの、下手だから」
聡い妻は事情を理解した上で見守っていた、というのは定番ですが、まあそう捉えないとレイトさん、妻子持ちとして酷すぎますからね!
「さあマユ、行ってらっしゃいして。パパはね、これから大事なお仕事があって、たくさんの人がパパの事待ってるの」
「パパ、お仕事、頑張ってね」
「……マユ、明日も明後日も、マユがいっっっぱい笑って暮らせるように、パパ、仕事頑張るから」


 「一つ大切なものが見つかると、他にも大切なものがどんどん増えていくんだ。ルミナさんと出会ったから、マユが産まれた。マユが産まれてから、この街や地球を前より愛おしく思うようになったんだ。 僕が居なくなった後も、マユが生きていく世界だからね」
「晩ご飯、作って待ってるから」
「楽しみにしてる。一緒に食べよう。必ず」
マユの誕生日をからめて、伊賀栗家の家族の絆に尺を採ってくれたのは良かったです。が……
「レイトさん、娘さんとの大切な時間を……すいません」
と思っているなら、普段からもう少し妻子持ちのサラリーマンに気を遣ってあげて下さい!!
「あいつをやっつけないと、明日がありませんからね」
(レイト……)
「みなさん……グッドラック!」
「始めようぜ!」
レイトはゼロへと変身し、それを見て地球へ殴りに降りてくるベリアル。ゼロがベリアルの性格をよく把握していたとはいえますが、ベリアル様がここでわざわざ地球に降りてこなければ、この先の作戦は全て破綻したと思うと、ゼロから挑発する1シーンぐらい入れた方が良かったような。
「最後に貴様の泣き叫ぶ声を聞いてやる」
「光の国も、この星も、てめぇには指一本触れさせねぇ! 俺とジードがな」
ジード……息子の力を吸収できていれば、より完璧だったが……ふっ、どうやら反抗期のようだ」
「ちっ、貴様が父親ぶるのは――2万年早いぜ!」
ビヨンドからいきなりの超必殺、という負けパターンで戦いに入るゼロだが、ウルトラ舎弟ブレイクを受け止めてみせる事で超魔王ベリアルの強さを見せる形に。ところが両者の激しい戦いの中、伊賀栗家に不法侵入していたK先生により、ルミナとマユが人質にされてしまう。
「ストルム星人か。まだ忠誠を誓うとは愚かなやつだ」
ま、それはそれとして……
ウルトラマンゼロ! この星に来て、弱点を作ったようだな」
棍棒でゼロを殴りに行くベリアル様、マジ魔王。
ルミナとマユを守るため武器を捨てるゼロだったが、ライハがマンションに駆け込んできて、K先生は逃亡。
まあライハの使い方としては一番妥当なのですが、かつて目の前で“家族を失った”ライハが、レイトの“家族を守る”という事に特に意味や感情が乗るわけではなく、ライハはこのシーンにおいても“K先生しか見ていない”にも関わらず、そのくせ既に復讐からは解放されてしまっているらしく、結局最初から最後まで鳥羽ライハは、一人で納得して一人で執着から解放されて一人で悟ったような事を言っているという、見ていて何も伝わってこない残念なキャラクターに。
基本的に、“過去にトラウマを抱えながらも強さを持った女性キャラクターを描く”という志向性があったのでしょうが、“心理描写に脈絡のない自己解決を繰り返す”というのは、“強さ”の表現法として間違っていたのではないかと思うところ。
悪意的に突き詰めていくとライハって、周囲の男達(リク→レイト→K先生)を見下す(憐れむ)事で自尊心を満たしているのを自立と勘違いしている女、に見えてくるわけですが、結局最後まで、ライハのキャッチーな要素(怪獣を斬る復讐者)とキャラの土台(目の前で怪獣によって両親を失った少女)の間にある空白が埋まって見えませんでした。
そこが空白だからこそ、ライハというキャラクターは、言行全てに人格としての芯が感じられず、その場その場の話の都合でバージョンチェンジしていくような扱いになってしまったのかなと。トラウマゆに人格形成に空白期間がある、というのが意図的な狙いだったのかもしれませんが、それならそれで、劇中でその空白が指摘されるべきであったと思いますし。
「はははははは、見よ! ベリアル様の神々しい姿を! 私のストルム器官が、ウルトラマンキングの力を変換したのだ!」
もはや誰とも噛み合わないK先生の盲信ですが、ライハとの対比でその空虚さがより引き立つのかというと、ライハもどうしてここに居るのかよくわからないので、K先生と激しく戦っても、監督の趣味しか感じられずに残念ながら冷めてしまいます。それこそ、レイトの家族を守ろうとして偶然K先生と遭遇した、という順序ならライハの行動原理と優先順位にキャラクターとしての変化を感じられるのですが、それが逆なのに一人で物わかりのいい発言をするのが凄く困る所で。
「家族を弱点と言ったな……それは違う! 守るべきものがあるから、俺たちは戦えるんだ!!」
リクもレイトも大切なものを守る為に戦おうとしているのに、ライハだけ全然違うストーリーラインを突っ走っているという。いや、ライハもライハなりに何かあるのでしょうが、物語としてはそれがクライマックスで集約されなければ面白くならないのに、ライハはそれが何もない(何もない、という事すら描かれない)為、非常に浮いてしまっています。
立ち直ったゼロがベリアルを押さえつけている所に宇宙船モードの星雲荘が突撃するが、ベリアルはゼロを払いのけてぐさっと刺すと宇宙船も撃墜。追い詰められたゼロの苦境に、リクはジードへと変身する。
「おまえ! なんで来た! 作戦と違うだろ!」
ジーッとしてても、ドーにもならないからです!」
父と子の、爪と爪がぶつかり合い……つづく!
伊賀栗家の家族の話が拾われたのは良かったのですが、それ以外は、そこまで盛り上がらないラスト前……シリーズお約束ネタの説明不足を嫌がる一方でこういう事を書くのもなんですが、私にとってベリアル絡みの初見のインパクトとして余りに強烈だったサンダーブレスターが最後まで変に高いハードルになってしまった感。
既に最終回まで視聴はしたので、次回感想はさくっとお届けできる予定。